国際連合食糧農業機関(Food and Agriculture Organization)が発表した最新データによれば、オーストラリアのサツマイモ生産は1960年代から緩やかな増加を続け、1990年代以降急速に拡大しました。特に1990年代後半から2000年代初頭にかけ大幅な伸びを見せ、その後も一定の増加傾向が続いています。2020年以降はおよそ77,000トン前後で安定した状態となっています。この長期的な成長は技術革新、栽培エリアの拡大、市場需要の高まりが背景にあります。
オーストラリアのサツマイモ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 91,458 |
18.69% ↑
|
2022年 | 77,059 |
-0.28% ↓
|
2021年 | 77,277 |
0.03% ↑
|
2020年 | 77,251 |
0.78% ↑
|
2019年 | 76,650 |
-1.64% ↓
|
2018年 | 77,930 |
0.98% ↑
|
2017年 | 77,173 |
3.11% ↑
|
2016年 | 74,847 |
-8.03% ↓
|
2015年 | 81,385 |
8.1% ↑
|
2014年 | 75,287 |
10.93% ↑
|
2013年 | 67,869 |
8.53% ↑
|
2012年 | 62,535 |
9.95% ↑
|
2011年 | 56,877 |
14.2% ↑
|
2010年 | 49,804 |
17.3% ↑
|
2009年 | 42,460 |
10.55% ↑
|
2008年 | 38,407 |
-21.83% ↓
|
2007年 | 49,131 |
10.92% ↑
|
2006年 | 44,293 |
5.46% ↑
|
2005年 | 42,000 |
5% ↑
|
2004年 | 40,000 |
8.11% ↑
|
2003年 | 37,000 |
12.12% ↑
|
2002年 | 33,000 |
10% ↑
|
2001年 | 30,000 |
11.11% ↑
|
2000年 | 27,000 |
22.73% ↑
|
1999年 | 22,000 |
22.22% ↑
|
1998年 | 18,000 |
63.64% ↑
|
1997年 | 11,000 |
66.09% ↑
|
1996年 | 6,623 |
-17.33% ↓
|
1995年 | 8,011 |
-4.16% ↓
|
1994年 | 8,359 |
10.51% ↑
|
1993年 | 7,564 |
27.53% ↑
|
1992年 | 5,931 |
-10.41% ↓
|
1991年 | 6,620 |
8.72% ↑
|
1990年 | 6,089 |
5.8% ↑
|
1989年 | 5,755 |
26.82% ↑
|
1988年 | 4,538 |
-3.08% ↓
|
1987年 | 4,682 |
9.42% ↑
|
1986年 | 4,279 |
-7.42% ↓
|
1985年 | 4,622 |
4.97% ↑
|
1984年 | 4,403 |
29.31% ↑
|
1983年 | 3,405 |
-14.88% ↓
|
1982年 | 4,000 |
2.56% ↑
|
1981年 | 3,900 |
2.25% ↑
|
1980年 | 3,814 |
35.63% ↑
|
1979年 | 2,812 |
10.75% ↑
|
1978年 | 2,539 |
-12.33% ↓
|
1977年 | 2,896 |
1.33% ↑
|
1976年 | 2,858 |
28.74% ↑
|
1975年 | 2,220 |
-23.5% ↓
|
1974年 | 2,902 |
-6.81% ↓
|
1973年 | 3,114 |
11.17% ↑
|
1972年 | 2,801 |
91.19% ↑
|
1971年 | 1,465 |
8.36% ↑
|
1970年 | 1,352 |
-7.14% ↓
|
1969年 | 1,456 |
-2.67% ↓
|
1968年 | 1,496 |
-18.21% ↓
|
1967年 | 1,829 |
27.1% ↑
|
1966年 | 1,439 |
-21.45% ↓
|
1965年 | 1,832 |
9.57% ↑
|
1964年 | 1,672 |
-2.45% ↓
|
1963年 | 1,714 |
-2.22% ↓
|
1962年 | 1,753 |
18.05% ↑
|
1961年 | 1,485 | - |
オーストラリアのサツマイモ生産は、1960年代にはおおむね1,500~2,000トンの範囲で推移しており、規模としては非常に小さな農産品でした。しかし、1980年代から1990年代にかけて生産量の大幅な増加が始まりました。1998年には18,000トン、1999年には22,000トン、2000年には27,000トンと、わずか3年間で大きな成長が見られます。この成長は、オーストラリア内外でのサツマイモの需要増と、農業技術の向上に支えられていると考えられます。また、品種改良や効率的な農法の普及が、生産性の向上に寄与した可能性が高いです。
その後も増加は続き、2006年以降、生産量は毎年約40,000トンを超えるようになりました。2010年代にはさらなる成長を遂げ、2014年には75,287トン、2015年には81,385トンと記録的な増加を示しています。しかし、2016年には一時的に減少するものの、その後再び緩やかに回復し、2020年から2022年には年間約77,000トン前後で安定した生産量を維持しています。
こうした発展の背景には、国内需要の変化が挙げられます。サツマイモが健康食品やグルテンフリー食品として注目され、国内消費が増加したことは見逃せない点です。また、近年の気候変動に対応した耐性品種の開発が進み、安定した収穫が可能になったことも重要な要因です。さらに、オーストラリアのサツマイモ輸出は、市場の多様化とともにアジアの国々でも高い需要を誇り、中国、日本、韓国などでも健康志向の高まりと共に消費が増加しています。
課題としては、気候変動の影響や水資源の持続可能な利用が挙げられます。オーストラリアが乾燥地域であるため、水不足は農業全般にとって大きな課題であり、特に灌漑に依存する農業生産は影響を受けやすい特徴があります。さらに、COVID-19のパンデミックや地政学的リスクによるサプライチェーンの不安定性も、今後の生産と輸出にとってのリスク要因です。
これらの課題を乗り越えるためには、以下のような具体的な対策が必要です。大規模農業においては、水資源の効果的な利用技術の開発や導入が急務といえます。また、各地域間での農業協力を促進することで、収穫量や輸出の安定化を図ることが有効です。他にも、気候変動に強い品種のさらなる研究開発が不可欠です。
結論として、オーストラリアのサツマイモ生産は長期的に見れば好調が続いており、国内外での需要に支えられ今後も成長していく可能性が高いです。しかし、自然環境や社会経済的なリスクを考慮した持続可能な農業システムの構築が必須であり、国や国際機関が協力し、技術革新や政策的支援を通じてこれを実現することが必要です。