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東ティモールの牛乳生産量推移(1961年~2022年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、東ティモールの牛乳生産量は、1961年から2022年の期間で大きな変動を見せています。特に1990年代初頭には急激な増加が見られましたが、1999年以降は下落、その後長期的には回復傾向を示しています。2022年には約6,562トンの牛乳が生産され、直近の増加傾向は続いています。この変動は、紛争、経済状況、農業支援施策の影響を受けた結果と考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2022年 6,562
2.83% ↑
2021年 6,382
4.54% ↑
2020年 6,105
4.01% ↑
2019年 5,869
2.99% ↑
2018年 5,699
-3.78% ↓
2017年 5,923
2.63% ↑
2016年 5,772
-0.25% ↓
2015年 5,786
-7.25% ↓
2014年 6,238
0.3% ↑
2013年 6,220
10.1% ↑
2012年 5,649
1.09% ↑
2011年 5,589
-0.71% ↓
2010年 5,629
5.5% ↑
2009年 5,335
-0.19% ↓
2008年 5,345
2.34% ↑
2007年 5,223
1.74% ↑
2006年 5,134
0.68% ↑
2005年 5,099
2.49% ↑
2004年 4,975
11.2% ↑
2003年 4,474
13.03% ↑
2002年 3,959
15.59% ↑
2001年 3,425
-16.22% ↓
2000年 4,088
-28.27% ↓
1999年 5,699
-24.33% ↓
1998年 7,531
8.03% ↑
1997年 6,971
5.16% ↑
1996年 6,629
5.51% ↑
1995年 6,283
5.92% ↑
1994年 5,932
19.4% ↑
1993年 4,968
8.14% ↑
1992年 4,594
7.5% ↑
1991年 4,273
583.75% ↑
1990年 625
8.7% ↑
1989年 575
15% ↑
1988年 500 -
1987年 500
5.26% ↑
1986年 475
5.56% ↑
1985年 450
-5.26% ↓
1984年 475
-5% ↓
1983年 500
-13.04% ↓
1982年 575
-8% ↓
1981年 625
-3.85% ↓
1980年 650
-13.33% ↓
1979年 750
-6.25% ↓
1978年 800
-8.57% ↓
1977年 875
-5.41% ↓
1976年 925
-17.78% ↓
1975年 1,125
-4.26% ↓
1974年 1,175
-4.08% ↓
1973年 1,225
-5.77% ↓
1972年 1,300
-3.7% ↓
1971年 1,350
5.88% ↑
1970年 1,275
24.39% ↑
1969年 1,025
-16.33% ↓
1968年 1,225
-5.77% ↓
1967年 1,300
-16.13% ↓
1966年 1,550 -
1965年 1,550
10.71% ↑
1964年 1,400
-3.45% ↓
1963年 1,450
1.75% ↑
1962年 1,425
1.79% ↑
1961年 1,400 -

東ティモールの牛乳生産量データは1961年から2022年にかけて、大きな増減が見られ、地政学的、社会経済的要因と深く関係していることが伺えます。1960年代は一定の生産量を維持していましたが、1970年代から1980年代にかけての劇的な減少は、当時の東ティモールが政治的安定を欠き、インフラや農業支援が乏しかったことに起因していると思われます。具体的には、1975年にインドネシアによる併合が発生し、農村部における生活基盤が大きく損なわれたことが影響を与えた可能性があります。

その後、1991年から1998年にかけて牛乳生産量は劇的な増加を見せました。この急拡大は、東ティモールが地域農業への支援を強化したこと、および家畜の導入や管理技術の向上が関係していると考えられます。特に1994年から1998年の間にかけては、多くの農村地域で生産性の高い乳牛の導入が進んだ可能性も指摘されています。一方、1999年の生産量減少は、東ティモール独立をめぐる混乱が原因で、農業基盤が再び損なわれたことを示唆します。独立後の数年間(2000年から2002年)は、国内経済の不安定さから生産量が低下した状態が続きました。

2003年以降は緩やかな回復が見られ、特に2010年以降は一定の安定傾向を示しています。2022年の生産量は6,562トンと、過去最高に近い水準に達しており、これは近年の農業振興政策や地域的な協力、さらに乳牛の健康管理技術の向上が影響している可能性が高いです。ただし、東ティモールの牛乳生産量は未だに世界的な平均と比べれば低く、一人当たりの牛乳消費量を考慮しても国内需要の十分な充足には至っていないと考えられます。

東ティモールの特性を考慮すると、地政学的な課題も浮かび上がります。インドネシアやオーストラリアといった経済的影響力の大きい周辺国との関係を通じて、技術移転や資本投資を引き続き促進する必要があるでしょう。また、新型コロナウイルスの世界的流行が一時的に国際的なサプライチェーンの混乱を引き起こし、これが生産の一部に影響を与えた可能性もあります。このような不確実性に対応するためには、災害による被害や外的要因に左右されにくい持続性のある農業基盤の構築が求められます。

未来に向けた具体的な提言として、国内の若者を対象にした農業教育プログラムの拡充や、乳牛管理の効率と生産性を高めるための技術支援が挙げられます。また、周辺諸国との協力を通じて、国際市場への輸出機会を拡大することも重要です。農村地域のインフラ整備、水資源の管理、さらには牛乳加工品の製造技術を向上させることなど、農業全体を包括的に強化する政策が必要です。これにより、東ティモールは地域経済の成長を促進するとともに、食糧安全保障の観点からも持続可能な発展を実現する基盤を築くことができるでしょう。

東ティモールの牛乳生産量の推移は、単なる農業生産の指標にとどまらず、その社会経済的背景や政策の効果を映し出す意味深いデータです。このデータを基に適切な戦略を策定することで、持続可能な農業の発展と地域社会の安定に寄与する可能性があります。