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東ティモールのジャガイモ生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによると、東ティモールのジャガイモ生産量は、1961年の272トンから2022年の1,073トンへと推移しています。この間には大きな増減があり、例えば1968年の1,572トンをピークにその後急激に減少してから、1980年代には300~600トン前後で低迷する時期が続きました。その後、1990年に1,970トンまで急増した年や、2008年には2,616トンに達した年もありましたが、近年は1,000トン前後で推移しており、生産の安定化を模索する必要があるといえます。

年度 生産量(トン)
2022年 1,073
2021年 1,007
2020年 1,134
2019年 1,181
2018年 1,236
2017年 1,255
2016年 1,279
2015年 1,336
2014年 1,327
2013年 1,174
2012年 1,006
2011年 894
2010年 1,214
2009年 1,922
2008年 2,616
2007年 2,000
2006年 1,000
2005年 600
2004年 700
2003年 1,000
2002年 1,000
2001年 968
2000年 700
1999年 453
1998年 364
1997年 450
1996年 131
1995年 131
1994年 576
1993年 1,078
1992年 456
1991年 1,170
1990年 1,970
1989年 1,000
1988年 277
1987年 512
1986年 520
1985年 530
1984年 530
1983年 550
1982年 570
1981年 580
1980年 580
1979年 600
1978年 610
1977年 600
1976年 610
1975年 630
1974年 630
1973年 631
1972年 841
1971年 1,400
1970年 1,300
1969年 1,099
1968年 1,572
1967年 1,705
1966年 1,400
1965年 1,000
1964年 950
1963年 600
1962年 500
1961年 272

東ティモールはその地理的条件から、農業が経済活動の重要な柱を成していますが、この国のジャガイモ生産は長い間一貫した成長を示しているとは言えない状況です。データを振り返ると、1961年には272トンと非常に低い生産量で始まりましたが、70年代前半にかけて急速に生産量が増加しました。しかし、1975年にインドネシアによる占領が始まると、社会的混乱が経済全般、特に農業に大きな影響を与え、生産量は停滞し始めます。その後は500トン未満の生産が続いた時期もありました。

1990年代になると、地域情勢の変化や農業支援プログラムによる影響で、ジャガイモ生産量は一時1,970トンに達した年がありましたが、その直後の乱高下は、農業基盤やサプライチェーンの不安定性を示していると考えられます。特に1995年の131トンという最低水準の記録は、気候変動の影響や資源不足が原因と推測されます。その後、2000年代に東ティモールは独立を果たしましたが、農地の回復やインフラ整備は計画段階にありました。それにもかかわらず、2008年には一時的に2,616トンへと劇的な増加が見られました。このような大幅な増減は、天候や政策変更、小規模農家の貢献度など多くの要因によると考えられます。

近年では、生産量が1,000トン前後で推移しており、1960年代や1970年代と比較すると安定性は増したものの、未だに持続可能な生産システムには達していない印象があります。この安定性の背景には、近年の農業インフラ支援、技術導入、そして国際機関との協力があると考えられますが、一方で課題は山積しています。

それでは、その課題について着目してみると、まず気候変動が顕著な影響を与えています。東ティモールのように熱帯地域に位置する国では、降雨パターンや干ばつの頻度が変動しやすいため、作物の育成に直接的な影響が及びます。また、農業従事者の多くが小規模農家であるため、近代的な農業技術の活用が進まず、生産効率が低い状況が続いています。さらに、生産量の変動は災害や病害虫の影響とも関連しており、適切な農薬の利用や種苗管理が求められます。

国際的に見ると、東ティモールのジャガイモ生産量は非常に低い水準に位置しており、例えば日本が年間約240万トン、中国が約9,000万トンを生産していることを考えれば、比較にならない規模です。ただし、東ティモールにとってジャガイモは国内消費と食糧保障において重要な役割を果たしており、生産量の安定化が国民の生活改善に直結する課題となっています。

今後の具体的な提言としては、まず農業基盤を強化するために農村インフラへの投資を推進する必要があります。また、小規模農家を支援するための協同組合の強化や、近代農業技術の普及も重要です。気候変動への適応策としては、ジャガイモの収量を向上させる耐乾燥性の品種導入や、灌漑設備の整備が効果的と考えられるでしょう。さらに、国際機関や周辺国との連携を強化し、災害時の食糧確保や輸送網の整備に取り組むことも求められます。

結論として、東ティモールのジャガイモ生産量は歴史的に多くの波を経験してきましたが、持続可能な生産システムの構築は国際的な協力と国内での安定した取り組みによって可能です。これにより、農業の安定だけでなく、国民の食糧保障や経済のさらなる発展にも繋がる期待が持てます。