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イラクのリンゴ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)による2024年最新データによれば、イラクにおけるリンゴ生産量は1961年には20,000トンであったのに対し、2022年には77,800トンに達しています。この間、生産量は増減を繰り返しながらも、特定の時期には大きな減少が生じ、特に2004年から2007年にかけて大幅に落ち込みました。しかし、2010年以降、生産量は再び持ち直し、近年は安定している傾向が見受けられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 75,660
-2.75% ↓
2022年 77,800
-1.42% ↓
2021年 78,917
-0.62% ↓
2020年 79,413
4.72% ↑
2019年 75,831
52.75% ↑
2018年 49,644
4.24% ↑
2017年 47,626
7.04% ↑
2016年 44,495
5.17% ↑
2015年 42,307
-33.24% ↓
2014年 63,376
1.51% ↑
2013年 62,433
19.33% ↑
2012年 52,318
13.86% ↑
2011年 45,948
16.03% ↑
2010年 39,601
8.27% ↑
2009年 36,576
0.59% ↑
2008年 36,362
17.3% ↑
2007年 31,000
24% ↑
2006年 25,000 -
2005年 25,000
-13.79% ↓
2004年 29,000
-54.69% ↓
2003年 64,000
1.59% ↑
2002年 63,000
-10% ↓
2001年 70,000
6.06% ↑
2000年 66,000
-29.03% ↓
1999年 93,000
8.14% ↑
1998年 86,000
7.5% ↑
1997年 80,000
-5.88% ↓
1996年 85,000
-5.56% ↓
1995年 90,000
5.26% ↑
1994年 85,500
24.27% ↑
1993年 68,800
2.69% ↑
1992年 67,000
3.08% ↑
1991年 65,000
-13.33% ↓
1990年 75,000 -
1989年 75,000
4.17% ↑
1988年 72,000
10.62% ↑
1987年 65,090
-18.64% ↓
1986年 80,000
-33.33% ↓
1985年 120,000 -
1984年 120,000
4.35% ↑
1983年 115,000
4.55% ↑
1982年 110,000
4.76% ↑
1981年 105,000
41.89% ↑
1980年 74,000
-26.73% ↓
1979年 101,000
1.32% ↑
1978年 99,680
17.27% ↑
1977年 85,000
6.25% ↑
1976年 80,000
9.59% ↑
1975年 73,000
12.31% ↑
1974年 65,000
8.33% ↑
1973年 60,000
20% ↑
1972年 50,000
16.73% ↑
1971年 42,833
22.38% ↑
1970年 35,000
16.67% ↑
1969年 30,000
50% ↑
1968年 20,000
-16.67% ↓
1967年 24,000
4.35% ↑
1966年 23,000 -
1965年 23,000
4.55% ↑
1964年 22,000 -
1963年 22,000
10% ↑
1962年 20,000 -
1961年 20,000 -

イラクのリンゴ生産量のデータは、国全体の農業生産力や気候、社会情勢の変化を反映した重要な指標です。このデータは、イラクが抱える地政学的リスク、気候変動、農業政策の課題などを知るうえで欠かせないものとなっています。

1961年から1980年にかけて、イラクのリンゴ生産量は徐々に増加し、特に1969年から1975年にかけては急激な伸びが見られます。この時期の増加は、農業に対する投資や農地の拡大、さらには灌漑技術の改良などが関係していると考えられます。しかし、1980年代におけるイラク・イラン戦争や経済制裁の影響によって一転して農業全般が停滞し、リンゴの生産量も減少傾向に転じました。1990年代前半には生産量が再び持ち直したものの、これは生産効率の改善や収穫面積の拡大によるものと見られています。

2000年代に入ると、地域紛争や政情不安、自給自足のための農業支援の不足により、リンゴ生産量はさらに深刻な低下を記録しました。特に2004年には29,000トンにまで減少しており、ここでの急激な落ち込みは、イラク戦争終結後の混乱が農村地域にも深刻な影響を及ぼした結果といえます。このような大きな破壊の影響は、他国との比較においても目立ちます。例えば、同じ期間に隣国トルコやイランでは農業支援政策によってリンゴ生産量が増加しており、イラクとの差が大きく開いています。

その後、2010年以降は徐々に生産量が改善し、2019年には75,831トンと大きく回復しました。この回復は、紛争の一部沈静化や国際市場へのアクセスの回復、農業技術支援などが要因として挙げられます。しかし、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大した時期である2020年以降も、比較的安定した生産量を維持しているのは農業基盤の再整備が進んだ結果と考えられます。

課題として挙げられるのは、気候変動による降水量の減少や灌漑システムの劣化です。イラクでは異常気象や干ばつが頻発しており、農業用水の不足が継続的な問題となっています。また、農業従事者の高齢化や若年層の離農も深刻であり、人材問題への対応が必要です。これらの問題に対し、持続可能な灌漑システムの導入や耐乾性の高いリンゴ品種の普及といった具体的な対策が必要です。例えば、イスラエルやアメリカでは、水資源管理とテクノロジーの活用を組み合わせた例があり、これらを参考にすることが効果的でしょう。

地政学的リスクの観点から見ると、イラクにおけるリンゴ生産は、国内安定と食料供給の確保に深く関わっています。特に、農業の衰退は貧困層へ直接的な影響を与えるため、農業技術の導入と国際機関による支援が不可欠です。また、イラクのリンゴを国際市場により積極的に輸出し、外貨を得る仕組みを整えることも有効です。これには地域間の協力、特に周辺諸国との連携が重要です。

結論として、リンゴ生産量の推移はイラク全体の社会経済状況を象徴的に示しており、これを維持・増加させるためには、農業基盤の強化と気候変動への対応、さらには安定した国内情勢の構築が必要不可欠です。イラク政府や国際社会において、これらの課題に対する具体的な行動が求められています。