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オーストラリアのマンゴー・マンゴスチン・グアバ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(FAO)が発表した最新データによると、オーストラリアにおけるマンゴー、マンゴスチン、グアバの生産量は、1961年の927トンから2023年の74,900トンに劇的に増加しました。特に1980年代から1990年代にかけて急激な成長が見られ、それ以降は幾度かの増減を経ながらも安定して高い生産量を維持しています。2023年は過去最高の生産量を記録しました。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 74,900
27.76% ↑
2022年 58,626
-3.48% ↓
2021年 60,741
-2.97% ↓
2020年 62,603
26.23% ↑
2019年 49,594
-12.83% ↓
2018年 56,893
30.05% ↑
2017年 43,748
2.9% ↑
2016年 42,515
8.98% ↑
2015年 39,010
-6.92% ↓
2014年 41,911
2.73% ↑
2013年 40,797
-9.23% ↓
2012年 44,946
22.61% ↑
2011年 36,659
-17.33% ↓
2010年 44,342
9.06% ↑
2009年 40,660
-16.9% ↓
2008年 48,928
-15.56% ↓
2007年 57,947
59.42% ↑
2006年 36,348
-21.86% ↓
2005年 46,517
25.15% ↑
2004年 37,169
-5.83% ↓
2003年 39,470
-3.67% ↓
2002年 40,973
9.56% ↑
2001年 37,398
-1.77% ↓
2000年 38,071
44.36% ↑
1999年 26,372
-27.88% ↓
1998年 36,567
12.85% ↑
1997年 32,403
18.97% ↑
1996年 27,236
-8% ↓
1995年 29,603
52.28% ↑
1994年 19,440
-13.09% ↓
1993年 22,369
29.66% ↑
1992年 17,252
44.76% ↑
1991年 11,918
28.68% ↑
1990年 9,262
60.6% ↑
1989年 5,767
-17.51% ↓
1988年 6,991
142.41% ↑
1987年 2,884
-27.9% ↓
1986年 4,000
40.85% ↑
1985年 2,840
11.99% ↑
1984年 2,536
25.11% ↑
1983年 2,027
-11.14% ↓
1982年 2,281
1.56% ↑
1981年 2,246
55.11% ↑
1980年 1,448
30.33% ↑
1979年 1,111
-21.32% ↓
1978年 1,412
0.14% ↑
1977年 1,410
169.6% ↑
1976年 523
-56.09% ↓
1975年 1,191
60.95% ↑
1974年 740
-55.48% ↓
1973年 1,662
37.47% ↑
1972年 1,209
-19.45% ↓
1971年 1,501
50.55% ↑
1970年 997
-8.45% ↓
1969年 1,089
-9.55% ↓
1968年 1,204
16.55% ↑
1967年 1,033
4.13% ↑
1966年 992
73.12% ↑
1965年 573
-45.94% ↓
1964年 1,060
27.1% ↑
1963年 834
-10.03% ↓
1962年 927 -
1961年 927 -

オーストラリアのマンゴー、マンゴスチン、グアバの生産量推移を詳しく見てみると、初期の1960年代には年間1,000トン前後の小規模な生産規模でした。この時期は輸出や国内市場の需要が限定的であり、生産はその需要に基づいて調整されていたと考えられます。しかし、1980年代後半から生産量が急上昇しました。この背景には、一部地域での商業的果樹栽培の拡大や農業生産技術の向上が挙げられます。また、世界的な経済発展に伴い、南半球の果物に対する輸出需要が高まったことも大きな要因でしょう。

特に、1990年代のオーストラリア農業の成長は顕著であり、1990年の9,262トンから1995年には29,603トン、1998年には36,567トンと短期間で大幅な伸びを記録しています。この成功には、国内外でのマンゴーやマンゴスチン、グアバの消費が増加しただけでなく、農村インフラの整備や持続可能な農業プラクティスの導入が重要な役割を果たしています。

2000年代に入ると一定の増加傾向が続く一方、生産量にはやや変動も見られました。これは、気候変動の影響や市場の需給バランスの変化が一因とされています。例えば、干ばつや洪水などの自然災害、並びに世界的なサプライチェーンの混乱が一部の年の生産に影響を及ぼしました。また、2020年以降には新型コロナウイルスの大流行に伴い、輸出・物流に混乱が生じましたが、それにもかかわらず、2020年には過去の生産量を上回る62,603トンを達成しており、農業部門のレジリエンス(回復力)の高さが示されています。

2023年には前年度比で明らかな増加が見られ、74,900トンという過去最高の生産量を記録しました。これは、農業技術のさらなる発展に加え、南アジアや中東といった輸出市場での需要拡大が関連していると考えられます。特に、これらの果実は食文化やヘルスケアの文脈でも注目されており、健康志向の向上による消費増が生産の拡大を後押ししたと考えられます。

ただし、この生産拡大には課題も存在します。特に、気候変動への対応が極めて重要です。オーストラリアの農業は気温上昇や水不足、異常気象に大きく依存しており、これらのリスクを軽減するための政策・技術導入が不可欠です。例えば、灌漑システムの効率化や耐乾燥性の高い果樹の品種改良が挙げられるでしょう。また、輸出市場の需要に応えるための安定的な物流インフラの構築や、地政学的リスクへの対応も必要です。これらの取り組みにより、今後の生産拡大と市場安定が期待されます。

オーストラリア農業の競争力を高めるためには、国内生産の効率性向上とともに、国際市場でのポジションを強化し続けることが重要です。そのためには、近隣アジア諸国との農業技術共有や、新興市場開拓を進めるべきでしょう。こうした地域間協力を通じて、長期的なリスク管理と持続可能な発展を実現することが求められます。