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フランス領ポリネシアの牛乳生産量推移(1961年~2022年)

最新のデータ(2022年)によると、フランス領ポリネシアの牛乳生産量は847トンです。1961年の370トンから1970年代には大幅な増加が見られ、1980年には2,035トンと過去最高レベルに達しましたが、その後は大きな変動を繰り返し、1990年代以降は減少傾向が続いています。2010年代後半からは横ばい状態が続いており、ここ10年間の平均生産量はおおよそ870トン程度です。

年度 生産量(トン) 増減率
2022年 847
0.19% ↑
2021年 845
0.74% ↑
2020年 839
-2.02% ↓
2019年 856
1.9% ↑
2018年 840
2.44% ↑
2017年 820
-9.69% ↓
2016年 908
5.58% ↑
2015年 860
-16.18% ↓
2014年 1,026
3.32% ↑
2013年 993
-24.49% ↓
2012年 1,315
10.32% ↑
2011年 1,192
11.61% ↑
2010年 1,068
-10.4% ↓
2009年 1,192
-3.25% ↓
2008年 1,232
-2.45% ↓
2007年 1,263
14.01% ↑
2006年 1,108
1.07% ↑
2005年 1,096
2.33% ↑
2004年 1,071
-1.11% ↓
2003年 1,083
10.74% ↑
2002年 978
-18.57% ↓
2001年 1,201
-2.52% ↓
2000年 1,232
-5.59% ↓
1999年 1,305
45.97% ↑
1998年 894
-35.17% ↓
1997年 1,379
1.47% ↑
1996年 1,359
-4.9% ↓
1995年 1,429
-10.13% ↓
1994年 1,590
-1.06% ↓
1993年 1,607
-14.06% ↓
1992年 1,870
1.8% ↑
1991年 1,837
-10.39% ↓
1990年 2,050
5.67% ↑
1989年 1,940
6.59% ↑
1988年 1,820
-10.65% ↓
1987年 2,037
-8.08% ↓
1986年 2,216
2.59% ↑
1985年 2,160
2.86% ↑
1984年 2,100
53.96% ↑
1983年 1,364
-22.41% ↓
1982年 1,758
-2.66% ↓
1981年 1,806
-11.25% ↓
1980年 2,035
10% ↑
1979年 1,850
6.14% ↑
1978年 1,743
2.53% ↑
1977年 1,700 -
1976年 1,700 -
1975年 1,700
3.03% ↑
1974年 1,650
10% ↑
1973年 1,500
15.38% ↑
1972年 1,300
13.04% ↑
1971年 1,150
15% ↑
1970年 1,000
17.65% ↑
1969年 850
15.8% ↑
1968年 734
12.92% ↑
1967年 650
8.33% ↑
1966年 600
9.09% ↑
1965年 550
10% ↑
1964年 500
11.11% ↑
1963年 450
12.5% ↑
1962年 400
8.11% ↑
1961年 370 -

フランス領ポリネシアの牛乳生産量推移を追うと、1960年代から1970年代前半にかけては着実に増加をみせ、1973年には1,500トンを突破しました。この成長は乳業の設備投資や技術改良によるものと考えられます。1980年には2,035トンとピークを迎えましたが、その後は長期的な減少傾向が見られます。特に1980年代後半から1990年代中頃にかけては、2,000トンを超えた年もありながら、生産量の揺らぎが目立ちます。この変動には天候不順や市場の需要変化、さらには地元農業の課題が影響を及ぼしていると言えるでしょう。

1990年代後半からは生産量が半減し、特に1998年には894トンと歴史的な低水準に陥りました。これは、国際市場の競争激化や輸入製品との競合、さらには乳牛飼育の高コストが原因と考えられます。加えて、地理的な要因も重要です。フランス領ポリネシアは太平洋の広範囲にわたる島々から成るため、輸送インフラの制約や農業用地の限界が生産活動に影響を及ぼしています。

2010年代以降は、牛乳生産量は870トン前後で推移しており、安定しているとも取れますが、過去のピーク時と比較するとかなり縮小しています。2022年の847トンというデータは、過去10年間の平均値とほぼ一致しており、大きな変化がない状態が続いています。2015年から2022年にかけて見ると、生産量の変動幅が小さいため、低生産量で一応安定していると言えます。

しかし、現在の水準には課題が山積しています。第一に、自給自足率の低下が地域経済に与える影響は無視できません。フランス領ポリネシアのように地理的孤立が顕著である地域が外部への依存を強めると、輸入コストの増加や供給不足のリスクを招きます。第二に、世界全体で考えると、乳製品市場は人口減少や消費パターンの変化、特に健康志向の高まりなどで需要構造が大きく変化しており、効率的な生産体系の構築が急務とされています。

このような現状を踏まえ、将来的な持続可能性を確保するためには、いくつかの対策が考えられます。例えば、テクノロジーの導入が重要となります。飼育管理の効率化や生産性の向上のため、スマート農業技術を活用することで、限られたリソースを最大限に活用する道が開けるかもしれません。また、地元産業の再活性化のため、健康に配慮した乳製品ブランドを国際市場向けに開発・展開するなど、輸出産業としてのポテンシャルを拡大する方策も考えられます。さらに、観光業との連携による付加価値の創出や、地元農家への支援策としての補助金制度の導入も有効でしょう。

地政学的な観点では、フランス領ポリネシアは太平洋上に位置するため、気候変動や自然災害のリスクが牛乳生産に与える影響には注意が必要です。例えば、サイクロンによる飼料供給の中断や、海面上昇による農地の喪失は、直接的な生産減少につながる可能性があります。また、新型コロナの大流行や物流遅延のようなグローバルな問題が、輸送コストや資材不足を通じて影響を及ぼしていることは、近年の低生産量への一因とも考えられます。

今後、国や地域が取るべきアプローチには、持続可能な農業モデルの構築、地域内協力の強化、輸入依存の低減などが挙げられます。最終的には、現地の環境に最適化された経済的かつ持続可能なシステムを確立することが、将来世代の食料安全保障を守る重要な鍵となるでしょう。