国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、クロアチアにおけるキュウリ類の生産量は、1990年代に増加基調にあったものの、2000年に一度急激な減少を記録しました。その後、安定しない変動を繰り返しながらも、2022年には11,370トンと過去10年間では最大値を記録しました。しかし、2023年には再び減少し、7,360トンに留まりました。全体的に見ると、生産量は長期的に減少する傾向が見られます。
クロアチアのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 7,360 |
-35.27% ↓
|
2022年 | 11,370 |
32.98% ↑
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2021年 | 8,550 |
21.79% ↑
|
2020年 | 7,020 |
134% ↑
|
2019年 | 3,000 |
-32.13% ↓
|
2018年 | 4,420 |
-58.39% ↓
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2017年 | 10,622 |
35.36% ↑
|
2016年 | 7,847 |
3.07% ↑
|
2015年 | 7,613 |
15.84% ↑
|
2014年 | 6,572 |
-26.64% ↓
|
2013年 | 8,959 |
122.42% ↑
|
2012年 | 4,028 |
-37.2% ↓
|
2011年 | 6,414 |
3.4% ↑
|
2010年 | 6,203 |
-24.78% ↓
|
2009年 | 8,247 |
-2.61% ↓
|
2008年 | 8,468 |
-10.3% ↓
|
2007年 | 9,440 |
37.79% ↑
|
2006年 | 6,851 |
16.73% ↑
|
2005年 | 5,869 |
-14.3% ↓
|
2004年 | 6,848 |
33.99% ↑
|
2003年 | 5,111 |
-25.93% ↓
|
2002年 | 6,900 |
5.31% ↑
|
2001年 | 6,552 |
49.62% ↑
|
2000年 | 4,379 |
-88.44% ↓
|
1999年 | 37,882 |
1.64% ↑
|
1998年 | 37,270 |
30.42% ↑
|
1997年 | 28,576 |
10.4% ↑
|
1996年 | 25,884 |
-1.04% ↓
|
1995年 | 26,157 |
8.63% ↑
|
1994年 | 24,080 |
15.17% ↑
|
1993年 | 20,908 |
28.89% ↑
|
1992年 | 16,222 | - |
クロアチアのキュウリ類の生産量推移を見てみると、1990年代では生産量が着実に増加しており、1999年には37,882トンというピークに達していました。しかし、2000年に急激に4,379トンにまで落ち込む異常な減少が見られました。この激減は、当時の地政学的な背景としてクロアチア国内の経済的・社会的混乱や農業インフラの問題が影響していると考えられます。その後の2000年代ではわずかな回復が見られるものの、生産量が10,000トンを超えることは稀で、長期的に低迷しています。
近年のデータでは、特に2022年が特徴的であり、11,370トンと大きな回復を見せています。この年の増加は、おそらく良好な気候条件や国内外の市場需要の増加、もしくは農業技術の向上といった複数の要因によってもたらされたと推測されます。しかし2023年には再び生産量が7,360トンに減少しており、安定的な生産が難しいという課題が浮き彫りとなっています。
全体として、1990年代の最大ピーク時と比較すると現在の生産量は大幅な減少傾向にあります。この原因の一つとして考えられるのは、生産の効率性低下です。例えば、農地の縮小、国内の農業セクターへの投資不足、あるいは生産者が他作物や他分野に転換している可能性などが挙げられます。また、EU加盟後の市場の競争激化も、生産の減少に寄与している可能性があります。
クロアチアは地理的には比較的温暖な気候を持ち、キュウリ類の生産には適している土地資源を有しています。しかし、自然災害や天候の変動性による悪影響も無視できません。特に地中海地域特有の干ばつが頻繁に発生することで、水不足が原因となり、収穫量が予想より低下する問題がしばしば発生しています。
さらに、新型コロナウイルス感染症の流行によって供給チェーンが不安定になったことで、農業資材や労働力の確保が難しくなった可能性があります。これにより、生産が一時的に影響を受けたと見られます。この分野における課題としては、持続可能な農業技術の導入と適切な労働力確保、農業従事者への経済的支援が挙げられます。加えて、EU内での協力や新しい市場の開拓も重要な戦略です。
将来的には、クロアチアは生産効率を向上させるための農業技術を積極的に導入すべきでしょう。例えば、精密農業技術の利用により、水資源の利用効率化や収穫量の安定が期待されます。また、地域間協力を進め、輸出市場を拡大することで、国内農業の収益性を改善することが可能です。さらに、気候変動に対応するために、干ばつや大雨などの天候不順に強い品種の開発も必要不可欠です。
結論として、クロアチアのキュウリ類生産は長期的に不安定かつ減少傾向が見られるため、内外の課題に積極的に対応することが求められていると言えます。国政府や国際機関、EUの支援を受けつつ、資源管理や市場戦略を見直すことで、持続可能な発展の道筋を模索していくことが重要です。