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フランス領ポリネシアの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が2024年7月に更新したデータによると、フランス領ポリネシアの鶏卵生産量は、1961年の100トンから2023年の3,170トンに増加しています。この60年以上の長期的な視点で見ると、生産量が着実に成長していることが分かるものの、近年のデータでは2015年に記録した4,475トンをピークに、やや減少傾向が見られます。この変動は、生産体制や地政学的背景、または気候変動や新型コロナウイルスの影響を反映している可能性があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 3,170
-20.8% ↓
2022年 4,002
-0.68% ↓
2021年 4,030
1.12% ↑
2020年 3,986
-0.16% ↓
2019年 3,992
-2.94% ↓
2018年 4,113
6.77% ↑
2017年 3,852
-3.96% ↓
2016年 4,011
-10.37% ↓
2015年 4,475
98.89% ↑
2014年 2,250
17.43% ↑
2013年 1,916
-29.3% ↓
2012年 2,710
-0.55% ↓
2011年 2,725
-1.62% ↓
2010年 2,770
1.09% ↑
2009年 2,740
10.31% ↑
2008年 2,484
7.35% ↑
2007年 2,314
-1.74% ↓
2006年 2,355
-2.61% ↓
2005年 2,418
11.84% ↑
2004年 2,162
-1.14% ↓
2003年 2,187
-3.53% ↓
2002年 2,267
13.35% ↑
2001年 2,000
42.05% ↑
2000年 1,408
-11.5% ↓
1999年 1,591
1.66% ↑
1998年 1,565
6.68% ↑
1997年 1,467
8.27% ↑
1996年 1,355
-19.58% ↓
1995年 1,685
22.37% ↑
1994年 1,377
-6.07% ↓
1993年 1,466
-13% ↓
1992年 1,685
5.91% ↑
1991年 1,591
27.28% ↑
1990年 1,250
4.17% ↑
1989年 1,200
-10.45% ↓
1988年 1,340
0.75% ↑
1987年 1,330
0.76% ↑
1986年 1,320
-0.08% ↓
1985年 1,321
46.78% ↑
1984年 900
1.24% ↑
1983年 889
-5.43% ↓
1982年 940
9.3% ↑
1981年 860
-10.42% ↓
1980年 960
1.05% ↑
1979年 950
20.56% ↑
1978年 788
12.57% ↑
1977年 700
7.69% ↑
1976年 650 -
1975年 650
25% ↑
1974年 520
13.04% ↑
1973年 460
17.95% ↑
1972年 390
-18.75% ↓
1971年 480
-42.86% ↓
1970年 840
110% ↑
1969年 400
11.11% ↑
1968年 360 -
1967年 360
80% ↑
1966年 200
100% ↑
1965年 100 -
1964年 100 -
1963年 100 -
1962年 100 -
1961年 100 -

フランス領ポリネシアはその地理的特性から農業生産に制限があり、鶏卵は生産が伸びている重要な食料資源の一つです。1961年にはわずか100トンの生産量でしたが、1970年代に大幅な増加が見られました。この当時の生産量には、国家的な農業支援政策や地域経済の多角化の推進が影響したと考えられます。その後も、1985年を境に1,000トンを超え、継続的な増加を遂げ、2000年代には年2,000トン以上に達しました。

しかし、注目すべきは、2015年に4,475トンと過去最高を記録した後に緩やかな減少傾向が発生している点です。このような生産量の変動は、台風などの自然災害、飼料価格の変動、または輸入政策の変化による影響を受けている可能性が考えられます。特に、2023年の生産量が3,170トンと直近のピークである2015年から約1,300トンも減少している点は注意が必要です。この背景として、新型コロナウイルスのパンデミックがもたらした物流の混乱や観光業の低迷に伴う地域経済への影響、さらには気候変動が農業生産に及ぼす長期的なリスクが挙げられます。

他国の鶏卵生産状況と比較すると、フランス領ポリネシアの規模はさほど大きくありません。例えば、世界最大の鶏卵生産国である中国は年間約3,500万トンを生産しており、アメリカも年間1,000万トン以上と圧倒的な数値を示しています。一方、同じ太平洋諸国の中でも、フィジーやニュージーランドといった国々は比較的自国内生産に依存していますが、それでも必要な分を輸入で賄っているケースが多いのに対し、フランス領ポリネシアは輸入依存の割合が低いのが特徴です。

フランス領ポリネシアが鶏卵生産を安定的に伸ばすためには、いくつかの課題に取り組む必要があります。第一に、気候適応型の農業技術の導入が重要です。この地域では台風や干ばつといった極端な気候現象が増えており、鶏の飼育や鶏卵の生産環境が損なわれる可能性があります。そのため、持続可能な水資源管理や飼料の地域調達の拡大、さらには気温変化に強い鶏の品種改良が不可欠です。

第二に、労働力の確保も重要な課題です。フランス領ポリネシアでは平均年齢が徐々に上昇しており、農業や畜産業に携わる人材が減少傾向にあります。これを補うためには、若い世代が農業分野に入りやすい環境づくりや技術支援が求められます。加えて、農業従事者に対する支援政策やインセンティブの提供も重要になります。

また、新型コロナウイルスの影響下では、グローバルサプライチェーンの脆弱性が露呈しましたが、これを機に地域内の食料自給率向上を目指す機会とも捉えられます。たとえば、地域施設での再生可能エネルギーを活用した自給自足型農業施設の開発が期待されます。

最後に、国際協力の推進も鍵となります。フランス領ポリネシアが鶏卵の輸出可能性を高め、輸入国としての依存度を減らすためには、近隣諸国や国際機関と連携した生産性向上プロジェクトが役立つでしょう。

総じて言えば、鶏卵の生産はフランス領ポリネシアにおける重要な経済活動であり、地域の自給率向上と持続可能性の確保にとって中核的な役割を果たしています。しかし、近年の生産の増減傾向に対処するためには、地域ごとの強みを活かした政策展開や革新的な技術導入、さらには国際的な連携強化が不可欠です。これらの取り組みにより、この地域の食料安全保障が今後さらに改善されることが期待されます。