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ケニアのナシ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、ケニアのナシ生産量は1975年から2023年までに大きな変動を見せています。1975年当初では100トンという小さな規模でしたが、1990年代に急激な増加が見られ、一時は10,000トンを超える年もありました。しかし、その後再び減少傾向に入り、2023年の生産量は1,060トンとされています。このように長期的なスパンで見ると、ケニアのナシ生産量は著しい浮き沈みがあることが特徴的です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,060
3.97% ↑
2022年 1,019
-10.07% ↓
2021年 1,134
18% ↑
2020年 961
2.58% ↑
2019年 936
-25.23% ↓
2018年 1,252
-33.8% ↓
2017年 1,892
-55.71% ↓
2016年 4,272
-1.41% ↓
2015年 4,333
35.7% ↑
2014年 3,193
-23.85% ↓
2013年 4,193
-3.34% ↓
2012年 4,338
-11.11% ↓
2011年 4,880
8.83% ↑
2010年 4,484
-17.3% ↓
2009年 5,422
6.65% ↑
2008年 5,084
-20.19% ↓
2007年 6,370
-37.59% ↓
2006年 10,206
-2.93% ↓
2005年 10,514
23.69% ↑
2004年 8,500
0.53% ↑
2003年 8,455
28.81% ↑
2002年 6,564
-5.06% ↓
2001年 6,914
-28.74% ↓
2000年 9,702
135.77% ↑
1999年 4,115
-34.04% ↓
1998年 6,239
19.25% ↑
1997年 5,232
7.1% ↑
1996年 4,885
23.02% ↑
1995年 3,971
-20.58% ↓
1994年 5,000
-25.21% ↓
1993年 6,685
-17.49% ↓
1992年 8,102
7.57% ↑
1991年 7,532
3762.56% ↑
1990年 195
-2.5% ↓
1989年 200 -
1988年 200 -
1987年 200 -
1986年 200 -
1985年 200 -
1984年 200 -
1983年 200 -
1982年 200 -
1981年 200 -
1980年 200 -
1979年 200 -
1978年 200
33.33% ↑
1977年 150 -
1976年 150
50% ↑
1975年 100 -

ナシの生産量推移はケニアの農業発展や経済、さらには地政学や環境要因の影響を表す重要な指標です。本データでは、1975年から1990年までの間はほぼ横ばい傾向で200トン前後を維持しましたが、1991年以降、急激な生産量の増加が記録されています。この時期を見てみると、急激な技術導入や農業政策の改善、あるいは国際市場への輸出の増加といった要因が影響したと考えられます。1991年には7,532トン、1992年に8,102トンと前年度比で大幅に増加しました。しかしその後は、経済や社会の変動、環境的な課題によって変動が再び増えていき、安定性を欠く状況が続いています。

2000年代に入り、一部の年では一時的に10,000トンを超える結果も見られる一方で、社会的安定性や地政学的リスク、さらには気候変動が農業全般に与えた悪影響が、次第に生産量に表れていきました。具体的な例としては、2000年代後半からの継続的な干ばつや土壌劣化が挙げられます。このような環境要因や災害が継続すれば、生産効率や品質に影響を与えることは明白です。また、2007年以降の生産量の低迷は、国の政治的混乱や内戦状態によっても部分的に説明されます。こうした状況下で十分な農業支援を得られなかったことが、ナシ生産の後退を招いた可能性が高いです。

近年では、2017年以降の生産量の減少傾向が続き、2023年には1,060トンというやや低い数値にとどまっています。この背景には、気候変動による干ばつや豪雨などの自然災害が影響していることが考えられます。また、新型コロナウイルスの流行も物流や農業労働力への打撃として影響があった可能性があります。さらに農地の減少や効率的な農法の普及の遅れ、農業技術や設備への投資不足も理由に挙げられるでしょう。

ケニアが今後、ナシ生産の安定及び増加を図るためには、いくつかの施策が重要です。まず第一に、気候適応型農業の導入が求められます。例えば、旱魃耐性の品種を開発し導入することや、水資源の効率的な利用を図る政策が直接的な成果を生むでしょう。また、サプライチェーンの強化や、地域間での協力の枠組み構築も重要な課題です。日本を含む先進国では農業技術革新やスマート農業が大きく進んでいますが、これをケニアに導入するための国際的な支援や協力が進むと更なる発展が望めます。

地政学的な観点からも、周辺諸国との協力や、平和を醸成する取り組みが農業生産基盤を強めるために重要です。農業は地域の安定と直接的に結びついています。したがって、持続可能な農業政策を含む平和維持活動や国際援助の枠組みの強化は、ケニアだけでなく東アフリカ全体の食料安全保障にも寄与すると考えられます。

結論として、およそ半世紀にわたるケニアのナシ生産量データは、天候変化や社会的課題が農業生産に大きな影響を与えることを明確に示しています。今後求められるのは、農業技術の強化と環境への適応、さらには国際的協力を通じた持続可能性の追求です。FAOやその他の国際機関が中心となり、ケニア農業の復興と発展を具体的に支援していく必要があるでしょう。