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クック諸島のアボカド生産量推移(1961年~2023年)

クック諸島のアボカド生産量は1960年代から1970年代にかけて徐々に増加しましたが、1975年以降大きく減少しました。その後1980年代半ばに一時的な増加が見られたものの、1990年以降は再び減少傾向が続き、2000年代には大幅に低下しました。最近では生産量の減少は止まり、2020年以降は安定的に毎年21トン程度を生産している状況が確認されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 21
-0.33% ↓
2022年 21
0.81% ↑
2021年 21
-0.66% ↓
2020年 21
-1.08% ↓
2019年 21
4.35% ↑
2018年 20
-5.05% ↓
2017年 22
-2.22% ↓
2016年 22
6.83% ↑
2015年 21
-6.14% ↓
2014年 22
-6.5% ↓
2013年 24
-9.5% ↓
2012年 26
-9.44% ↓
2011年 29
-8.74% ↓
2010年 31
-3.5% ↓
2009年 33
4.42% ↑
2008年 31
24.88% ↑
2007年 25
52.07% ↑
2006年 16
-1.08% ↓
2005年 17
10.8% ↑
2004年 15
-57.14% ↓
2003年 35
-50% ↓
2002年 70
-30.91% ↓
2001年 101
-18.33% ↓
2000年 124
-11.69% ↓
1999年 140
-6.35% ↓
1998年 150 -
1997年 150
0.76% ↑
1996年 149
-6.45% ↓
1995年 159
-20.44% ↓
1994年 200
-31.45% ↓
1993年 292
-27.06% ↓
1992年 400
-20% ↓
1991年 500
-1.38% ↓
1990年 507
-24.33% ↓
1989年 670 -
1988年 670 -
1987年 670 -
1986年 670
34% ↑
1985年 500 -
1984年 500 -
1983年 500 -
1982年 500 -
1981年 500 -
1980年 500
-16.67% ↓
1979年 600 -
1978年 600 -
1977年 600 -
1976年 600
-29.41% ↓
1975年 850
26.68% ↑
1974年 671 -
1973年 671
1.67% ↑
1972年 660 -
1971年 660
1.54% ↑
1970年 650
8.33% ↑
1969年 600 -
1968年 600 -
1967年 600
9.09% ↑
1966年 550 -
1965年 550
3.77% ↑
1964年 530
6% ↑
1963年 500
11.11% ↑
1962年 450 -
1961年 450 -

国際連合食糧農業機関(FAO)による最新データをもとにクック諸島のアボカド生産量推移を見てみると、過去60年以上にわたり顕著な増減が確認されます。このデータはクック諸島の農業生産の変遷を示す重要な指標であり、その背景には気候条件、農業従事者の規模、輸送インフラの整備状況、地域経済政策など多様な要因が影響を与えています。

1961年におけるアボカドの生産量は450トンで、以降1960年代は概ね上昇傾向を示しました。特に1965年から1971年にかけての間に約1.5倍(550トンから660トン)の増加が見られました。この期間はクック諸島において農業が重要な産業として成長していた時期と重なり、アボカド生産が地域経済の中心的な役割を果たしていたことが推察されます。1975年には過去最高の850トンを記録しています。

しかし、1976年以降、生産量は顕著に減少し始めました。この変化には、農業労働力の減少、インフラの未整備、輸出用の物流コストの増大など複合的な問題が関与していたと考えられます。また1980年代に入り、観光業がクック諸島の主要な産業として台頭したことで、農業優先の政策からシフトした可能性もあります。特に1990年代以降(1992年の400トンから1995年の159トンへの急激な減少)には、国際市場における競争の激化や消費者需要の変化も生産量減少の一因となりました。

2000年代に入ると生産量はさらに落ち込み、2004年にはわずか15トンと最低値を記録しました。この時期は自然災害や気候変動の影響により、農作物の生産条件が一層厳しいものとなっていたとの報告があります。その後、生産量はわずかずつ回復し、2020年以降は21トン程度で安定しています。しかし、これはかつての生産量に比べると極めて小規模で、クック諸島のアボカド栽培が持つ潜在的な可能性は十分に活用されていないと考えられます。

この状況に対し、今後の政策として以下の具体的な取り組みが提言されます。まず、小規模農家への技術支援を強化することで、生産効率の向上を図ることが重要です。さらに、気候変動に耐性のあるアボカド品種の導入や灌漑施設の整備を進めることで、自然災害や干ばつの影響を軽減することが期待されます。また、国内外の市場ニーズに応じたマーケティング戦略を展開し、アボカドの付加価値を向上させることも有効です。

地域間の連携も解決策の一つです。他の太平洋諸国との協力を深め、輸出ルートや観光客へのプロモーションを通じた販売促進が期待されます。さらに、フードセキュリティ(食料安全保障)を考慮し、輸出だけでなく地域内での消費拡大を促す政策立案も一考に値します。

結論として、クック諸島のアボカド生産量推移は、多くの外的および内的要因によって移り変わってきました。現在の安定した低水準は、同国の農業生産が持つ可能性を十分に発揮している状態とは言えません。政府や国際機関が適切な支援やインフラ投資を行うことで、持続可能かつ競争力のあるアボカド生産の将来像を描くことが可能です。