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トルクメニスタンの羊肉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、トルクメニスタンの羊肉生産量は、1992年の33,000トンから1999年までで一貫して増加し、2007年には125,000トンという大幅な成長を記録しました。その後、概ね12万トン台で推移しており、最近の2023年では126,830トンとなっています。しかし、近年は大きな増減が見られない、安定期にあることが示唆されます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 126,830
-0.97% ↓
2022年 128,070
-1.98% ↓
2021年 130,660
2.83% ↑
2020年 127,060
3.47% ↑
2019年 122,800
1.51% ↑
2018年 120,970
0.64% ↑
2017年 120,200
0.78% ↑
2016年 119,270
-1.05% ↓
2015年 120,531
0.62% ↑
2014年 119,790
-2.19% ↓
2013年 122,477
-1.3% ↓
2012年 124,087
-2.51% ↓
2011年 127,286
4.07% ↑
2010年 122,310
-4.45% ↓
2009年 128,000
3.23% ↑
2008年 124,000
-0.8% ↓
2007年 125,000
34.41% ↑
2006年 93,000
3.33% ↑
2005年 90,000
-5.26% ↓
2004年 95,000
5.56% ↑
2003年 90,000
8.43% ↑
2002年 83,000
16.9% ↑
2001年 71,000
7.58% ↑
2000年 66,000
10% ↑
1999年 60,000
3.27% ↑
1998年 58,100
21.04% ↑
1997年 48,000
-4% ↓
1996年 50,000
6.38% ↑
1995年 47,000
9.3% ↑
1994年 43,000
2.38% ↑
1993年 42,000
27.27% ↑
1992年 33,000 -

トルクメニスタンにおける羊肉生産量は、1990年代から2000年代初頭にかけて著しい増加を見せました。この増加は、同国の農業および酪農分野への政策的支援やインフラ整備の進展、地元市場および輸出向けの需要の高まりが影響したと考えられます。特に1990年代後半から2007年にかけての成長率の高さは目を引きます。1992年に比べて、2007年の生産量は約3.8倍となり、この期間における国家の農業振興策が大きな成果を上げたことを示しています。

一方で、2007年以降は羊肉生産量が概ね安定化し、12万トン台を維持しています。そして直近の2023年でも126,830トンと、ここ15年間の値から大きな変動は見られません。この安定期には、酪農規模の天井化、国内需要の一定化、輸出市場競争の激化などの複合的な要因が関係していると考えられます。加えて、気候変動などの外的要因が家畜の飼育環境に影響を与えている可能性も十分にあります。

羊肉生産量を周辺国と比較してみると、トルクメニスタンは中央アジア地域でも目立つ存在です。しかしながら、中国やインドといった巨大消費市場や米国、オーストラリアのような大規模な輸出国に比べると、まだ規模は小さく、特に品質や加工技術、輸出インフラ整備などの点で課題が残ると指摘できます。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックが及ぼした影響についても触れておく必要があります。この期間、物流制限が発生し、国際市場への羊肉輸出には一定の影響があったと推測されます。ただし、国内消費の維持と再開後の市場回復によって、2021年以降の生産量は持続して増加し、パンデミック前レベルに戻ったように見受けられます。

今後の課題として、第一に国内外の市場需要と供給体制のさらなる調整が挙げられます。特に、輸出市場を広げるには高度な衛生基準や品質管理体制を整える必要があります。また、地理的には中央アジア特有の水資源不足や砂漠化といった環境問題が放牧業に影響を与える懸念があり、これに対応する持続可能な農牧業政策の確立が求められるでしょう。また、地政学的リスクとしては、周辺国との貿易摩擦や紛争地域への輸送路の影響も注視すべきです。

さらなる成長を実現するための具体的な対策として、地域間協力枠組みを強化し、農畜産物の輸送や保存技術の普及に注力することが挙げられます。また、グローバル市場での競争力を高めるため、飼料効率の向上や品種改良、さらには国際的な食品安全基準への適合を進める必要があります。こうした取り組みは、トルクメニスタン牧畜業全体の競争力と収益性を増大させると期待されます。