Skip to main content

パキスタンのニンジン・カブ類生産量推移(1961年~2023年)

パキスタンのニンジン・カブ類の生産量は、1980年以降、長期的には増加傾向を見せています。1980年の75,836トンから2023年の720,850トンへと大幅に増加しており、一時的な減少を見せる年はありつつも全体的には成長しています。ただし、2020年には289,923トンまで急激に減少し、その後2021年以降は回復基調に転じています。この変動は、気候変動や地政学的リスク、農業政策の影響を受けたものと考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 720,850
6.06% ↑
2022年 679,652
-6.66% ↓
2021年 728,137
151.15% ↑
2020年 289,923
-42.52% ↓
2019年 504,425
0.97% ↑
2018年 499,585
-0.7% ↓
2017年 503,088
1.97% ↑
2016年 493,364
0.77% ↑
2015年 489,582
-6.65% ↓
2014年 524,462
0.26% ↑
2013年 523,099
2.25% ↑
2012年 511,582
-1.67% ↓
2011年 520,296
8.58% ↑
2010年 479,176
-6.25% ↓
2009年 511,131
0.74% ↑
2008年 507,374
0.72% ↑
2007年 503,725
-2.1% ↓
2006年 514,528
0.89% ↑
2005年 509,970
2.61% ↑
2004年 496,990
5.06% ↑
2003年 473,051
2.29% ↑
2002年 462,474
0.35% ↑
2001年 460,873
0.2% ↑
2000年 459,968
-3.79% ↓
1999年 478,092
-1.37% ↓
1998年 484,712
1.57% ↑
1997年 477,217
1.87% ↑
1996年 468,479
8.44% ↑
1995年 432,008
6.58% ↑
1994年 405,327
111.31% ↑
1993年 191,813
-48.86% ↓
1992年 375,105
7.09% ↑
1991年 350,272
177.66% ↑
1990年 126,151
16.93% ↑
1989年 107,882
6.83% ↑
1988年 100,986
9.92% ↑
1987年 91,876
-19.28% ↓
1986年 113,820
10.71% ↑
1985年 102,810
10.19% ↑
1984年 93,299
12.79% ↑
1983年 82,720
14.24% ↑
1982年 72,407
-4.68% ↓
1981年 75,964
0.17% ↑
1980年 75,836 -

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、パキスタンのニンジン・カブ類の生産量は、1980年の75,836トンから着実に増加し、2023年には720,850トンにまで達しました。この変化は、農業技術の向上、耕作地の拡大、地域経済の成長が複雑に影響した結果であると考えられます。しかし、2020年には289,923トンと過去40年の中でも顕著な減少が見られ、2021年に728,137トンと一気に回復したことから、一時的な悪天候や社会情勢の不安定さの影響が疑われます。

特に注目すべき点は、1991年から1996年の間に生産量が126,151トンから468,479トンへ急増したことです。この期間には農業技術の導入や灌漑設備の改善が進んだと推察されます。一方で、2010年、2015年、2020年など特定の年には減少がみられ、これらの年の共通要因には干ばつ、洪水、一部地域での政治的不安定がある可能性があります。2020年の大幅減少については新型コロナウイルス感染症の影響も無視できません。輸送の停滞や労働力の確保困難が農業生産に影響を与えた可能性があります。

一方で、2021年以降の回復基調には、農業従事者への支援策や輸出促進政策が関与していると考えることができます。パキスタンは近年、農業部門からの輸出拡大を目指して多くの政府主導プロジェクトを推進しており、その結果が反映されている可能性があります。

国際的に見ると、日本や韓国などの先進国ではニンジン・カブ類の消費量が安定している一方で、インドや中国などの大型市場では需要の増加が続いています。このため、パキスタンのような生産国にとって輸出の拡大は重要な機会となるでしょう。ただし、競争相手も多く、品質向上や安定供給能力強化が不可欠です。特に気候変動の影響を受けやすいこの地域では、気候適応型農業の導入や持続可能な農法の確立が急務です。

今後の課題としては、地政学的リスクや気候変動対策、そして農家の経済的安定が挙げられます。南アジア地域ではしばしば紛争やインフラ未整備が農業活動の妨げとなるため、地域間協力を基盤にしたインフラ投資が必要です。また、降水量や気温の変化が直接的に収穫に影響するため、気象データの活用と適切な灌漑システムの導入も急がれる課題です。

結論として、パキスタンのニンジン・カブ類生産量は長期的に増加傾向を示していますが、2020年のような極端な減少への対応や競争力の向上が今後の重点課題となります。具体的には、灌漑技術の強化、気候変動予測による栽培カレンダーの最適化、国際市場へのさらなるアクセスの確保が求められます。国際機関や地域間の協力を通じて、農業分野をさらに発展させることが期待されます。