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クロアチアのナシ生産量推移(1961年~2023年)

クロアチアにおけるナシ生産量は、過去30年にわたり大きな変動を見せています。1990年代では年間生産量が9,000~12,000トンの間で安定して推移していましたが、2000年以降急激な減少を記録し、2023年にはわずか660トンという最低値となりました。この変化には、自然災害、気候変動、農業構造の変化など複数の要因が影響している可能性があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 660
-63.54% ↓
2022年 1,810
-45.81% ↓
2021年 3,340
-15.66% ↓
2020年 3,960
71.43% ↑
2019年 2,310
-24.51% ↓
2018年 3,060
9.44% ↑
2017年 2,796
-29.43% ↓
2016年 3,962
-25.44% ↓
2015年 5,314
82.67% ↑
2014年 2,909
-29.46% ↓
2013年 4,124
235.28% ↑
2012年 1,230
-75.8% ↓
2011年 5,083
53.66% ↑
2010年 3,308
-7.34% ↓
2009年 3,570
8.38% ↑
2008年 3,294
-25.59% ↓
2007年 4,427
31.64% ↑
2006年 3,363
111.38% ↑
2005年 1,591
-67.7% ↓
2004年 4,926
51.62% ↑
2003年 3,249
12.89% ↑
2002年 2,878
0.21% ↑
2001年 2,872
-34.01% ↓
2000年 4,352
-56.6% ↓
1999年 10,027
-13.23% ↓
1998年 11,556
17.97% ↑
1997年 9,796
-17.12% ↓
1996年 11,819
11.5% ↑
1995年 10,600
17.33% ↑
1994年 9,034
-22.98% ↓
1993年 11,729
29.36% ↑
1992年 9,067 -

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表したデータによると、クロアチアのナシ生産量は過去数十年で大きな変動を経験しました。1990年代の生産量は比較的高く安定しており、最も高い年である1996年には11,819トンを記録しました。しかし2000年代に入ると生産量は急激に減少し、2000年の4,352トンを皮切りに、特に2001年から2006年の間で2,000~4,000トン台に減少しました。その後も長期的に不安定な推移が続き、2012年には1,230トンにまで落ち込みました。

気候変動はこの生産量の低迷に大きく影響を与えていると考えられます。クロアチアではこの期間中、異常気象が頻発し、特に降雨量の不足や霜害が果実生産に大打撃を与えました。さらに、2022年及び2023年の生産量の大幅な低下(それぞれ1,810トンおよび660トン)は、異常な猛暑や干ばつの影響が原因として挙げられます。このような気候条件の悪化はナシの樹木に深刻なストレスを与え、生産効率の低下につながったと考えられます。

また、経済的背景や農業構造の変化も無視できません。クロアチアの農業産業では主要輸出作物に注力する傾向が強まり、ナシという特産性の低い果物には十分な投資が行われていない可能性があります。このような背景のもと、ナシの栽培農家の数も減少し、技術の継承や効率的な生産体制の維持に課題が生じています。

他国の状況と比較すると、例えば中国やインドなどではナシ生産量が世界的な需要の高まりを背景に大幅な増加を見せています。日本でも品種改良や温室栽培による安定的な生産が進んでおり、年々消費量が増加しています。これに対し、クロアチアは一貫した品質や量の確保に課題を抱えているのが現状です。

適切な対策としては、気候変動への適応策が最優先事項となります。例えば、ナシ栽培に耐候性のある新品種を導入すること、灌漑システムを整備することなどが挙げられます。また、地域の農家同士や周辺国との協力体制を構築し、知識や資源を共有する仕組みを作ることも重要です。さらに、政府や国際的な農業支援機関による資金援助や技術指導を強化することで、小規模農家が持続可能な方法で生産を続けられるよう支援するべきです。

結論として、クロアチアのナシ生産量がここまで急落している背景には、気候変動と農村の経済的課題が深く関わっています。これらの問題を解決するためには、地域農業の再構築と適応型農業の促進が必要です。これを実現することで、クロアチアは再びナシ生産において安定性と競争力を取り戻す可能性を秘めています。