Skip to main content

パキスタンのアーモンド生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、パキスタンのアーモンド生産量は1961年の9,000トンから1990年代半ばまで継続的に増加し、1995年には48,996トンに達しました。しかし、2000年代に入ると減少傾向が見られ、近年の2022年および2023年にはそれぞれ17,278トン、17,380トンと低水準を記録しています。この変動は、気候変動や農業政策、地政学的リスクに加え、技術的な課題などが影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 17,380
0.59% ↑
2022年 17,278
-6.96% ↓
2021年 18,570
-11.97% ↓
2020年 21,094
5.33% ↑
2019年 20,027
0.17% ↑
2018年 19,994
-8.06% ↓
2017年 21,747
1.38% ↑
2016年 21,451
-1.97% ↓
2015年 21,881
1.07% ↑
2014年 21,649
-3.05% ↓
2013年 22,330
4.15% ↑
2012年 21,440
-0.12% ↓
2011年 21,465
-2.14% ↓
2010年 21,935
-16.91% ↓
2009年 26,400
-0.8% ↓
2008年 26,614
13.82% ↑
2007年 23,382
0.16% ↑
2006年 23,344
0.93% ↑
2005年 23,129
-3.32% ↓
2004年 23,924
1% ↑
2003年 23,688
-10.32% ↓
2002年 26,414
-20.53% ↓
2001年 33,236
2.78% ↑
2000年 32,336
-35.35% ↓
1999年 50,015
1.82% ↑
1998年 49,120
0.24% ↑
1997年 49,000
-0.72% ↓
1996年 49,356
0.73% ↑
1995年 48,996
8.42% ↑
1994年 45,193
12.86% ↑
1993年 40,043
4.54% ↑
1992年 38,304
18.22% ↑
1991年 32,400
4.85% ↑
1990年 30,900
2.66% ↑
1989年 30,100
1.01% ↑
1988年 29,800
1.71% ↑
1987年 29,300
0.34% ↑
1986年 29,200
2.46% ↑
1985年 28,500
1.79% ↑
1984年 28,000
3.42% ↑
1983年 27,073
16.23% ↑
1982年 23,293
10.03% ↑
1981年 21,170
-10.3% ↓
1980年 23,600
2.61% ↑
1979年 23,000
3.14% ↑
1978年 22,300
-7.85% ↓
1977年 24,200
9.01% ↑
1976年 22,200
0.45% ↑
1975年 22,100
-18.45% ↓
1974年 27,100
42.63% ↑
1973年 19,000
23.38% ↑
1972年 15,400
2.67% ↑
1971年 15,000
7.14% ↑
1970年 14,000
7.69% ↑
1969年 13,000
4% ↑
1968年 12,500
4.17% ↑
1967年 12,000
4.35% ↑
1966年 11,500
4.55% ↑
1965年 11,000
4.76% ↑
1964年 10,500
5% ↑
1963年 10,000
5.26% ↑
1962年 9,500
5.56% ↑
1961年 9,000 -

パキスタンにおけるアーモンド生産量の推移を見ると、1961年から1995年までは主に増加傾向が続いており、この間の生産量は約5倍増加しました。特に1973年から1974年には19,000トンから27,100トンへの大幅な伸びが見られました。これは、パキスタン北部やバロチスタン地方を中心とした農地拡大や栽培技術の向上によるものと考えられます。しかし、1996年以降は大きな変動を繰り返しながら減少傾向に転じ、2018年以降は特にその下落幅が顕著です。2021年には、約30年間で最も低い18,570トンを記録し、その後も回復の兆しは見られません。

この傾向の背景には、いくつかの要因が考えられます。第一に、近年の気候変動がもたらす影響です。アーモンドは乾燥帯での栽培に適応する樹木ですが、降水量や気温変化が大きいと実りに悪影響を与えます。特にパキスタンでは極端な熱波や干ばつが続いており、この悪影響が作物生育に反映していると推測されます。

第二に、地政学的背景も重要な要因です。パキスタン北西部やバロチスタン地方はアーモンドの主要生産地ですが、これらの地域では近年、治安問題が深刻化しています。これにより農業生産の安定性が損なわれ、農地管理や収穫の効率が低下しています。加えて、インフラや灌漑設備などの農業基盤の不足も主要な課題として挙げられます。

さらに技術面での遅れも見過ごせません。他国、特にアメリカ合衆国やスペインなど主要アーモンド生産国では、高収率の品種改良や農業技術の革新が進んでおり、生産量の向上に成功しています。しかしパキスタンでは、伝統的な栽培方法が依然として主流であり、生産性向上の足かせになっています。

現状を打開するための対策として、まずは生産地における灌漑設備の整備や気候変動適応策の導入が急務と言えるでしょう。例えば、干ばつ耐性のあるアーモンド品種の開発や農地の水管理の効率化が挙げられます。また、地政学的リスク低減のためには、地域の安全保障を強化し安定した生産環境を構築する必要があります。さらに、政府や地元農業団体において近代的な農業技術の普及を促進し、経済的インセンティブを通じて農家のモチベーションを高めることも有効です。

未来に向けた施策として、地域的な農業協力と国際的な支援の強化も重要です。近隣諸国との連携や、国際機関による技術支援を受けることで、持続可能な農業モデルの導入が期待されます。また、アーモンドは輸出産業としての潜在力が高いため、品質基準の向上や市場開拓を通じた農家収入の増加も重要な視点です。

結論として、パキスタンのアーモンド生産量が減少している主な原因は、気候変動や地政学的リスク、農業技術の停滞です。これらの課題に対処するためには、環境的、政治的、技術的な側面からの多角的アプローチが必要不可欠です。政府、地域社会、国際機関が連携を深めることで、アーモンド生産の復活と持続可能な発展が実現されるでしょう。

キーワード検索
楽天おすすめ