Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによれば、ケニアの豚飼育数は1961年の58,000頭から2022年の639,883頭へと大幅に増加しています。特に1990年代以降、養豚業の拡大が顕著であり、人口増加に伴う畜産物需要の高まりや、家畜資源の効率的利用が背景にあると考えられます。しかし、近年では2021年の674,746頭から2022年の639,883頭へ減少しており、課題も見受けられます。
ケニアの豚飼育数推移(1961-2022)
年度 | 飼育数(頭) |
---|---|
2022年 | 639,883 |
2021年 | 674,746 |
2020年 | 649,273 |
2019年 | 595,631 |
2018年 | 567,843 |
2017年 | 554,301 |
2016年 | 504,395 |
2015年 | 462,033 |
2014年 | 430,844 |
2013年 | 432,979 |
2012年 | 408,703 |
2011年 | 344,155 |
2010年 | 347,413 |
2009年 | 334,689 |
2008年 | 346,819 |
2007年 | 319,704 |
2006年 | 318,547 |
2005年 | 320,020 |
2004年 | 379,797 |
2003年 | 415,194 |
2002年 | 336,161 |
2001年 | 332,512 |
2000年 | 310,600 |
1999年 | 317,115 |
1998年 | 358,462 |
1997年 | 313,100 |
1996年 | 302,042 |
1995年 | 230,600 |
1994年 | 200,900 |
1993年 | 195,800 |
1992年 | 160,000 |
1991年 | 147,014 |
1990年 | 128,168 |
1989年 | 99,720 |
1988年 | 96,616 |
1987年 | 93,631 |
1986年 | 92,000 |
1985年 | 95,000 |
1984年 | 94,660 |
1983年 | 92,000 |
1982年 | 90,000 |
1981年 | 80,000 |
1980年 | 74,000 |
1979年 | 70,000 |
1978年 | 64,600 |
1977年 | 65,000 |
1976年 | 63,000 |
1975年 | 60,000 |
1974年 | 59,000 |
1973年 | 61,000 |
1972年 | 62,000 |
1971年 | 60,000 |
1970年 | 57,400 |
1969年 | 69,100 |
1968年 | 60,000 |
1967年 | 51,000 |
1966年 | 55,000 |
1965年 | 55,000 |
1964年 | 52,000 |
1963年 | 46,000 |
1962年 | 52,000 |
1961年 | 58,000 |
ケニアの豚飼育数データを見ると、1960年代から1990年代初頭までは緩やかな増減が見られましたが、1990年代以降の飼育数の急増は注目に値します。このような増加は、ケニア国内の経済発展や都市化が進んだこと、さらに豚肉の消費が拡大したことによるものと考えられます。特に1990年から2000年代初頭にかけては、畜産部門への投資や農村地域での小規模養豚業の推進が寄与したと推察されます。例えば、1990年の128,168頭が1996年には300,000頭を超える水準に達しました。
しかしながら、飼育数の急激な増加は持続可能性の観点から課題を引き起こす可能性もあります。特に、家畜の飼料供給や感染症対策が十分でないと、地域経済や環境に負の影響を与える場合があります。過去数十年間において、アフリカ豚熱といった疾病が発生しており、このような感染症管理がケニアでも重要な課題とされています。
また、2020年から2022年にかけてのデータを見ると、豚飼育数が649,273頭から639,883頭へと減少しています。この原因の一つには、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が挙げられます。パンデミックによる経済的混乱や物流の停滞が、家畜生産や消費に影響を与えた可能性があります。他国と比較すると、日本では養豚業が高度に機械化され効率的に運用されており、輸出にも強みがあります。一方、中国では豚肉消費が非常に大きいことから、国を挙げた養豚業の近代化が進められています。このような世界的な状況を踏まえると、ケニアにおける豚飼育数の減少は競争力強化の観点からも注目すべき変化と考えられます。
地域課題としては、小規模農家が多いケニアでは、資金調達や技術的支援が不足している点が挙げられます。さらに、飼料資源の不足や適切な飼育技術の欠如が、生産性向上を妨げる要因となっています。加えて、寄生虫や病気の発生リスクも高いため、予防接種プログラムや獣医サービスの拡充が求められます。
将来的には、持続可能な養豚業の確立が課題となります。そのためには、生産者への教育プログラムの提供や、飼料効率の高い種豚の導入が有効です。さらに、豚肉の国内市場の拡大だけでなく、地域間貿易や輸出に向けた取り組みを強化することも重要です。アフリカ大陸内では経済共同体(例えば東アフリカ共同体)間の協力体制を利用することで、物流や販路の拡大が期待できます。また、国際機関との連携を強化し、感染症対策や技術移転を進めることが、長期的な産業成長につながるでしょう。
結論として、ケニアの豚飼育数の推移は、経済発展に伴う畜産業の成長を示す一方で、最近の減少傾向や持続可能性の確保が課題となっています。政策としては、支援策の拡充や技術投資、そして市場拡大の取り組みが急務です。国や国際機関の支援の下、ケニアの養豚業が経済と環境の両面で持続可能な発展を遂げることが期待されます。