国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ケニアのカリフラワー・ブロッコリー生産量は1992年から2023年の間で大きな変動を見せています。1990年代には急激な減少が見られ、その後、2000年代の半ばには比較的安定した生産量となったものの、再び2010年代からは不規則な推移を示しています。2017年と2018年には4,000トンを超える高い生産量に達したものの、それ以降は減少傾向が続き、2022年には677トンと最低水準に近づきました。2023年にはわずかな回復が見られ、生産量は1,026トンとなりました。
ケニアのカリフラワー・ブロッコリー生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 1,026 |
51.51% ↑
|
2022年 | 677 |
-23.8% ↓
|
2021年 | 888 |
-4.68% ↓
|
2020年 | 932 |
-19.79% ↓
|
2019年 | 1,162 |
-80.04% ↓
|
2018年 | 5,823 |
39.74% ↑
|
2017年 | 4,167 |
342.82% ↑
|
2016年 | 941 |
2.28% ↑
|
2015年 | 920 |
-13.62% ↓
|
2014年 | 1,065 |
-47.85% ↓
|
2013年 | 2,042 |
-45.4% ↓
|
2012年 | 3,740 |
267.75% ↑
|
2011年 | 1,017 |
-23.19% ↓
|
2010年 | 1,324 |
-2.5% ↓
|
2009年 | 1,358 |
4.46% ↑
|
2008年 | 1,300 |
-25.71% ↓
|
2007年 | 1,750 |
-23.91% ↓
|
2006年 | 2,300 |
-2.13% ↓
|
2005年 | 2,350 |
2.17% ↑
|
2004年 | 2,300 |
-0.86% ↓
|
2003年 | 2,320 |
145.76% ↑
|
2002年 | 944 |
-7.63% ↓
|
2001年 | 1,022 |
-43.1% ↓
|
2000年 | 1,796 |
26.75% ↑
|
1999年 | 1,417 |
15644.44% ↑
|
1998年 | 9 |
-85% ↓
|
1997年 | 60 |
-80.2% ↓
|
1996年 | 303 |
332.86% ↑
|
1995年 | 70 |
-94.93% ↓
|
1994年 | 1,380 |
-55.44% ↓
|
1993年 | 3,097 |
-47.08% ↓
|
1992年 | 5,852 | - |
ケニアのカリフラワー・ブロッコリー生産量の推移を通じて、同国の農業が抱える課題や、将来への示唆について考察します。まず、カリフラワーおよびブロッコリーの生産量は、1992年の5,852トンを最高に、その後1990年代後半には大幅に減少し、過去最低となる1998年ではわずか9トンにまで落ち込みました。この減少は、おそらく当時の農業資源やインフラの整備不足、政策の優先順位の変化が影響しています。その後、2000年代前半では1,000~2,000トン台でやや安定したものの、2012年以降では再び大きな変動が見られます。特に、2017年と2018年の生産量はそれぞれ4,167トンと5,823トンであり、その急増は市場需要の増加や、一時的な農業振興政策の成果を象徴していますが、持続的な改善にはつながりませんでした。
近年の動向を見てみると、2022年には677トンと深刻に落ち込み、2023年には1,026トンと回復の兆しを見せています。こうした不安定さには、気候変動の影響や、農地の管理能力不足、農業技術の限界が影響していると考えられます。特にケニアでは近年、洪水や干ばつといった極端な気象イベントが多発しており、これが農作物全般の生産量に大きなリスクを与えています。さらに、政治的な不安定さや地政学的リスクも影響しており、農業分野への投資や長期的な支援が妨げられている可能性があります。
他国の状況と比較すると、カリフラワーとブロッコリーなどの十字花科野菜の世界的な主要生産国、たとえば中国では、持続可能な農業技術の導入や市場拡大戦略により、安定した増加が続いています。同様に、インドやアメリカ、ヨーロッパ諸国においても、気候変動や資源問題に直面しながらも、必要に応じた政策を展開しています。一方で、同じアフリカ大陸内の国々と比較した場合、ケニアは農業生産性においてまだ一定の優位性を持ちながらも、その潜在力を十分に発揮できていないのが現状です。
今後、ケニアがこの不安定さを克服するためには、具体的な対策が必要です。まず、天候の変動に対してレジリエントな作物栽培技術を導入することが喫緊の課題となります。これには、耐乾性品種の導入や、効率的な水資源管理技術、持続可能な農地施肥法の普及が含まれます。また、市場インフラの改善による農作物の流通効率の向上や、小規模農家の収益性の確保も重要です。国際的な協力を最大限に活用し、気候資金の導入や専門知識の提供を受けることで、これらの構造的な課題に取り組むべきです。
結論として、ケニアのカリフラワー・ブロッコリーの生産動態は、同国の農業全体の特徴を如実に示しています。不安定な情勢下で、持続可能な生産基盤を確立するためには、短期的な活性化策のみならず、長期的で包括的な政策の策定と実施が欠かせません。国や国際機関が一丸となって農業支援を行うことで、ケニアの農業は将来的に安定と成長を取り戻すことができるでしょう。