国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月最新データによると、オーストラリアのスイカ生産量は1961年の13,200トンから2023年には171,946トンまで増加しました。この間、おおむね上昇傾向が見られる中、特定の期間で減少や停滞も観察されました。特に1990年代から2000年代にかけての急増や、2000年以降の比較的安定した高水準の生産が特徴的です。
オーストラリアのスイカ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 171,946 |
0.3% ↑
|
2022年 | 171,435 |
-0.58% ↓
|
2021年 | 172,434 |
0.27% ↑
|
2020年 | 171,969 |
1.22% ↑
|
2019年 | 169,902 |
-3.15% ↓
|
2018年 | 175,433 |
2.85% ↑
|
2017年 | 170,572 |
4.2% ↑
|
2016年 | 163,701 |
-2.83% ↓
|
2015年 | 168,470 |
3.43% ↑
|
2014年 | 162,890 |
1.97% ↑
|
2013年 | 159,742 |
5.64% ↑
|
2012年 | 151,219 |
11.5% ↑
|
2011年 | 135,618 |
-2.38% ↓
|
2010年 | 138,928 |
5.96% ↑
|
2009年 | 131,112 |
-13.82% ↓
|
2008年 | 152,141 |
11.16% ↑
|
2007年 | 136,861 |
2.3% ↑
|
2006年 | 133,779 |
23.47% ↑
|
2005年 | 108,352 |
-14.6% ↓
|
2004年 | 126,877 |
14.35% ↑
|
2003年 | 110,955 |
11.3% ↑
|
2002年 | 99,686 |
-5.82% ↓
|
2001年 | 105,842 |
24.3% ↑
|
2000年 | 85,152 |
28.35% ↑
|
1999年 | 66,346 |
-17.95% ↓
|
1998年 | 80,857 |
-6.69% ↓
|
1997年 | 86,658 |
9.31% ↑
|
1996年 | 79,279 |
9.71% ↑
|
1995年 | 72,263 |
6.65% ↑
|
1994年 | 67,757 |
9.91% ↑
|
1993年 | 61,645 |
7.41% ↑
|
1992年 | 57,392 |
-2.93% ↓
|
1991年 | 59,124 |
14.09% ↑
|
1990年 | 51,820 |
2.49% ↑
|
1989年 | 50,562 |
4.4% ↑
|
1988年 | 48,431 |
10.29% ↑
|
1987年 | 43,912 |
-0.34% ↓
|
1986年 | 44,060 |
5.3% ↑
|
1985年 | 41,843 |
15.44% ↑
|
1984年 | 36,247 |
-3.57% ↓
|
1983年 | 37,587 |
60.27% ↑
|
1982年 | 23,452 |
15.13% ↑
|
1981年 | 20,370 |
-30.82% ↓
|
1980年 | 29,447 |
1.86% ↑
|
1979年 | 28,908 |
-3.86% ↓
|
1978年 | 30,069 |
16.23% ↑
|
1977年 | 25,871 |
32.42% ↑
|
1976年 | 19,537 |
-1.83% ↓
|
1975年 | 19,902 |
-3.48% ↓
|
1974年 | 20,619 |
-10.29% ↓
|
1973年 | 22,984 |
-6.19% ↓
|
1972年 | 24,500 |
31.71% ↑
|
1971年 | 18,601 |
15.69% ↑
|
1970年 | 16,078 |
-11.49% ↓
|
1969年 | 18,165 |
-2.86% ↓
|
1968年 | 18,700 |
6.25% ↑
|
1967年 | 17,600 |
23.08% ↑
|
1966年 | 14,300 |
4% ↑
|
1965年 | 13,750 |
-3.85% ↓
|
1964年 | 14,300 |
4% ↑
|
1963年 | 13,750 |
4.17% ↑
|
1962年 | 13,200 | - |
1961年 | 13,200 | - |
オーストラリアのスイカ生産量は、1960年代初頭から現在に至るまで緩やかな成長を維持しながら、時折、大きな波を伴う推移を示してきました。例えば、1960年代の生産量は、13,000トンから18,000トン程度の範囲で推移していましたが、1970年代に入ると20,000トンを超える水準へ拡大し、1980年代以降はその成長がさらに拍車をかけられました。特に1983年以降は断続的に増加が続き、1990年代には50,000トンを上回り、2000年以降は10万トンを超える生産量が維持されています。これには、農業技術の進化や灌漑技術の改善、国内外の需要増加が背景として考えられます。
一方で、時折見られる生産量の減少や横ばいの現象についてですが、例えば1999年や2009年に見られる急激な落ち込みや、2019年以降の成長停滞が挙げられます。これらの変動には、気象条件の変化や旱魃(かんばつ)、また近年では気候変動による影響が考えられます。また、コロナ禍の影響が拡大していた2020年から2022年にかけての停滞も、生産環境や流通に関与している可能性があります。こういった外部要因が作物や農業全体へ与える影響については、さらに詳細な分析が必要です。
国際的な視野で見ると、オーストラリアのスイカ生産量はグローバルな生産量に比べ比較的小規模と言えます。例えば、中国やインドではスイカの生産量が圧倒的に多く、特に中国は世界の総生産量の半数以上を占めています。一方、多雨地帯を有するアメリカや、限られた農地を効率活用しているフランス、イギリスと比較すれば、オーストラリアはその広大な農地面積を活かし、地理的な条件をうまく利用した持続可能な生産を長期的に達成しているとも評価できます。
しかしながら、オーストラリアにおける懸念事項として、気候変動の影響が挙げられます。近年、オーストラリア特有の乾燥地帯がさらに過酷な環境へ変わりつつあることが農業に与える負荷を高めています。この地域の降水量が減少する中でスイカ栽培が将来的に安定供給できるかどうかを評価し、農業政策や気候適応性を考慮した戦略を検討する必要があります。
対策としては、例えば耐乾性の強いスイカ品種の開発や、温室での作物栽培の普及を進めることが挙げられます。また、農地の効率的な利用を目的にした灌漑技術のさらなる向上や、近隣諸国との技術協力も選択肢となるでしょう。さらに、輸出市場の多様化を行い、アジア圏を中心としたスイカ消費の高い国々への輸出ルート拡充を試みることで、国としての農業経済の安定を図るべきです。
結論として、オーストラリアはこれまでスイカ生産において順調な成長を遂げていますが、気候リスクや経済的課題に対応する具体的な政策が、今後の更なる発展には不可欠です。そして、それを国際的な協力を通じて支えていくことも、世界規模での食糧保障や地球規模の環境問題への対応に寄与する重要な要素と言えるでしょう。