国際連合食糧農業機関(Food and Agriculture Organization, FAO)による最新のデータによれば、ケニアのパパイヤ生産量は1961年の30,000トンから始まり、2023年には81,096トンに達しています。この62年間にわたる推移を見ると、生産量は長期的には増加傾向を示していますが、途中では大幅な減少や回復が見られます。特に、1992年や2012年、2018年における生産量の急増が注目される一方、2021年以降は再び減少傾向に転じていることが確認されています。
ケニアのパパイヤ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 81,096 |
6.1% ↑
|
2022年 | 76,430 |
-6.16% ↓
|
2021年 | 81,446 |
-26.17% ↓
|
2020年 | 110,322 |
5.02% ↑
|
2019年 | 105,048 |
-21.86% ↓
|
2018年 | 134,436 |
19.04% ↑
|
2017年 | 112,932 |
-4.36% ↓
|
2016年 | 118,084 |
-2.64% ↓
|
2015年 | 121,290 |
-3.08% ↓
|
2014年 | 125,141 |
-5.63% ↓
|
2013年 | 132,610 |
-0.68% ↓
|
2012年 | 133,515 |
31.74% ↑
|
2011年 | 101,345 |
3.26% ↑
|
2010年 | 98,144 |
37.74% ↑
|
2009年 | 71,254 |
-19.03% ↓
|
2008年 | 88,000 |
-2.87% ↓
|
2007年 | 90,598 |
5.35% ↑
|
2006年 | 86,000 |
-1.15% ↓
|
2005年 | 87,000 |
1.16% ↑
|
2004年 | 86,000 |
-0.57% ↓
|
2003年 | 86,491 |
5.72% ↑
|
2002年 | 81,811 |
5.13% ↑
|
2001年 | 77,822 |
22.73% ↑
|
2000年 | 63,410 |
1% ↑
|
1999年 | 62,780 |
-4.31% ↓
|
1998年 | 65,605 |
-0.36% ↓
|
1997年 | 65,844 |
9.65% ↑
|
1996年 | 60,050 |
4.5% ↑
|
1995年 | 57,465 |
-0.13% ↓
|
1994年 | 57,539 |
3.23% ↑
|
1993年 | 55,739 |
-10.16% ↓
|
1992年 | 62,043 |
37.1% ↑
|
1991年 | 45,253 |
2.04% ↑
|
1990年 | 44,348 |
0.79% ↑
|
1989年 | 44,000 | - |
1988年 | 44,000 |
7.32% ↑
|
1987年 | 41,000 |
2.5% ↑
|
1986年 | 40,000 | - |
1985年 | 40,000 |
5.26% ↑
|
1984年 | 38,000 |
-2.56% ↓
|
1983年 | 39,000 | - |
1982年 | 39,000 | - |
1981年 | 39,000 |
5.41% ↑
|
1980年 | 37,000 |
2.78% ↑
|
1979年 | 36,000 | - |
1978年 | 36,000 | - |
1977年 | 36,000 |
5.88% ↑
|
1976年 | 34,000 | - |
1975年 | 34,000 | - |
1974年 | 34,000 |
6.25% ↑
|
1973年 | 32,000 | - |
1972年 | 32,000 | - |
1971年 | 32,000 |
6.67% ↑
|
1970年 | 30,000 | - |
1969年 | 30,000 | - |
1968年 | 30,000 | - |
1967年 | 30,000 | - |
1966年 | 30,000 | - |
1965年 | 30,000 | - |
1964年 | 30,000 | - |
1963年 | 30,000 | - |
1962年 | 30,000 | - |
1961年 | 30,000 | - |
ケニアのパパイヤ生産量推移を見ると、長期的には増加の傾向を示しつつも、特定の時期に大きな変動が見られます。初期の1960年代から1980年代中頃までは年間30,000トン台から40,000トン台でほぼ横ばいの状況が続きましたが、1988年以降は徐々に増加し始めているのが分かります。この時期の増産には、おそらく農業技術の向上や需要の拡大が一因として挙げられます。また、1992年には62,043トンへと急増しましたが、翌年には55,739トンに減少しており、この反動の原因として干ばつや市場価格の変動などが考えられます。
2000年代に入ってからは、パパイヤ生産は継続して拡大し、2012年には133,515トンと過去最高水準に達しています。この飛躍的な伸びは、ケニア政府の農業政策や国際市場への参入の増加などが影響を与えたと推測されます。しかし2013年以降、減少と回復を繰り返す傾向が見られます。特に2015年から2017年にかけては気候変動の影響と考えられる干ばつが深刻で、生産量が再び減少しました。そして2021年には81,446トンまで減少し、その後も2023年に至るまで生産量が低い水準で推移しています。
ケニアの地理的条件である温暖な気候と豊富な太陽光はパパイヤの栽培に適しているものの、ここ数年の減産傾向は懸念材料です。これには気候変動や新型コロナウイルスによる物流の停滞が影響している可能性があります。また、農地管理の不十分さや害虫被害、肥料や農薬の不足が問題として挙げられます。加えて、国際市場の競争が激化している点にも目を向けるべきです。例えば、インドやブラジルといったパパイヤ生産大国との競争がケニアの輸出価格に影響を与えていると考えられます。
ケニアにおけるパパイヤの持続可能な生産を実現するためには、いくつかの具体的な対策が必要です。まず、気候変動に対応するための耐乾燥性の高い品種の研究と普及が重要です。次に、農家が近代的な農法を学ぶための教育・訓練プログラムの拡充が考えられます。さらに、肥料や農薬の供給を安定させることで、作物の品質向上を図る必要があります。また、国際的なフードサプライチェーンにおける物流の最適化も見逃せない課題です。国際市場での競争力を高めるためには、高品質で安全なパパイヤ製品をブランド化し、輸出市場を拡大することも効果的です。
今後、ケニアだけでなく、アフリカ全体での地域間協力を強化し、持続可能な農業の枠組みを構築することが大切です。同時に、国際機関や開発パートナーとの連携により技術支援や資金援助を受けることも求められます。このような包括的な取り組みを通じて、ケニアはパパイヤ生産をさらに発展させ、農業経済の安定と生活水準の向上を実現できる可能性があります。