国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、パキスタンの落花生生産量は大きな変動がありながらも、長期的には増加傾向にあります。特に2021年に過去最高の144,983トンを記録しましたが、その後2022年には114,385トンに減少、再び2023年には120,937トンと回復傾向を示しています。これらのデータは、国内の農業政策、気候変動、さらには輸出入の動向などの要因の影響を受けています。
パキスタンの落花生生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 120,937 |
5.73% ↑
|
2022年 | 114,385 |
-21.1% ↓
|
2021年 | 144,983 |
19.14% ↑
|
2020年 | 121,693 |
28.71% ↑
|
2019年 | 94,547 |
-2.84% ↓
|
2018年 | 97,311 |
13.11% ↑
|
2017年 | 86,030 |
20.91% ↑
|
2016年 | 71,150 |
-22.37% ↓
|
2015年 | 91,655 |
5.76% ↑
|
2014年 | 86,663 |
-14.01% ↓
|
2013年 | 100,788 |
23.92% ↑
|
2012年 | 81,330 |
-7.47% ↓
|
2011年 | 87,894 |
29.63% ↑
|
2010年 | 67,803 |
27.45% ↑
|
2009年 | 53,200 |
-37.78% ↓
|
2008年 | 85,500 |
2.52% ↑
|
2007年 | 83,400 |
12.86% ↑
|
2006年 | 73,900 |
6.9% ↑
|
2005年 | 69,129 |
-9.57% ↓
|
2004年 | 76,448 |
-33.35% ↓
|
2003年 | 114,700 |
27.02% ↑
|
2002年 | 90,300 |
-10.68% ↓
|
2001年 | 101,100 |
10.61% ↑
|
2000年 | 91,400 |
-7.77% ↓
|
1999年 | 99,100 |
-4.73% ↓
|
1998年 | 104,025 |
-7.47% ↓
|
1997年 | 112,417 |
-4.2% ↓
|
1996年 | 117,347 |
3.99% ↑
|
1995年 | 112,840 |
6.68% ↑
|
1994年 | 105,776 |
10.29% ↑
|
1993年 | 95,903 |
-5.19% ↓
|
1992年 | 101,148 |
5.25% ↑
|
1991年 | 96,100 |
7.48% ↑
|
1990年 | 89,416 |
9.5% ↑
|
1989年 | 81,655 |
5.25% ↑
|
1988年 | 77,582 |
48.9% ↑
|
1987年 | 52,104 |
-30.5% ↓
|
1986年 | 74,973 |
18.9% ↑
|
1985年 | 63,054 |
-8.75% ↓
|
1984年 | 69,100 |
-21.47% ↓
|
1983年 | 87,987 |
4.57% ↑
|
1982年 | 84,144 |
16.59% ↑
|
1981年 | 72,169 |
25.77% ↑
|
1980年 | 57,380 |
14.02% ↑
|
1979年 | 50,325 |
10.67% ↑
|
1978年 | 45,473 |
-37.23% ↓
|
1977年 | 72,441 |
13.04% ↑
|
1976年 | 64,082 |
4.07% ↑
|
1975年 | 61,573 |
7.87% ↑
|
1974年 | 57,081 |
6% ↑
|
1973年 | 53,850 |
21.97% ↑
|
1972年 | 44,150 |
-22.41% ↓
|
1971年 | 56,900 |
27.29% ↑
|
1970年 | 44,700 |
-27.88% ↓
|
1969年 | 61,980 |
17.32% ↑
|
1968年 | 52,830 |
-28.77% ↓
|
1967年 | 74,170 |
58.69% ↑
|
1966年 | 46,740 |
58.66% ↑
|
1965年 | 29,460 |
44.98% ↑
|
1964年 | 20,320 |
17.66% ↑
|
1963年 | 17,270 |
21.45% ↑
|
1962年 | 14,220 |
-6.69% ↓
|
1961年 | 15,240 | - |
パキスタンの落花生生産量は、1961年の15,240トンから大きく成長し、2021年には144,983トンに達しました。この長期的な増加は、農業技術の進歩や作付面積の広がり、さらには農業政策の整備によるものと考えられます。しかし、これらの進展の中で、気候条件の変化や水資源の問題が大きな影響を与える時期も多く見受けられ、年ごとの生産量には波があることが特徴的です。
例えば、1966年から1967年にかけて生産量が急上昇し、その後も断続的に増減がありますが、1990年代以降では比較的安定し始めました。一方で、2004年から2009年にかけて減少傾向が見られ、特に2009年には53,200トンと大幅な落ち込みを記録しました。これには、気候変動による干ばつや洪水の影響が関連していると推測されます。また、同時期に農作物の需給バランスの変化や国際市場での落花生価格の上下動が地元農家の動向に影響を与えた可能性もあります。
最近のデータに目を向けると、パキスタンの落花生生産量は2020年に121,693トン、2021年には144,983トンと大幅に増加しました。この要因には、高収率の品種導入や灌漑設備の改善が挙げられます。特に2021年の数値は、新型コロナウイルスによるパンデミックにもかかわらず高い結果を残した点で注目されます。一方で、2022年には114,385トンへ減少しており、これが地政学的リスク、輸出入政策変更、あるいは気象条件の不安定さによるものではないかと考えられます。
今後の課題として挙げられるのは、まず気候変動への対応です。パキスタンは近年、洪水や干ばつといった極端な気象現象に頻繁に直面しており、これが農業生産に悪影響を与えています。特に落花生のような比較的乾燥地向きの農産物であっても、水供給が安定しなければ大きな収量減少を招きます。このため、農業における気候適応型技術の導入や、持続可能な灌漑システムの開発が急務です。
また、輸出機会の活用も重要な課題です。パキスタンの落花生は、インドや中国、アラブ諸国などの需要が期待されます。しかし、農業生産者が国際市場で競争力を保つには、高品質化と収量安定の両立が必要です。これには、土壌改良技術や病害虫対策の強化、さらにはインフラ整備を進めることが不可欠です。
結論として、パキスタンの落花生生産量は50年以上にわたるデータからも明らかなように増加傾向にありますが、年ごとの変動には国内外のさまざまな要因が複雑に絡み合っていることが分かります。持続可能な農業開発と気候変動対策を中心に、政府や国際機関が支援を強化することで、パキスタンの落花生生産が安定し、将来的にはさらなる拡大が期待されます。特に、地域間協力枠組みを強化することで技術移転や市場機会の拡大も実現可能です。