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東ティモールの豚飼育数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによると、東ティモールにおける豚飼育数は、大きな変動を経ながらも長期的には増加傾向を示しています。しかし、1970年代や1999年、2021年を中心に急激に減少した年も見られます。2022年には340,643頭に回復しており、過去数十年間の東ティモールの社会的・地政学的課題や自然災害の影響が飼育数に強く反映されています。

年度 飼育数(頭) 増減率
2023年 384,517
12.88% ↑
2022年 340,643
38.12% ↑
2021年 246,629
-34.2% ↓
2020年 374,808
-17.34% ↓
2019年 453,444
16.49% ↑
2018年 389,242
-0.67% ↓
2017年 391,871
-6.93% ↓
2016年 421,067
0.45% ↑
2015年 419,169
3.87% ↑
2014年 403,555
5.3% ↑
2013年 383,243
5.3% ↑
2012年 363,954
5.3% ↑
2011年 345,635
4.6% ↑
2010年 330,435
-18.05% ↓
2009年 403,218
3.85% ↑
2008年 388,270
4% ↑
2007年 373,337
4% ↑
2006年 358,978
4% ↑
2005年 345,171
4% ↑
2004年 331,895
-2.38% ↓
2003年 340,000 -
2002年 340,000
0.34% ↑
2001年 338,837
16.84% ↑
2000年 290,000
21.28% ↑
1999年 239,124
-22.5% ↓
1998年 308,540
-17.91% ↓
1997年 375,866
-0.54% ↓
1996年 377,898
10.12% ↑
1995年 343,169
11.28% ↑
1994年 308,385
-20.66% ↓
1993年 388,673
11% ↑
1992年 350,156
11% ↑
1991年 315,456
14.39% ↑
1990年 275,783
8.01% ↑
1989年 255,335
19.17% ↑
1988年 214,265
5% ↑
1987年 204,062
4.99% ↑
1986年 194,372
6.57% ↑
1985年 182,383
13.99% ↑
1984年 160,000
23.08% ↑
1983年 130,000
30% ↑
1982年 100,000
25% ↑
1981年 80,000
25% ↑
1980年 64,000
-8.57% ↓
1979年 70,000
-12.5% ↓
1978年 80,000
-20% ↓
1977年 100,000
-17.97% ↓
1976年 121,900
-18.73% ↓
1975年 150,000
-32.72% ↓
1974年 222,962
2.91% ↑
1973年 216,662
-7.9% ↓
1972年 235,237
4.89% ↑
1971年 224,268
10.56% ↑
1970年 202,849
12.75% ↑
1969年 179,907
-6.89% ↓
1968年 193,221
8.69% ↑
1967年 177,774
-21.23% ↓
1966年 225,683
-2.58% ↓
1965年 231,671
2.85% ↑
1964年 225,257
0.49% ↑
1963年 224,161
4.83% ↑
1962年 213,827
-1.43% ↓
1961年 216,921 -

FAOによる最新のデータをもとに分析すると、東ティモールの豚飼育数は1960年代から現在に至るまで浮き沈みの激しい推移を辿っています。1960年代初頭では20万頭代で推移していましたが、1970年代以降、飼育数が大幅に減少する局面が目立ちました。特に1975年以降の減少は顕著で、これは東ティモールがインドネシアによる占領下に置かれたことや内戦の影響により、社会や経済活動が著しく制約されたためと考えられます。1975年の15万頭から1980年の64,000頭への減少は、この地域での混乱が豚飼育にも甚大な影響を与えたことを示しています。

その後、1980年代半ばから徐々に頭数が増加しましたが、1999年の24万頭への急落も、同年に開催された東ティモール独立を問う住民投票とそれに伴う暴動やインフラの破壊が影響を与えたものと推測されます。政治的安定が取り戻されるにつれて、2000年代には再び増加傾向をたどりましたが、2021年には大幅な減少が見られました。この時期は東ティモールと同様に多くの国が新型コロナウイルスの影響を受けており、パンデミックに伴う経済的混乱や物流の制約、家畜に対する病気管理の困難さが原因として考えられます。また、アフリカ豚熱(ASF)が東南アジアで流行していたことも影響した可能性があります。

しかし、2022年には34万頭台まで回復しており、これは国家的な復興政策や外部からの技術支援が寄与している可能性があります。この回復傾向が長期的に持続するよう、東ティモールでは取るべき施策がいくつか考えられます。

一つ目は、家畜の健康管理と疫病管理の徹底です。地域ごとに獣医師の活動を強化し、家畜の予防接種プログラムを進めることで、豚の疫病による損失を最小限に抑えることができます。二つ目は、豚飼育が重要な家計収入源である地域では、地元農家への金融支援を拡大することです。低利子の融資制度や飼料供給の補助策は、農家の生産性向上に直接つながります。さらに三つ目として、農業インフラの整備も重要です。効率的な流通網の形成や、飼育技術向上のための教育プログラムの実施が求められています。

また、地政学的な背景を考慮すると、国家の安定性が農業分野に与える影響が際立っています。東ティモールのように紛争や自然災害の頻発する地域においては、持続可能な復興政策を通じた長期的な視点が必要です。国際機関や周辺地域との連携によって、気候変動への適応や農業を取り巻くリスク軽減が進む可能性があります。例えば、アフリカ豚熱対策としての地域協力で知見の共有を行うことや、防災・災害対策計画の策定も重要です。

結論として、東ティモールの豚飼育数は政治や疫病、自然災害といった多様な外部要因に敏感に反映される重要な指標です。そのため、今後は家畜健康管理の強化、農家支援の拡大、農業インフラの整備を通じて、持続可能な食品生産体制を構築することが鍵となるでしょう。国際社会および地域協力を活用した包括的なアプローチが、この成長を盤石なものとするために不可欠です。