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ケニアのレモン・ライム生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の2024年7月の最新データによると、ケニアのレモン・ライムの生産量は1977年の100トンから大幅に増加し、2020年にはピークとなる98,851トンを記録しました。その後、2023年には59,118トンに減少しています。長期的には顕著な成長が見られる一方で、近年は大きな変動が生じており、特に2020年以降に急激な増加と減少が観察されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 59,118
-12.53% ↓
2022年 67,589
-1% ↓
2021年 68,275
-30.93% ↓
2020年 98,851
281.67% ↑
2019年 25,899
26% ↑
2018年 20,555
43.1% ↑
2017年 14,364
-32.98% ↓
2016年 21,431
21.9% ↑
2015年 17,581
13.94% ↑
2014年 15,429
-39.66% ↓
2013年 25,572
84.69% ↑
2012年 13,846
13.27% ↑
2011年 12,224
-11.41% ↓
2010年 13,799
-21.67% ↓
2009年 17,617
10.11% ↑
2008年 16,000
6.67% ↑
2007年 15,000
5.63% ↑
2006年 14,200
2.16% ↑
2005年 13,900 -
2004年 13,900
13.93% ↑
2003年 12,200
2.52% ↑
2002年 11,900
8.18% ↑
2001年 11,000
1.85% ↑
2000年 10,800
9.09% ↑
1999年 9,900
7.61% ↑
1998年 9,200
8.24% ↑
1997年 8,500
13.33% ↑
1996年 7,500
8.7% ↑
1995年 6,900
6.15% ↑
1994年 6,500
8.33% ↑
1993年 6,000
1.69% ↑
1992年 5,900
20.41% ↑
1991年 4,900
22.5% ↑
1990年 4,000
2.56% ↑
1989年 3,900
11.43% ↑
1988年 3,500
12.9% ↑
1987年 3,100
6.9% ↑
1986年 2,900
31.82% ↑
1985年 2,200
29.41% ↑
1984年 1,700
13.33% ↑
1983年 1,500
87.5% ↑
1982年 800
60% ↑
1981年 500
150% ↑
1980年 200 -
1979年 200
33.33% ↑
1978年 150
50% ↑
1977年 100 -

ケニアにおけるレモン・ライムの生産推移は、農業生産の成長と課題を理解する上で重要な指標となっています。1977年にはわずか100トンに過ぎなかった生産量が、1980年代を通じて急成長し、1990年代には年間5,000トンを超えるようになりました。この大幅な成長の背景には、ケニアの気候条件と適切な農業政策導入、そして果物需要の拡大があります。レモン・ライムは高いビタミン含有量で知られ、国内消費および国際輸出の両面で需要が高まってきました。

2000年以降も生産量は持続的に伸び、2020年には記録的な98,851トンを達成しました。この飛躍的な増加の一因としては、農業分野への投資の拡大、輸出市場の拡大、技術革新、そして持続可能な農法の導入が挙げられます。また、この時期は新型コロナウイルス感染症の流行時期と重なり、健康志向の高まりにより柑橘類の需要が急増したことで、ケニアにとって高い生産量の実現が追い風となったと考えられます。

しかしながら、2020年以降、2021年の68,275トン、2023年の59,118トンと急激な減少が見られます。この状況は、気候変動による干ばつや洪水などの自然災害、燃料や肥料の価格上昇による生産コストの増加、さらには流通における物流課題が原因と考えられます。また、ケニアの農業インフラは依然として課題が多く、これが安定した生産量を保つ妨げとなっている可能性があります。

ケニアのレモン・ライム生産は、同地域における農業の地政学的リスクにも影響を受けやすい状況にあります。隣接する国々との国境問題や地域的な衝突は、サプライチェーンに悪影響を及ぼし、市場への供給に混乱を引き起こす可能性があります。また、ケニア政府による政策支援が不十分な場合、農家が継続的にレモン・ライムの栽培に従事するインセンティブが低下し、さらなる生産量の減少を引き起こす恐れがあります。

こうした課題に対応するためには、まず、農家向けの技術支援や教育を強化し、気候変動に適応した農業手法を広めることが重要です。また、灌漑システムを整備し、干ばつや水不足の影響を最小限に抑える努力が求められます。さらに、輸出市場の多様化を図り、欧州連合(EU)やアジア諸国、中国、日本などの市場との関係を強化することも有効な手段です。

結論として、ケニアのレモン・ライム生産は、農業分野全体の持続可能な成長を象徴していますが、近年の生産量の変動には注視が必要です。国際機関や政府が連携し、自然災害や市場変動に柔軟に対応できる政策を立案することで、ケニアは引き続き世界的な柑橘類輸出国としての地位を確立する可能性があります。この継続的な支援が、同国の農家と地域経済の発展にもつながると考えられます。