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オーストリアのサワーチェリー生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データ(2024年7月更新)によれば、オーストリアのサワーチェリー生産量は長期的な変動を見せています。特に1960年代から2000年代にかけて生産量は徐々に増加し、2007年に5,813トンというピークを迎えました。しかし、それ以降は大幅な減少が見られ、2023年には350トンまで減少しています。これは過去60年以上の観測の中で最低水準となっており、気候変動や農業政策の影響が懸念されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 350
-46.97% ↓
2022年 660
4.76% ↑
2021年 630
-18.18% ↓
2020年 770
1.32% ↑
2019年 760
-27.62% ↓
2018年 1,050
81.98% ↑
2017年 577
35.6% ↑
2016年 426
-40.81% ↓
2015年 719
-3.99% ↓
2014年 749
-2.85% ↓
2013年 771
46.97% ↑
2012年 524
-46.33% ↓
2011年 977
79.6% ↑
2010年 544
-89.47% ↓
2009年 5,164
6.69% ↑
2008年 4,840
-16.74% ↓
2007年 5,813
19.46% ↑
2006年 4,866
12.87% ↑
2005年 4,311
-13.08% ↓
2004年 4,960
-3.46% ↓
2003年 5,138
40.03% ↑
2002年 3,669
-34.83% ↓
2001年 5,630
11.07% ↑
2000年 5,069
11.92% ↑
1999年 4,529
-11.47% ↓
1998年 5,116
23.07% ↑
1997年 4,157
3.02% ↑
1996年 4,035
-19.44% ↓
1995年 5,009
7.91% ↑
1994年 4,642
-9.21% ↓
1993年 5,113
1.34% ↑
1992年 5,045
27.3% ↑
1991年 3,963
-2.56% ↓
1990年 4,067
0.99% ↑
1989年 4,027
27.8% ↑
1988年 3,151
-7.08% ↓
1987年 3,391
-8.3% ↓
1986年 3,698
5.63% ↑
1985年 3,501
-18.96% ↓
1984年 4,320
8.71% ↑
1983年 3,974
6.29% ↑
1982年 3,739
60.47% ↑
1981年 2,330
-32.54% ↓
1980年 3,454
12.69% ↑
1979年 3,065
3.9% ↑
1978年 2,950
22.97% ↑
1977年 2,399
-13.64% ↓
1976年 2,778
-19.24% ↓
1975年 3,440
8.35% ↑
1974年 3,175
-5.73% ↓
1973年 3,368
47.53% ↑
1972年 2,283
-28.41% ↓
1971年 3,189
-5.15% ↓
1970年 3,362
1.11% ↑
1969年 3,325
-5.19% ↓
1968年 3,507
31.05% ↑
1967年 2,676
-9.75% ↓
1966年 2,965
16.73% ↑
1965年 2,540
-4.19% ↓
1964年 2,651
-12.39% ↓
1963年 3,026
7.53% ↑
1962年 2,814
-19.55% ↓
1961年 3,498 -

オーストリアのサワーチェリー生産量の推移を見ると、興味深い長期的動向が浮かび上がります。1960年代から1980年代までは、年間生産量が2,500~3,500トンの間を推移する比較的安定した時期が続きました。しかし、1990年代に入ると生産量は急上昇し、2000年代には5,000トンを超える年々増加基調が続きました。特に2007年に記録した5,813トンは、過去最高の生産量となっています。

しかしながら、2010年以降、オーストリアのサワーチェリー生産量は急激な低下を見せ、近年では減少傾向が顕著です。特に2023年の350トンは記録的な低水準であり、この突然の生産量減少には複合的な要因が影響しています。一つの要因として挙げられるのが気候変動の影響です。近年のヨーロッパでは、夏季の異常気象や春の霜による果樹被害が頻発しており、サワーチェリー栽培にも大きな打撃を与えています。これに加え、農業従事者の高齢化や若手人材の離農、国際競争の激化など、農業セクター全体における構造的課題も無視できません。

地政学的背景では、ウクライナ情勢をはじめとした東欧における不安定な状況が影響する可能性があります。農業資材や燃料価格の高騰が、サワーチェリー生産コストの上昇を招いている可能性があります。また、EU内の農業支援政策の変化や輸入品の増加もオーストリア産サワーチェリーの市場競争力を低下させる要因となっています。

この現状を踏まえ、いくつかの課題と提言が挙げられます。第一に、気候変動に強い品種の研究開発と導入が急務です。耐寒性や干ばつ耐性に優れた品種を導入することにより、気象条件の変化に対応することが可能となります。第二に、国内外の需要動向を踏まえた農業戦略を再検討することです。例えば、有機農法によるサワーチェリーのブランド化や高付加価値商品(ジャム、ジュースなど)の開発を通じた収益性向上が考えられます。さらに、第三の提言として、EUや国際機関との協力を深め、補助金や技術支援を得ることで生産基盤の再構築を目指すことが重要です。

また、長期的視点では、地元農業労働者の確保や若手農業者の育成も不可欠となります。デジタルツールやスマート農業技術を導入し、若年層にとって魅力的な職業環境を構築することが、農業全体の持続可能性を高める鍵となるでしょう。

結論として、オーストリアのサワーチェリー生産量減少には複雑な要因が絡み合っていますが、適切な政策と技術革新によって回復の見込みがあるといえます。オーストリア政府だけでなく、EU全体が連携した取り組みを進めることにより、サワーチェリー産業の持続可能な未来を築くことができます。このような取組みは、農業の強化のみならず、地域経済や雇用促進にも寄与すると期待されます。

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