国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、2023年におけるクロアチアのアーモンド生産量は130トンでした。過去30年間を振り返ると、1990年代には年間約1,000~3,000トンの生産量を維持していましたが、2000年代後半から減少し始め、2010年代に最も低い水準を記録しました。その後、2020年には一時的に780トンまで回復しましたが、再び減少傾向にあります。これらの変動要因には、気候条件の変化や農業政策の影響が考えられ、課題解決に向けた具体的な取り組みが必要とされています。
クロアチアのアーモンド生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 130 | - |
2022年 | 130 |
85.71% ↑
|
2021年 | 70 |
-91.03% ↓
|
2020年 | 780 |
212% ↑
|
2019年 | 250 |
316.67% ↑
|
2018年 | 60 |
-1.64% ↓
|
2017年 | 61 |
-73.82% ↓
|
2016年 | 233 |
-14.34% ↓
|
2015年 | 272 |
294.2% ↑
|
2014年 | 69 |
-6.76% ↓
|
2013年 | 74 |
-53.16% ↓
|
2012年 | 158 |
10.49% ↑
|
2011年 | 143 | - |
2010年 | 143 |
-90.42% ↓
|
2009年 | 1,493 |
129.34% ↑
|
2008年 | 651 |
21.46% ↑
|
2007年 | 536 |
-5.63% ↓
|
2006年 | 568 |
-26.9% ↓
|
2005年 | 777 |
-28.78% ↓
|
2004年 | 1,091 |
-15.88% ↓
|
2003年 | 1,297 |
-40.37% ↓
|
2002年 | 2,175 |
1.35% ↑
|
2001年 | 2,146 |
-8.95% ↓
|
2000年 | 2,357 |
-28.9% ↓
|
1999年 | 3,315 |
55.05% ↑
|
1998年 | 2,138 |
5.16% ↑
|
1997年 | 2,033 |
3.25% ↑
|
1996年 | 1,969 |
12.07% ↑
|
1995年 | 1,757 |
-13.49% ↓
|
1994年 | 2,031 |
29.12% ↑
|
1993年 | 1,573 |
21.56% ↑
|
1992年 | 1,294 | - |
クロアチアのアーモンド生産は、1990年代から顕著な変動を見せており、年ごとに生産量が大きく異なるのが特徴です。データを見ると、1999年には3,315トンという最大の生産量を記録しましたが、その後は2000年代に入り徐々に低下し、2010年以降は100トン台を下回る年も見受けられるようになりました。この減少は、地理的・気候的条件の影響をより強く受けるようになったことが背景にあると考えられます。
特に、アーモンド生産量が最も低下した2013年と2014年では、それぞれ74トンと69トンと著しい減少が見られました。この時期は、ヨーロッパ全体で異常気象が頻発しており、クロアチアでも連続した厳しい冬や夏の干ばつが農作物の収穫に大きな影響を与えたと報告されています。また、同時期には農業技術への投資不足や農村部での人口減少といった社会的要因も生産量の低下に拍車をかけました。
2020年には780トンと一時的に回復する動きがありましたが、これには同年の気象条件が比較的安定していたことが影響していると推察されます。しかし、その後再び減少傾向が続き、2023年時点では130トンまで低下しています。このような不安定な生産動向は、クロアチアのアーモンド生産業が持続可能な形で発展していないことを示しています。
アーモンドは地中海性気候が求められる作物であり、乾燥と排水性の良い土壌を好む特徴を持っています。クロアチアはアドリア海沿岸の気候条件を活用する強みがある一方で、近年の気候変動により、必要な安定的な条件が満たされなくなっている点が課題です。また、災害に備えた灌漑設備や農業技術の導入が十分でないため、気候の変化に対する適応力が不足しています。
地域的な課題としては、クロアチア国内での農業従事者の高齢化や若年層の離農率の高さも指摘されています。これにより、新しい農業技術や効率的な栽培方法の導入が進みにくく、生産性の向上が妨げられています。一方で、アーモンドの市場需要は世界的に増加しており、特にヨーロッパ地域では健康志向の食品原材料として注目されています。クロアチアがこの需要に対応するためには、収穫量を安定的に確保するための施策が急務です。
未来に向けた解決策として、いくつかの具体的な提案があります。まず、農家が持続可能な栽培技術を導入しやすくするための助成金や啓発プログラムを地域単位で設けることが重要です。これには、灌漑システムや土壌改良技術の普及に政府や国際機関が積極的に関与することが含まれます。また、若年層が農業分野に従事する意欲を高めるため、教育プログラムやインセンティブの提供も必要です。さらに、気候変動に応じた栽培方法を研究・実践するための地域共同体や研究機関との連携も重要です。
アーモンド生産が十分に安定し、輸出可能な規模で拡大すれば、クロアチア農業の競争力を高めるだけでなく、地域経済の活性化にも大きく寄与することが期待されます。このため、持続可能な農業モデルの確立と、広域的な気候対策を同時に進めることが今後の鍵になると言えるでしょう。