国連食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、東ティモールのキャベツ生産量は長期間にわたって変動を経て、2000年代以降増加基調が続き、2018年には2,710トンに達しました。2020年代に入ってからはほぼ横ばいの推移を示しており、2022年の生産量は2,676トンでした。1990年代初頭の数百トン台からの成長は顕著で、農業技術やインフラの整備が影響していると考えられます。
東ティモールのキャベツ生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 2,676 |
2021年 | 2,685 |
2020年 | 2,679 |
2019年 | 2,665 |
2018年 | 2,710 |
2017年 | 2,662 |
2016年 | 2,623 |
2015年 | 2,571 |
2014年 | 2,500 |
2013年 | 2,426 |
2012年 | 2,417 |
2011年 | 2,311 |
2010年 | 2,006 |
2009年 | 3,121 |
2008年 | 2,508 |
2007年 | 2,111 |
2006年 | 2,038 |
2005年 | 1,819 |
2004年 | 1,850 |
2003年 | 1,796 |
2002年 | 1,722 |
2001年 | 1,652 |
2000年 | 1,400 |
1999年 | 1,200 |
1998年 | 1,083 |
1997年 | 1,111 |
1996年 | 1,199 |
1995年 | 808 |
1994年 | 1,175 |
1993年 | 3,548 |
1992年 | 686 |
1991年 | 1,388 |
1990年 | 929 |
東ティモールにおけるキャベツ生産量の推移を見ると、大きな変動を伴いながらも、1990年代と比較して2000年代以降は大きく生産量を伸ばし安定した状態に移行しています。1990年には929トンと記録されており、これはその後のデータと比較してかなり小規模な数値でした。一時的な急激な減少が1992年などで見られますが、1993年に3,548トンと急増し、それ以降は2000年代にかけて1,000~1,800トン前後で推移しています。当時の地政学的な不安定さやインフラの未整備が生産に影響した可能性があります。
2000年代以降になると、社会の安定化や農業への投資増加に伴い、キャベツ生産量は着実に成長しました。特に2006年以降の2,000トン台への進展は、農家への教育や技術の導入が寄与したと考えられます。その後も成長は続き、2018年には最大の2,710トンを記録しました。ただし、この増加は2020年代に入ってからはやや鈍化し、2022年の生産量は2,676トンと若干の減少が見られます。
こうした生産量の変遷を背景とした課題として、東ティモールの農業における灌漑(かんがい)設備の不足や土壌がもたらす制約が挙げられます。降水量の変動や自然災害の影響も、特に2020年以降の横ばい傾向に影響している可能性があります。また、コロナ禍によるサプライチェーンの混乱や輸送インフラの課題も、農業生産全体に影響を与えたと推測されます。
一方で、周辺諸国と比較した競争力や国内消費の需要も考慮する必要があります。例えば、人口が遥かに多い中国やインドといった国々では野菜の生産量が桁違いに大きい一方、気候や地形の影響で一部の作物には地域特有の優位性があることも特徴です。他の東南アジア諸国と比較しても、東ティモールはまだ農業のモダニズムにおいて発展の余地があります。
将来的には、持続可能な農業を推進するためにも、効率的な灌漑システムの導入や土壌改良技術の開発が必要です。また、地域の共同農業協同組合を設立し、農家が技術的支援を受けやすい制度を構築することも一案です。そのほか、有機農業や地元品種の育成を奨励することで、環境に優しい生産方法を確立しながら国際市場での競争力を高めていくことができます。
結論として、東ティモールのキャベツ生産量は過去数十年で大きく成長しており、国の農業発展の指標とも言えます。ただし、近年の横ばい傾向や将来的な自然災害リスク、インフラベースの不足などは持続的な発展の妨げとなりうるため、国際機関や周辺国との連携による技術提供や資金援助の枠組みを活用し、さらなる発展を目指す必要があります。特に地元農家が長期的な視野で農業を営むためには、安定した政策基盤と持続可能な開発が求められます。