Skip to main content

パキスタンのショウガ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、パキスタンのショウガ生産量は1990年代から比較的低いレベルで安定していましたが、2000年代中期以降急激に増加し、2010年代半ばにはピークの133トンを記録しました。その後、生産量は急落し、2020年代にはわずか数トンにとどまっています。この急激な増減は、多様な国内外の要因に起因し、今後の政策と対応が重要と考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 5
66.67% ↑
2022年 3
-25% ↓
2021年 4
100% ↑
2020年 2
-75% ↓
2019年 8
-60% ↓
2018年 20
-84.85% ↓
2017年 132
-0.75% ↓
2016年 133
2.31% ↑
2015年 130
3.17% ↑
2014年 126
1.61% ↑
2013年 124
9.73% ↑
2012年 113
1312.5% ↑
2011年 8
-93.04% ↓
2010年 115
3.6% ↑
2009年 111
16.84% ↑
2008年 95
66.67% ↑
2007年 57
83.87% ↑
2006年 31
-38% ↓
2005年 50
21.95% ↑
2004年 41
-12.77% ↓
2003年 47
30.56% ↑
2002年 36
20% ↑
2001年 30
11.11% ↑
2000年 27
-6.9% ↓
1999年 29
3.57% ↑
1998年 28
3.7% ↑
1997年 27
3.85% ↑
1996年 26
4% ↑
1995年 25
-34.21% ↓
1994年 38 -

パキスタンのショウガ生産量の推移を見ると、長期的な変動が顕著に観察されます。1994年から2000年の間は生産量が20トン台で推移しており、比較的一定の水準にありました。しかし、2001年から2008年にかけて生産量が着実に増加し、95トンに達しました。特に2008年から2010年の間で生産量は劇的に伸び、2010年には115トンに達しました。その後、2015年ごろまで増加が続き、2016年にはピークとなる133トンを記録しています。

生産量増加の背景には、品種改良や農業技術の進化、また国内外市場での需要増加が挙げられます。ショウガは医薬的利用や飲食品の風味豊富さを高める効果が期待されるため、近年注目が高まりました。さらに、近隣国インドと並び、パキスタンも地域市場でショウガ供給国として一役買っていました。

しかしながら、2018年以降の生産量は急激に減少し、2020年にはわずか2トンまで落ち込みました。このような大幅な減少の要因には以下のような背景が考えられます。まず、干ばつや洪水などの自然災害が農業に与えた影響です。パキスタンは気候変動によりモンスーンの激化や気象条件の不安定化の被害を受けています。さらに、農業インフラの脆弱さや、特に2020年前後における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、農作業に必要な労働力が不足し、流通網も混乱したことが指摘されています。

また、地政学的な要因も無視できません。パキスタンの周辺地域では時折発生する紛争や政治的緊張が農業生産に悪影響を与えます。特にインフラ整備の停滞や予算の割当不足が生産効率に影響を与えました。

未来に向けて解決策を模索することは不可欠です。まず、気候変動に強いショウガの品種の導入や、持続可能な農業技術の普及が重要です。政府や国際援助機関の支援を受けて灌漑施設の改善や、洪水耐性を持つインフラの整備を進めることが必要です。また、農業従事者への教育プログラムを導入し、生産効率や病害虫対策の向上を目指すべきです。さらに、新型コロナウイルスによる流通の混乱を教訓に、ショウガ市場への供給網を構築し、国内外の市場需要に対応できる柔軟性を持つ体制を整えることが期待されます。

パキスタンは南アジア市場へ供給する重要な農産物生産地であり続ける可能性があります。しかし、現状としては、持続可能性に欠ける生産システムが課題として存在しています。現地および国際的な協力を通じて、安定したショウガ生産を実現し、地域全体の食料安定供給に寄与することが求められます。未来の展望に向け、政府だけでなく民間セクターや地域間の協力が鍵となるでしょう。

キーワード検索