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東ティモールのトウモロコシ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、東ティモールのトウモロコシ生産量は1961年に約17,500トンであったことから始まり、その後増減を繰り返しながら、近年の生産量は概ね50,000~140,000トンの範囲で推移しています。2022年の生産量は87,000トンでした。この70年近いデータを分析すると、全体的に上昇する傾向が見られるものの、大規模な減少や急激な増加がしばしば発生しており、安定性という面では課題が残る状況です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 85,000
-2.3% ↓
2022年 87,000
55.2% ↑
2021年 56,058
-27.77% ↓
2020年 77,606
2.53% ↑
2019年 75,690
-12.21% ↓
2018年 86,214
14.95% ↑
2017年 75,000
-22.33% ↓
2016年 96,565
-32.17% ↓
2015年 142,361
38.93% ↑
2014年 102,473
1.67% ↑
2013年 100,789
60.39% ↑
2012年 62,839
26.23% ↑
2011年 49,783
-66.56% ↓
2010年 148,891
10.52% ↑
2009年 134,715
34.48% ↑
2008年 100,173
40.05% ↑
2007年 71,526
-39.89% ↓
2006年 118,984
29.02% ↑
2005年 92,219
12.18% ↑
2004年 82,209
17.15% ↑
2003年 70,175
-25.12% ↓
2002年 93,714
35.82% ↑
2001年 69,000
-21.99% ↓
2000年 88,449
25.55% ↑
1999年 70,450
19.55% ↑
1998年 58,931
-40.47% ↓
1997年 99,000
-7.14% ↓
1996年 106,616
3.47% ↑
1995年 103,039
-11.74% ↓
1994年 116,739
11.69% ↑
1993年 104,523
27.04% ↑
1992年 82,275
-9.66% ↓
1991年 91,076
5.79% ↑
1990年 86,090
46.18% ↑
1989年 58,892
-1.48% ↓
1988年 59,776
4.87% ↑
1987年 57,000
5.14% ↑
1986年 54,213
2.29% ↑
1985年 53,000
6% ↑
1984年 50,000
4.17% ↑
1983年 48,000 -
1982年 48,000
6.67% ↑
1981年 45,000
-10% ↓
1980年 50,000
11.11% ↑
1979年 45,000
18.42% ↑
1978年 38,000
18.75% ↑
1977年 32,000
28% ↑
1976年 25,000
25% ↑
1975年 20,000
33.33% ↑
1974年 15,000
32.01% ↑
1973年 11,363
30.16% ↑
1972年 8,730
-23.62% ↓
1971年 11,429
-32.54% ↓
1970年 16,941
7.86% ↑
1969年 15,707
19.39% ↑
1968年 13,156
-19.43% ↓
1967年 16,328
4.4% ↑
1966年 15,640
2.24% ↑
1965年 15,297
-0.42% ↓
1964年 15,362
-16.38% ↓
1963年 18,372
-8.14% ↓
1962年 20,000
14.29% ↑
1961年 17,500 -

東ティモールは、農業が重要な経済基盤を占める国であり、大部分の国民は農業に依存して生計を立てています。トウモロコシは、同国の主要な作物の一つであり、食料安全保障や農村地域の経済発展において特に重要な位置を占めています。しかし、1961年から2022年のトウモロコシ生産量の推移データを検討する限り、同国の生産量には大きな波があり、安定的な供給確保に向けた課題が浮かび上がっています。

例えば、1980年代後半から1990年前後にかけて生産量が大幅に増加しました。1990年には86,090トン、1991年には91,076トンとなり、それ以前の70,000~80,000トン規模を大きく超えました。この成長は、農業技術の導入や政策的な支援が影響した可能性があります。しかし、1998年には約58,931トンと減少し、その後再び上昇基調に転じたものの、生産量は時々混乱した動きを見せています。このような変動の背景には、東ティモールが直面した地政学的な問題や自然災害、あるいは気候変動などの影響が挙げられます。

地政学的視点から見ると、東ティモールは過去に独立のための紛争を経験しており、特に1999年の独立運動の際にはインフラや農業生産の基盤が大きく損傷を受けました。この時期、生産量は急激に減少しています。また、自然災害や予測困難な気候パターンも大きな影響を及ぼしました。近年では気候変動が主要生産地域における干ばつや洪水の頻度を高め、生産量の不安定さに拍車をかけています。

他国との比較を行うと、東ティモールのトウモロコシ生産量は周辺国であるインドネシアやフィリピンなどと比較して非常に小規模です。例えばインドネシアではトウモロコシ生産量は2020年時点で約2,500万トンに達しており、東ティモールのおよそ300倍に相当します。このような大きな差は、経済規模や農業技術の普及率、政策支援の違いから生じています。特に、日本のような先進国では高効率の農業技術により、小規模な耕地でも安定的な高収量が実現されており、東ティモールが取り組むべき課題を浮き彫りにしています。

未来への課題としては、以下の3つが挙げられます。一つ目は、インフラ整備の欠如や農業技術の普及促進が進んでいない点です。農村部では灌漑施設が未整備であるケースが多く、これが生産量の不安定化を招いています。二つ目は、農業従事者の教育不足です。生産性を向上させるための知識が不十分であり、持続可能な農法が十分に浸透していません。三つ目は、気候変動への適応能力の低さです。持続的な農業には、耐性の高いトウモロコシ品種への転換や、異常気象に強い農業技術が必要です。

問題を解決するためには、具体的な施策が重要です。まず、灌漑や道路などの農業インフラの整備を優先するべきです。これにより、高品質な種子や肥料の分配が容易になり、収穫量の向上が期待できます。また、国際機関やNGOとの連携を強化し、農業従事者に対するトレーニングプログラムを実施することで、最新技術や気候変動への適応手法を普及させることが重要です。さらに、地域内協力を推進し、インドネシアやフィリピンなど農業分野での知見が深い国から技術支援やノウハウを学ぶ体制を整備することも必要です。

結論として、東ティモールが安定したトウモロコシ生産を実現するためには、インフラ整備、農業技術の普及、気候変動への適応力強化が鍵となります。これらを実施することで、食料安全保障の向上だけでなく、貧困削減や農村部の経済開発にも波及効果が期待されます。