国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2021年度のラズベリー生産量ランキングによると、世界第1位の生産国はロシア連邦で、その生産量は197,600トンに達しました。続く2位はメキシコ(165,677トン)、3位はセルビア(110,589トン)で、これらの上位3か国が特に大きな生産量を記録しています。一方、アジアやアフリカ地域ではラズベリー生産が比較的少ない傾向が見られます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
ヨーロッパ | 197,600 |
| 2 |
|
南アメリカ | 165,677 |
| 3 |
|
ヨーロッパ | 110,589 |
| 4 |
|
ヨーロッパ | 103,900 |
| 5 |
|
北アメリカ | 77,880 |
| 6 |
|
ヨーロッパ | 48,830 |
| 7 |
|
アフリカ | 42,000 |
| 8 |
|
ヨーロッパ | 36,290 |
| 9 |
|
ヨーロッパ | 27,950 |
| 10 |
|
ヨーロッパ | 16,833 |
| 11 |
|
南アメリカ | 15,883 |
| 12 |
|
ヨーロッパ | 15,694 |
| 13 |
|
アジア | 11,826 |
| 14 |
|
ヨーロッパ | 7,020 |
| 15 |
|
ヨーロッパ | 5,560 |
| 16 |
|
北アメリカ | 5,541 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 5,140 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 5,100 |
| 19 |
|
ヨーロッパ | 4,291 |
| 20 |
|
ヨーロッパ | 3,640 |
| 21 |
|
ヨーロッパ | 2,650 |
| 22 |
|
アジア | 2,613 |
| 23 |
|
ヨーロッパ | 1,820 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 1,798 |
| 25 |
|
ヨーロッパ | 1,460 |
| 26 |
|
ヨーロッパ | 1,360 |
| 27 |
|
アジア | 900 |
| 28 |
|
ヨーロッパ | 700 |
| 29 |
|
オセアニア | 645 |
| 30 |
|
アジア | 600 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 500 |
| 32 |
|
ヨーロッパ | 484 |
| 33 |
|
ヨーロッパ | 460 |
| 34 |
|
ヨーロッパ | 450 |
| 35 |
|
ヨーロッパ | 400 |
| 36 |
|
ヨーロッパ | 320 |
| 37 |
|
ヨーロッパ | 300 |
| 38 |
|
ヨーロッパ | 180 |
| 39 |
|
ヨーロッパ | 180 |
| 40 |
|
ヨーロッパ | 170 |
| 41 |
|
ヨーロッパ | 100 |
| 42 |
|
アフリカ | 98 |
| 43 |
|
ヨーロッパ | 40 |
| 44 |
|
オセアニア | 20 |
| 45 |
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ヨーロッパ | 10 |
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ラズベリーは高級フルーツやスーパーフードとしての需要が高まっており、食生活の健康志向を背景に国際市場での需要が増加しています。2021年度のデータによれば、ロシア連邦が世界最大のラズベリー生産国であり、全世界の供給を牽引しています。ロシアは、広大な国土と寒暖差のある気候を活かし、非常に安定した生産体制を築いています。続くメキシコは、輸出を前提とした生産システムと早期収穫が可能な温暖な気候を背景に、世界市場に質の高いラズベリーを供給しています。セルビア、ポーランド、アメリカ合衆国もそれぞれ特有の強みを活かし、ヨーロッパおよび北米市場での重要な供給源となっています。
一方で、上位3か国の生産量の合計が世界全体の多くを占めており、生産集中の傾向が見られます。このような状況は、天候の変化や疾病の流行により特定の国が気候被害を受けた場合、世界的にラズベリー供給が大きく影響を受けるリスクをはらんでいます。例えば、ロシアやポーランドでは、近年の気候変動による作物の出来不出来が問題視されており、持続可能な農業技術や気候適応型の対策が急務となっています。一方、メキシコでは、水不足や農業従事者の労働環境の改善が課題として残っています。
また、地政学的背景も重要な要素です。特にウクライナやモルドバ共和国といった東欧諸国では農作物生産が地域紛争の影響を受けやすく、安定した生産が難しくなる場合があります。例えば、ウクライナは36,290トンと高い生産量を記録しているものの、戦争の影響によりその生産体制が崩れる可能性が指摘されています。この点では、国際機関や隣国との協力体制が欠かせません。
また、下位の生産国となるヨーロッパ北部やオセアニア、アフリカ地域では、生産量の少なさが示されています。これらの地域では、主に気候の適正やインフラの面で生産効率が低いことが原因と考えられます。特に、資源不足が顕著なアフリカ諸国では、ラズベリー生産の現地振興が進まないことが課題です。しかしながら、高付加価値のある輸出作物としてラズベリーに力を入れることで経済の多様化を図り得る余地があるため、地域ごとの技術支援や市場拡大の取り組みが求められます。
今後、ラズベリー生産を継続的且つ安定的に付加価値のある形で成長させていくためには、新たな栽培技術の導入と、生産国同士の連携が鍵となります。例えば、高効率な灌漑システムや品種改良に投資することで気候変動に対応した生産体制を築くことが可能です。また、FAOや国際農業協力機関による小規模農家への支援プログラムも重要です。さらに、消費者需要の増加を見込んで物流や貯蔵システムを効率化するための国際的な協力も不可欠です。
結論として、2021年度のラズベリー生産状況は、上位生産国が主導で世界市場を支えている現状を示していますが、生産の地理的偏りや地域特有の課題を踏まえると、持続可能性を確保するための具体的な対策が必要です。気候変動への適応策を強化し、地域間協力を推進することで、グローバル市場全体の安定化と需要増に対応していくべきでしょう。