Skip to main content

イラクの落花生生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月の最新データによると、イラクにおける落花生の生産量は、長い歴史の中で大きな変動を見せてきました。特に1970年代から2000年代にかけては急激な増加が見られたものの、2008年以降著しい減少が始まり、それ以降は年間5,000トン前後で推移しています。2023年には6,719トンに増加していますが、依然としてピーク時の34,000トン(2004年)に比べると大きく下回っています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 6,719
24.32% ↑
2022年 5,404
-0.06% ↓
2021年 5,408
0.56% ↑
2020年 5,378
-0.92% ↓
2019年 5,428
0.17% ↑
2018年 5,418
2.48% ↑
2017年 5,287
-5.21% ↓
2016年 5,578
3.48% ↑
2015年 5,390
-2.16% ↓
2014年 5,509
-5.57% ↓
2013年 5,834
7.09% ↑
2012年 5,448
-49.96% ↓
2011年 10,888
8.88% ↑
2010年 10,000
-47.37% ↓
2009年 19,000
216.67% ↑
2008年 6,000
-78.57% ↓
2007年 28,000
-12.5% ↓
2006年 32,000
-5.88% ↓
2005年 34,000 -
2004年 34,000
61.9% ↑
2003年 21,000
16.67% ↑
2002年 18,000
12.5% ↑
2001年 16,000
6.67% ↑
2000年 15,000
15.38% ↑
1999年 13,000
4% ↑
1998年 12,500
78.57% ↑
1997年 7,000
16.67% ↑
1996年 6,000
50% ↑
1995年 4,000
100% ↑
1994年 2,000
166.67% ↑
1993年 750
66.67% ↑
1992年 450
4.65% ↑
1991年 430
7.5% ↑
1990年 400
33.33% ↑
1989年 300
-25% ↓
1988年 400
100% ↑
1987年 200
100% ↑
1986年 100
-75% ↓
1985年 400 -
1984年 400
33.33% ↑
1983年 300
50% ↑
1982年 200 -
1981年 200 -
1980年 200
-50% ↓
1979年 400
-16.67% ↓
1978年 480
29.38% ↑
1977年 371
-14.91% ↓
1976年 436
27.11% ↑
1975年 343
49.78% ↑
1974年 229
-78.4% ↓
1973年 1,060
64.09% ↑
1972年 646
941.94% ↑
1971年 62
-3.13% ↓
1970年 64
-70.23% ↓
1969年 215
-6.93% ↓
1968年 231
-34.93% ↓
1967年 355
71.5% ↑
1966年 207
935% ↑
1965年 20
300% ↑
1964年 5 -

イラクの落花生生産量の歴史を振り返ると、1960年代から1990年代にかけてゆっくりとした成長が見られる一方、1990年代後半には急激な生産量の伸びが起きました。この大幅な増加は、農業政策の転換や生産技術の向上などが背景として考えられます。特に2004年には34,000トンという記録的な高生産量を達成しました。この時期はイラクが国内の農業基盤整備に集中した時期であり、設備投資や灌漑技術の向上が成功したと考えられます。

しかしながら、2008年以降、落花生生産量は急激な減少に転じました。6,000トンにまで急落した背景には、地域紛争や気候変動、そして水資源不足があるとされています。イラクは干ばつや高温などの厳しい気候条件にさらされ、水資源の有効利用が困難になりました。また、2003年以降のイラク戦争やそれに続く長期的な不安定状況が農業基盤の脆弱化を招いたことも大きな原因の一つとして挙げられます。

2023年には6,719トンと若干の回復が見られましたが、それでも依然としてピーク時の34,000トンの20%程度にすぎません。この回復のきっかけとしては、近年の地域農家への支援強化、気候変動対策の一部実施、そして落花生栽培に適した品種の採用などが挙げられます。しかし全体としての生産量は依然として低迷しており、さらなる政策的介入が必須と考えられます。

イラクにおける落花生栽培の課題として、まず第一に挙げられるのは気候変動への適応能力の向上です。水資源の不足が慢性的に続いている中、効率的な灌漑技術の整備や乾燥条件でも育つ品種の研究開発が進められるべきです。第二に、地域における農業教育や資金援助が欠かせません。特に農家が適切な栽培技術や市場へのアクセスを得られることが、生産性向上の鍵となります。また、政治的安定化と地域紛争の解決も、持続可能な農業経営において必要不可欠な要素です。

過去の経験を踏まえると、農業協同組合の設立や国際機関との共同プロジェクトを通じて、農業従事者の生活向上と市場の強化が図られるべきです。日本や中国、アメリカなどが取り組む農業技術の提供や地域連携の強化は、その具体例として参考にできます。例えば、日本がインドで進めている水田灌漑システムの導入は、イラクの乾燥地農業にも応用が効く可能性があります。

結論として、イラクの落花生生産量の推移は、過去の成功と現在の課題を象徴しています。これを打破するためには、気候変動への戦略的対応、農業技術の革新、そして政治的安定が必要です。国際社会がこれらの課題解決を支援し、地域の農業持続可能性を向上させるための具体的な行動が今後も求められるでしょう。

キーワード検索
楽天おすすめ