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パキスタンのマンゴー・マンゴスチン・グアバ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、パキスタンのマンゴー、マンゴスチン、グアバの生産量は、1961年の239,000トンから2023年の2,594,328トンへと約10倍以上の増加を見せています。特に2005年以降、生産量の大幅な伸びが見られました。ただし、近年では年によって増減があり、特に2012年から2016年の間に生産量の減少がみられました。2022年には記録的な生産量を記録しましたが、2023年にはやや減少しています。これらの傾向から、同国の農業政策、気候、国際競争力に関する課題と可能性について考える必要があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,594,328
-6.77% ↓
2022年 2,782,809
3.95% ↑
2021年 2,677,017
14.18% ↑
2020年 2,344,647
3.28% ↑
2019年 2,270,229
-2.15% ↓
2018年 2,320,050
-0.5% ↓
2017年 2,331,736
8% ↑
2016年 2,159,046
-2.06% ↓
2015年 2,204,499
2.32% ↑
2014年 2,154,570
0.13% ↑
2013年 2,151,775
-1.98% ↓
2012年 2,195,239
-9.85% ↓
2011年 2,435,061
3.41% ↑
2010年 2,354,732
6.43% ↑
2009年 2,212,562
-2.31% ↓
2008年 2,264,984
31.75% ↑
2007年 1,719,180
-1.98% ↓
2006年 1,753,910
4.78% ↑
2005年 1,673,950
58.52% ↑
2004年 1,055,987
2.07% ↑
2003年 1,034,580
-0.25% ↓
2002年 1,037,140
4.78% ↑
2001年 989,790
5.55% ↑
2000年 937,705
2.32% ↑
1999年 916,454
-0.04% ↓
1998年 916,826
0.26% ↑
1997年 914,492
0.74% ↑
1996年 907,778
2.73% ↑
1995年 883,674
5.29% ↑
1994年 839,300
5.75% ↑
1993年 793,652
0.81% ↑
1992年 787,271
1.46% ↑
1991年 775,969
1.3% ↑
1990年 766,048
4.22% ↑
1989年 734,995
3.12% ↑
1988年 712,762
-3.23% ↓
1987年 736,549
3.26% ↑
1986年 713,314
3.1% ↑
1985年 691,899
2.8% ↑
1984年 673,070
-1.4% ↓
1983年 682,602
4.74% ↑
1982年 651,701
19.23% ↑
1981年 546,582
-0.66% ↓
1980年 550,226
2.2% ↑
1979年 538,400
-4.05% ↓
1978年 561,100
-3.08% ↓
1977年 578,950
-2.81% ↓
1976年 595,698
-1.48% ↓
1975年 604,656
4.21% ↑
1974年 580,246
5.07% ↑
1973年 552,223
3.13% ↑
1972年 535,458
3.13% ↑
1971年 519,202
4.5% ↑
1970年 496,848
12.16% ↑
1969年 442,998
-28.29% ↓
1968年 617,758
-2.72% ↓
1967年 635,031
75.56% ↑
1966年 361,714
3.94% ↑
1965年 348,000
43.8% ↑
1964年 242,000
6.14% ↑
1963年 228,000
-54.03% ↓
1962年 496,000
107.53% ↑
1961年 239,000 -

パキスタンは世界有数のマンゴー・マンゴスチン・グアバ生産国であり、その農業資源を有効活用することで国内経済や輸出市場に大きな影響を及ぼしています。データを見ると、1960年代から2000年代初頭まで、生産量は緩やかに増加を続けていました。労働力の利用可能性、農業技術の緩やかな向上、適度な気候条件の下で、年間50万~100万トン程度に安定していました。しかし、2005年以降、特に2008年からの急激な増加が見られます。これは、農業技術の改善、国際市場の需要増加、ならびに農作物への政府補助増加が要因と考えられます。

一方、2012年から2016年にかけての停滞とその後のやや緩慢な回復、その後の振り返しのような2022年の大生産量と2023年での減少を考えると、一部地域での気候変動の影響や災害、農業インフラの課題が存在していることが示唆されます。加えて、新型コロナウイルスの影響による農産物流通の混乱や労働力の不足が生産量に影響を与えた可能性も挙げられます。

2023年の生産量は2,594,328トンで、過去10年間の平均よりも高い値を示していますが、2022年の記録的な2,782,809トンと比較すると減少しています。この減少については、輸出市場における競合国であるインド、中国、タイなどとの競争の激化や、高温多湿な気候条件、政策的支援不足が影響している可能性があります。特に、気候変動による豪雨や干ばつは、農産物生産に相当な打撃を与えます。

この生産量の変動は、パキスタン国内の農業生産高だけでなく、輸出収益や地域の食料安全保障にも影響を及ぼします。特にフランスやイギリスを市場とした輸出拡大に取り組む中で、品質や物流に十分な注力が必要でしょう。過去の実績を見ると、2022年の生産量における成功は、効果的な農業施策や気候条件の恵みを活かした結果と考えられますが、これを一過性の成功に終わらせず、持続可能な基盤を築くための取り組みが求められています。

今後の課題として、まず気候変動の対策が挙げられます。具体的には、干ばつに強い耐性品種の開発や灌漑技術の改良、降雨量をモニターし地球規模の気候データを用いた農作計画の立案が必要です。また、農家支援や農地の効率的活用も重要で、生産性を高めるためには政府が技術支援や設備投資を拡大することが求められます。さらに、輸送手段不足や保管技術の未整備も課題ですので、それに対しては冷蔵物流設備の整備や輸出ルートの多様化が解決策となり得ます。

国際比較をすると、マンゴー輸出で存在感を示すインドやタイと比べ、パキスタンの生産効率は依然として低いままです。その一因はインフラ整備の遅れや農業への十分な資本投下の欠如にあります。パキスタン政府および国際機関は、革新的なプログラムや資金援助を導入し、農業現場の近代化を図るべきでしょう。

結論として、1961年から2023年にかけてパキスタンのマンゴー・マンゴスチン・グアバ生産量は顕著な増加を見せていますが、近年の変動には自然環境の脅威、物流の問題、政策上の課題といった複雑な要因が絡んでいます。この重要な農業分野を持続的に成長させ、国内外での競争力を維持するためには、気候変動への対応や農業技術の普及など、多岐にわたる取り組みが必要です。同時に、近隣諸国や国際機関との協力を強化し、取引市場や技術交流を拡大させることも、非常に重要な要素となるでしょう。