国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、東ティモールの鶏卵生産量は、1961年の600トンから2022年には1,456トンへと増加しました。この間、生産量は一部の年で減少や停滞を見せつつも、全体的には着実な成長を遂げています。ただし、2023年には1,073トンに減少するという急激な変化が観察されており、課題が浮き彫りとなっています。
東ティモールの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)
| 年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
|---|---|---|
| 2023年 | 1,073 |
-26.31% ↓
|
| 2022年 | 1,456 | - |
| 2021年 | 1,456 | - |
| 2020年 | 1,456 | - |
| 2019年 | 1,456 |
-0.09% ↓
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| 2018年 | 1,457 |
31.29% ↑
|
| 2017年 | 1,110 |
-0.1% ↓
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| 2016年 | 1,111 |
0.51% ↑
|
| 2015年 | 1,105 |
3.3% ↑
|
| 2014年 | 1,070 |
2.25% ↑
|
| 2013年 | 1,047 |
2.36% ↑
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| 2012年 | 1,022 |
-5.33% ↓
|
| 2011年 | 1,080 | - |
| 2010年 | 1,080 |
5.15% ↑
|
| 2009年 | 1,027 |
4.09% ↑
|
| 2008年 | 987 |
4.25% ↑
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| 2007年 | 947 |
4.42% ↑
|
| 2006年 | 906 |
4.61% ↑
|
| 2005年 | 867 |
4.82% ↑
|
| 2004年 | 827 |
10.49% ↑
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| 2003年 | 748 |
-23.76% ↓
|
| 2002年 | 981 |
-11.48% ↓
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| 2001年 | 1,109 |
-2.44% ↓
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| 2000年 | 1,136 |
-21.68% ↓
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| 1999年 | 1,451 |
5.87% ↑
|
| 1998年 | 1,370 |
9.55% ↑
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| 1997年 | 1,251 |
3.34% ↑
|
| 1996年 | 1,211 |
7.02% ↑
|
| 1995年 | 1,131 |
11.65% ↑
|
| 1994年 | 1,013 |
-7.06% ↓
|
| 1993年 | 1,090 |
3.8% ↑
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| 1992年 | 1,050 |
8.09% ↑
|
| 1991年 | 971 |
5.6% ↑
|
| 1990年 | 920 |
15% ↑
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| 1989年 | 800 |
11.11% ↑
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| 1988年 | 720 |
-18.18% ↓
|
| 1987年 | 880 |
-4.35% ↓
|
| 1986年 | 920 | - |
| 1985年 | 920 |
15% ↑
|
| 1984年 | 800 | - |
| 1983年 | 800 | - |
| 1982年 | 800 | - |
| 1981年 | 800 | - |
| 1980年 | 800 | - |
| 1979年 | 800 | - |
| 1978年 | 800 | - |
| 1977年 | 800 | - |
| 1976年 | 800 | - |
| 1975年 | 800 | - |
| 1974年 | 800 | - |
| 1973年 | 800 | - |
| 1972年 | 800 | - |
| 1971年 | 800 |
5.26% ↑
|
| 1970年 | 760 | - |
| 1969年 | 760 | - |
| 1968年 | 760 | - |
| 1967年 | 760 | - |
| 1966年 | 760 |
5.56% ↑
|
| 1965年 | 720 |
5.88% ↑
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| 1964年 | 680 | - |
| 1963年 | 680 |
6.25% ↑
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| 1962年 | 640 |
6.67% ↑
|
| 1961年 | 600 | - |
東ティモールの鶏卵生産の歴史を見ると、1961年当初は600トンの規模から始まり、以降は緩やかな上昇を見せていました。1970年代を通じて生産量が800トン前後で停滞する時期が続きましたが、1980年代後半から上昇傾向が再び強まりました。特に1992年以降、1999年にかけては大幅な伸びを見せ、1,451トンに達したことは注目に値します。この時期は内政および社会的な安定性が比較的増した背景があり、畜産業の一部として家禽(鶏)の飼育が安定した可能性があります。
しかし、2000年代以降には再び生産量の一時的な低下や変動が見られます。この減少の一因として、同地域での政治的不安定や自然災害、紛争を原因とする供給網の機能不全が考えられます。例えば、2003年には生産量が748トンと大きく落ち込んでおり、この背景には市場やインフラの破壊が影響している可能性があります。その後、徐々に回復し、2018年に1,457トンという最高値を記録します。この時期、政府と国際協力機関による農村支援や小規模農家への資本の投入が奏功したと考えられます。
一方、2023年には再び1,073トンまで減少したことが明らかになりました。新型コロナウイルス感染症などの世界的な影響がちらつく中、輸送網の混乱や飼料、資材の不足が生じた可能性があります。これらは結果的に小規模自給農家や地域経済に大きな影響を与えたと考えられています。また、地球温暖化や気候変動に伴う自然災害の頻発も、農業分野全般において深刻な課題となっています。
東ティモールは地政学的にもアジア太平洋地域に位置し、周辺には人口が多く農産物の需要が高い国々が広がります。例えば、インドネシア、中国などの国々は国内で鶏卵生産量を増加させており、輸出競争が一層激化しています。このため、東ティモールが自国の生産性をさらに高めるためには、効率的な資源配分と技術導入が不可欠となります。
今後の課題として、まずインフラ整備と農業の近代化が挙げられます。飼料の質の向上、飼育技術の普及、そして市場アクセスの向上によって、多様な需要に対応することが可能になります。また、気候変動への対処として、持続可能な農業手法の導入や台風・洪水などの自然災害に備えた防災体制の構築も急務です。さらに、地域間での協力関係を築き、近隣国と連携した輸出促進策を確立することも重要だと考えられます。
東ティモールの鶏卵生産量の推移は、地域経済の発展や外部要因による影響を色濃く反映しています。このデータは単なる農業産出量の指標にとどまらず、同国の政治的安定性、経済政策の方向性、そして地域協力の重要性を示すものともいえます。これに基づき、国際機関やNGO、地域住民が協力し合い、持続的で強靭な農業基盤を築くことが求められています。