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フランス領ポリネシアの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

フランス領ポリネシアの牛乳生産量は、1961年の370トンから1970年代まで順調に増加し、1980年には2,035トンに達しました。しかしながら、それ以降は大きな変動を繰り返しつつも減少傾向が顕著で、2023年にはわずか530トンまで落ち込みました。この変化は、地元の乳業にとって重要な課題を浮き彫りにしています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 530
-37.44% ↓
2022年 847
0.19% ↑
2021年 845
0.74% ↑
2020年 839
-2.02% ↓
2019年 856
1.9% ↑
2018年 840
2.44% ↑
2017年 820
-9.69% ↓
2016年 908
5.58% ↑
2015年 860
-16.18% ↓
2014年 1,026
3.32% ↑
2013年 993
-24.49% ↓
2012年 1,315
10.32% ↑
2011年 1,192
11.61% ↑
2010年 1,068
-10.4% ↓
2009年 1,192
-3.25% ↓
2008年 1,232
-2.45% ↓
2007年 1,263
14.01% ↑
2006年 1,108
1.07% ↑
2005年 1,096
2.33% ↑
2004年 1,071
-1.11% ↓
2003年 1,083
10.74% ↑
2002年 978
-18.57% ↓
2001年 1,201
-2.52% ↓
2000年 1,232
-5.59% ↓
1999年 1,305
45.97% ↑
1998年 894
-35.17% ↓
1997年 1,379
1.47% ↑
1996年 1,359
-4.9% ↓
1995年 1,429
-10.13% ↓
1994年 1,590
-1.06% ↓
1993年 1,607
-14.06% ↓
1992年 1,870
1.8% ↑
1991年 1,837
-10.39% ↓
1990年 2,050
5.67% ↑
1989年 1,940
6.59% ↑
1988年 1,820
-10.65% ↓
1987年 2,037
-8.08% ↓
1986年 2,216
2.59% ↑
1985年 2,160
2.86% ↑
1984年 2,100
53.96% ↑
1983年 1,364
-22.41% ↓
1982年 1,758
-2.66% ↓
1981年 1,806
-11.25% ↓
1980年 2,035
10% ↑
1979年 1,850
6.14% ↑
1978年 1,743
2.53% ↑
1977年 1,700 -
1976年 1,700 -
1975年 1,700
3.03% ↑
1974年 1,650
10% ↑
1973年 1,500
15.38% ↑
1972年 1,300
13.04% ↑
1971年 1,150
15% ↑
1970年 1,000
17.65% ↑
1969年 850
15.8% ↑
1968年 734
12.92% ↑
1967年 650
8.33% ↑
1966年 600
9.09% ↑
1965年 550
10% ↑
1964年 500
11.11% ↑
1963年 450
12.5% ↑
1962年 400
8.11% ↑
1961年 370 -

フランス領ポリネシアの牛乳生産量の歴史を振り返ると、1960年代から1970年代半ばまでは一貫して増加しており、地元の農業基盤の強化や乳製品需要の拡大がその背景にあると考えられます。特に1970年から1980年にかけては、生産量が1,000トンを超え、1984年には初めて2,100トンに到達しています。しかし、その後は重大な減少傾向が見られ、長期的には乳製品生産が低迷していることが分かります。

1980年代から減少が顕著になった原因としては、外部要因と地域固有の課題が複合的に影響していると推測されます。例えば、気候変動の影響で牧草地の質が低下し、酪農業に必要な飼料供給が不安定になった可能性や、農村部の労働力不足による生産力の低下が挙げられます。また、この地域は島嶼(とうしょ)という地理的条件から輸送コストが高く、一部の乳製品需要を輸入に依存していることも、地元の生産量が抑制されている理由と考えられます。

2023年には生産量が530トンにまで落ち込み、これは過去の最盛期と比べ大幅な減少を意味しています。この減少は、新型コロナウイルスパンデミックの世界的影響や、それに伴う供給網の混乱とも関係があるかもしれません。また、農業従事者の高齢化や後継者不足が問題とされる中で、農村地域の産業活動の衰退が一因となっている可能性もあります。

フランス領ポリネシアの牛乳生産量の持続可能な回復のためには、いくつかの具体的な対策が考えられます。まず、持続可能な牧草管理や耐乾性が高い飼料作物の導入を進め、気候変動の影響に対応できる農業インフラを整備する必要があります。次に、地域の若者を農業分野に引き込むための教育プログラムや雇用促進政策を導入し、後継者不足を解消する取り組みが求められます。さらに、輸送コストや貿易の課題を軽減するため、フランス本国や他地域との協力体制を強化し、地域農業を支援する国際的な資金援助の活用も検討すべきです。

地政学的に見ると、フランス領ポリネシアは南太平洋という戦略的な位置にあり、安定した地元の食糧供給を確保することは地域の持続可能性を保つ上で国家的にも重要な課題です。牛乳生産が重要である理由の一つに、乳製品が地域住民の栄養状態の向上に寄与し、輸入依存を減らす役割を果たせる可能性があります。そのため、国際的な食糧安全保障の観点からも、この問題に早急に取り組む必要があります。

今後、フランス領ポリネシア自身だけでなくフランス本国や国際機関も協力して、農業分野の研究開発や地域実情に即した政策を推進することが求められるでしょう。特に、産業多様化や観光業との連動を強化することで、牛乳生産量の回復以上に地域経済全体の復興を目指していくことが重要なカギとなるはずです。このような取り組みが成功すれば、フランス領ポリネシアは再び安定した牛乳生産の担い手としての地位を取り戻せる可能性があります。