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フランス領ポリネシアのヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、フランス領ポリネシアにおけるヤギ肉の生産量は、1961年に36トンから徐々に増加し、1990年代には75トンを記録するなど安定成長を見せていました。その後、2000年代も75トンで停滞した時期が続きましたが、2014年以降、生産量が再び減少し始め、2023年には69トンにまで縮小しています。この推移は、地域の農業構造の変化や外部要因による影響が反映されていると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 69
-2.44% ↓
2022年 71
-0.2% ↓
2021年 71
-0.21% ↓
2020年 71
-0.28% ↓
2019年 72
2.26% ↑
2018年 70
-0.77% ↓
2017年 70
-0.51% ↓
2016年 71
-1.2% ↓
2015年 72
-1.24% ↓
2014年 73
-2.73% ↓
2013年 75
-0.99% ↓
2012年 75
0.51% ↑
2011年 75 -
2010年 75 -
2009年 75 -
2008年 75 -
2007年 75 -
2006年 75 -
2005年 75 -
2004年 75 -
2003年 75 -
2002年 75 -
2001年 75 -
2000年 75 -
1999年 75
4.17% ↑
1998年 72 -
1997年 72 -
1996年 72 -
1995年 72
2.13% ↑
1994年 71
4.44% ↑
1993年 68 -
1992年 68
2.27% ↑
1991年 66
4.76% ↑
1990年 63
3.7% ↑
1989年 61
1.25% ↑
1988年 60
8.4% ↑
1987年 55
-0.54% ↓
1986年 56
0.27% ↑
1985年 56
0.27% ↑
1984年 55
0.27% ↑
1983年 55
0.55% ↑
1982年 55
0.27% ↑
1981年 55
0.55% ↑
1980年 54
0.83% ↑
1979年 54
0.28% ↑
1978年 54
0.56% ↑
1977年 54
0.85% ↑
1976年 53
1.14% ↑
1975年 53
0.57% ↑
1974年 52
0.87% ↑
1973年 52
0.88% ↑
1972年 51
0.59% ↑
1971年 51
0.59% ↑
1970年 51
0.6% ↑
1969年 50
0.3% ↑
1968年 50
0.6% ↑
1967年 50
0.91% ↑
1966年 50
10% ↑
1965年 45
5.26% ↑
1964年 43
7.95% ↑
1963年 40
3.53% ↑
1962年 38
6.25% ↑
1961年 36 -

フランス領ポリネシアでは、ヤギ肉がローカルな食文化の重要な一端を担ってきた歴史があります。この地域のヤギ肉生産量は、1961年の36トンという低水準から順調に拡大し、1980年代末から1990年代初頭において60トンを超えました。これは、農業基盤の強化や地域消費の増加、農民の生産技術の向上などが寄与したものと考えられます。また、フランス領ポリネシア独特の地理的条件や小規模な農業の形態が、ある程度持続可能な形での生産拡大を支えた一因と考えられます。

しかしながら、2000年代から2010年代にかけて、続けて75トンという数値で長期間停滞が見られました。同じ時期に、他の島嶼地域では観光産業や輸入肉の利用が増加したことから、現地での生産活動に対して経済的な圧力となったことが予測されます。さらに、2014年以降、ヤギ肉生産量は徐々に減少し、2023年には69トンを記録しました。これは、以下のような多くの要因が影響している可能性があります。

1つ目は、農業従事者の高齢化や都市部への人口流出です。フランス領ポリネシアの伝統的な農業構造は、家族労働を中心に行われている場合が多いため、労働力の減少が生産性に直接影響を及ぼします。2つ目は、気候変動の影響にあります。同地域の熱帯性気候は、干ばつや洪水などに対して脆弱で、特にヤギの飼育に必要な牧草などの生産に悪影響をもたらす可能性があります。3つ目に、新型コロナウイルスの世界的なパンデミックの影響も無視できないでしょう。物流や経済活動が停滞したことで、食肉市場や農産物経済に変化をもたらし、結果として現地生産に影響したと考えられます。

将来に向けて、フランス領ポリネシアのヤギ肉生産を持続的に発展させるためには、いくつかの具体的な対策が必要です。まず、生産者への支援を強化することが重要です。例えば、若い世代の農業参入を促進するため、補助金や技術トレーニングプログラムを提供することが考えられます。また、気候変動に対する適応能力を高めるために、牧草地の管理や灌漑システムの導入、そして気候に強いヤギ種の導入を検討することが有効と思われます。

さらに、輸出拡大のための取り組みとして、高品質で地元独自のブランドを打ち出すことも有力な戦略となります。観光産業が主要産業の1つである同地域では、観光客向けの地元産品としてヤギ肉の価値を高めるマーケティング活動が進めば、生産量増加の契機となるでしょう。

このような取り組みを持続的に行っていくためには、フランス領や太平洋諸国との協力、さらには国際機関からの支援を得ることが不可欠です。特に、農業統計の充実と現地調査の拡大を通じて、今後の生産戦略に科学的根拠を持たせることが必要です。これにより、フランス領ポリネシアの食糧自給率向上や農村地域の経済安定につながり、持続可能な開発に向けた道筋がより明確になると期待されます。