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ケニアのヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、ケニアのヤギ肉生産量は1961年の15,114トンから2023年の77,521トンへと、およそ5倍に増加しました。この推移は一貫して右肩上がりではなく、大きな増減が見られることが特徴です。1970年代から1980年代の停滞と増加、2000年代の安定期、そして2010年代後半の減少後、2020年代には再び急激に増加するという変動が観察されます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 77,521
4.76% ↑
2022年 74,000
1.28% ↑
2021年 73,063
-9.51% ↓
2020年 80,739
44.36% ↑
2019年 55,927
50.61% ↑
2018年 37,133
10.26% ↑
2017年 33,677
-33.27% ↓
2016年 50,468
-25.8% ↓
2015年 68,016
-0.26% ↓
2014年 68,190
17.72% ↑
2013年 57,928
2.71% ↑
2012年 56,399
1.49% ↑
2011年 55,573
18.55% ↑
2010年 46,876
1.2% ↑
2009年 46,321
3.7% ↑
2008年 44,670
0.49% ↑
2007年 44,450
4.34% ↑
2006年 42,600
9.46% ↑
2005年 38,918
-3.23% ↓
2004年 40,219
-3.23% ↓
2003年 41,560
6.79% ↑
2002年 38,918
-7.35% ↓
2001年 42,007
11.57% ↑
2000年 37,652 -
1999年 37,652
26.77% ↑
1998年 29,700
-12.9% ↓
1997年 34,100
6.9% ↑
1996年 31,900
-1.69% ↓
1995年 32,450 -
1994年 32,450 -
1993年 32,450
1.72% ↑
1992年 31,900
3.57% ↑
1991年 30,800 -
1990年 30,800
13.17% ↑
1989年 27,215
-1.46% ↓
1988年 27,618
10.36% ↑
1987年 25,025
7.6% ↑
1986年 23,257
-6.03% ↓
1985年 24,750
5.73% ↑
1984年 23,409
33.5% ↑
1983年 17,535
10.7% ↑
1982年 15,840
2.86% ↑
1981年 15,400
-12.5% ↓
1980年 17,600
-35.59% ↓
1979年 27,324
4.81% ↑
1978年 26,070
31.67% ↑
1977年 19,800
30.43% ↑
1976年 15,180
10.4% ↑
1975年 13,750
4.17% ↑
1974年 13,200
13.21% ↑
1973年 11,660
-4.93% ↓
1972年 12,265
-5.11% ↓
1971年 12,925 -
1970年 12,925
-7.84% ↓
1969年 14,025
-13.85% ↓
1968年 16,280
-6.39% ↓
1967年 17,391
0.51% ↑
1966年 17,303
-0.19% ↓
1965年 17,336
0.57% ↑
1964年 17,237
4.61% ↑
1963年 16,478
3.6% ↑
1962年 15,905
5.23% ↑
1961年 15,114 -

ケニアのヤギ肉生産量の推移を見ると、いくつかの重要な傾向と背景が浮かび上がります。初期の1960年代から1980年代までは全体的に緩やかな増加が見られ、とりわけ1977年以降の上昇は目覚ましいものがありました。特に1977年の19,800トンから1978年の26,070トン、さらに1984年の23,409トンから1990年の約30,800トンまでの増産は、農業政策や牧畜技術の改善の影響があったものと考えられます。しかし、これらの時期には降雨量の変動や干ばつなど自然災害の影響が懸念されるデータも見られるため、持続的増加には一部課題がありました。

生産が本格的に安定して高い数値を示すのは2000年代初頭です。この時期には年間42,000トン前後の生産量が記録されており、牧畜業やインフラの整備の進展が寄与したと推察されます。その一方で、2016年から2017年にかけて、50,468トンから33,677トンへの急激な減少が確認されています。この背景には、東アフリカ地域全体で発生した干ばつの影響や、地政学的リスクを伴う地域衝突が、牧畜の持続可能性に悪影響を及ぼした可能性があります。

2018年以降、生産量は再び回復傾向にあります。特に2020年に80,739トンと過去最大の生産量を記録し、2023年には77,521トンとその高水準を維持しました。この増加要因には、国外輸出市場の拡大や国内需要の増加、さらにはヤギ肉の食肉加工技術の改善が挙げられるでしょう。

しかしながら、これほどの生産増加にもかかわらず、未来にはいくつかの課題が残ります。第一に、生産量が自然災害や気候変動に大きく依存している点です。近年のような干ばつが再び発生した場合、持続可能な生産量の確保が困難になる可能性があります。また、市場規模拡大を狙う際には、ケニア国内での食肉保存技術の向上や輸送網の整備が重要課題となります。

さらに、地域衝突や不安定な社会情勢も見過ごせない要因です。牧畜はケニアの一部地域では主要な生業であり、地元の紛争状態が牧畜活動そのものに影響することがあります。このため、地域協力の強化や紛争解決型の政策策定が求められます。

国際的な視点で比較すると、同じアフリカ大陸の南アフリカやエチオピアが現地需要に対応した生産を重視している一方で、ケニアは他国と比べて輸出に依存する傾向が強い状況にあります。このような輸出依存型の生産体系を維持しつつも、国内需要をより効率的に満たすためのバランスを考慮することが必要でしょう。

結論として、ケニアのヤギ肉生産は顕著な増加傾向を見せつつも、生産基盤の強化と外的リスクへの耐性向上が重要であるといえます。具体的な対策としては、干ばつに強い牧草の開発・導入、冷凍物流の整備、現地の牧畜業者を対象とした教育プログラムの推進、地域協力による安定的な市場形成などがあります。これらを実施することで、ケニアのヤギ肉生産がさらなる発展を遂げるとともに、地域社会の安定や農牧民の経済的自立へとつながるでしょう。