国際連合食糧農業機関(Food and Agriculture Organization)が発表した2024年更新のデータによると、オーストラリアのアーモンド生産量は1980年の3,500トンから2023年には260,000トンまで大幅に増加しました。特に2000年以降、急速な生産拡大が見られ、一時的な増減はあるものの、全体的には長期的な成長傾向が明確です。2000年代から大規模農業の導入や灌漑技術の発達が寄与し、2019年から2022年まで過去最高の360,328トンを記録しましたが、2023年はこれからやや減少しています。
オーストラリアのアーモンド生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 260,000 |
-27.84% ↓
|
2022年 | 360,328 |
14.03% ↑
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2021年 | 316,000 |
22.48% ↑
|
2020年 | 258,000 |
21.7% ↑
|
2019年 | 212,000 |
22.54% ↑
|
2018年 | 173,000 |
-6.98% ↓
|
2017年 | 185,980 |
6.48% ↑
|
2016年 | 174,660 |
12.47% ↑
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2015年 | 155,300 |
1.86% ↑
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2014年 | 152,470 |
-5.65% ↓
|
2013年 | 161,600 |
47.99% ↑
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2012年 | 109,200 |
31.72% ↑
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2011年 | 82,900 |
-3.72% ↓
|
2010年 | 86,100 |
7.09% ↑
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2009年 | 80,400 |
40.07% ↑
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2008年 | 57,400 |
-1.88% ↓
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2007年 | 58,500 |
67.14% ↑
|
2006年 | 35,000 |
-1.69% ↓
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2005年 | 35,600 |
40.71% ↑
|
2004年 | 25,300 |
13.96% ↑
|
2003年 | 22,200 |
7.77% ↑
|
2002年 | 20,600 |
2.49% ↑
|
2001年 | 20,100 |
-4.29% ↓
|
2000年 | 21,000 |
16.67% ↑
|
1999年 | 18,000 |
2.86% ↑
|
1998年 | 17,500 |
16.67% ↑
|
1997年 | 15,000 |
15.38% ↑
|
1996年 | 13,000 |
4% ↑
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1995年 | 12,500 |
13.64% ↑
|
1994年 | 11,000 |
10% ↑
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1993年 | 10,000 |
5.26% ↑
|
1992年 | 9,500 |
5.56% ↑
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1991年 | 9,000 |
80% ↑
|
1990年 | 5,000 | - |
1989年 | 5,000 |
2.04% ↑
|
1988年 | 4,900 |
8.89% ↑
|
1987年 | 4,500 |
-8.16% ↓
|
1986年 | 4,900 |
22.5% ↑
|
1985年 | 4,000 |
8.11% ↑
|
1984年 | 3,700 |
2.78% ↑
|
1983年 | 3,600 |
4.35% ↑
|
1982年 | 3,450 |
6.15% ↑
|
1981年 | 3,250 |
-7.14% ↓
|
1980年 | 3,500 | - |
アーモンドは、特に収益性の高い農産物のひとつで、健康志向の高まりとともにその需要が世界的に増加しています。オーストラリアは地中海性気候を持つ南東部を中心にアーモンド生産を行い、この特殊な気候条件によって高品質な収穫量を誇ります。データの推移を見ても、1980年代から2000年代初頭までは緩やかな増加傾向に留まっていますが、2000年代中盤以降から急速な伸びを示しました。この転換点には、灌漑施設の改善や栽培面積の拡大、より効果的な品種選定が寄与しています。
特に2007年から2013年にかけて生産量が3倍近く伸び、これは政府や農業団体が共同で取り組んだ大規模農業投資の結果とされています。一方で、2014年以降の急増には、世界的なアーモンド需要増加が背景にあり、健康的な食品を購入したい消費者のニーズが影響を与えています。同時に、中国やインドなど、新興国市場の拡大も世界需要を後押ししました。
2023年に生産量が260,000トンに減少した理由については、いくつかの要因が考えられます。まず、気候変動の影響が重要な要素として挙げられ、降雨不足や高温の増加が木の生長や収穫に負の影響を及ぼす可能性があります。また、世界的には新型コロナウイルスの影響による物流問題が残存しており、これが生産と輸出量の調整に繋がったことも一因と推測されます。他にも、国際市場での需要の短期的停滞や価格変動も一部影響していると考えられます。
今後の課題としては、まず気候変動リスクへの対応が鍵となります。灌漑設備のさらなる整備や、水利用効率の向上が推進されるべきです。また、乾燥耐性の高い品種の開発と導入も急務です。さらに、-アーモンド農業を支える労働力不足が高まりつつある中、農業用ロボット技術や機械化の促進が重要になります。
地政学的背景も見過ごせません。特にアーモンド市場での中国の需要増減がオーストラリアの輸出業界に与える影響が大きく、両国間の貿易摩擦は今後の課題となります。地域協力の促進や輸出先の多角化によって、このリスクの軽減が図られるべきでしょう。
結論として、オーストラリアのアーモンド生産量は40年以上で飛躍的な拡大を遂げましたが、今後もその成長を持続させるためには、新しい栽培技術や効率的な水資源管理、地域間協力、高品質品種へのシフトが求められます。また、消費トレンドをしっかり反映しながら、市場動向を踏まえた柔軟な戦略を立てることで、持続可能な生産と輸出を実現することが期待されます。