世界のラズベリー生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国連食糧農業機関（FAO）が発表した2022年度のラズベリー生産量ランキングによると、1位はロシア連邦（212,300トン）、2位はメキシコ（173,742トン）、3位はセルビア（116,093トン）でした。これらの国々は、世界のラズベリー市場をリードしており、全体の供給に大きく影響を与えています。一方、日本はこのランキングに登場しておらず、国内生産もしくは輸入に頼っている状況が示唆されます。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	ロシア連邦	ヨーロッパ	212,300
2	メキシコ	南アメリカ	173,742
3	セルビア	ヨーロッパ	116,093
4	ポーランド	ヨーロッパ	104,900
5	アメリカ合衆国	北アメリカ	76,480
6	スペイン	ヨーロッパ	45,420
7	モロッコ	アフリカ	45,039
8	ウクライナ	ヨーロッパ	33,570
9	ポルトガル	ヨーロッパ	29,300
10	イギリス	ヨーロッパ	16,343
11	ボスニア・ヘルツェゴビナ	ヨーロッパ	12,188
12	アゼルバイジャン	アジア	11,846
13	チリ	南アメリカ	11,775
14	カナダ	北アメリカ	6,909
15	モルドバ共和国	ヨーロッパ	6,900
16	ドイツ	ヨーロッパ	6,770
17	フランス	ヨーロッパ	5,970
18	ブルガリア	ヨーロッパ	5,690
19	スイス	ヨーロッパ	4,533
20	オランダ	ヨーロッパ	3,000
21	キルギスタン	アジア	2,605
22	イタリア	ヨーロッパ	2,590
23	ベルギー	ヨーロッパ	2,040
24	ノルウェー	ヨーロッパ	1,903
25	フィンランド	ヨーロッパ	1,470
26	リトアニア	ヨーロッパ	1,240
27	グルジア	アジア	1,200
28	ウズベキスタン	アジア	900
29	オーストリア	ヨーロッパ	700
30	オーストラリア	オセアニア	647
31	ハンガリー	ヨーロッパ	580
32	モンテネグロ	ヨーロッパ	500
33	アイルランド	ヨーロッパ	480
34	スウェーデン	ヨーロッパ	440
35	デンマーク	ヨーロッパ	390
36	北マケドニア	ヨーロッパ	382
37	ラトビア	ヨーロッパ	220
38	ルーマニア	ヨーロッパ	170
39	クロアチア	ヨーロッパ	170
40	スロベニア	ヨーロッパ	160
41	エストニア	ヨーロッパ	100
42	ジンバブエ	アフリカ	98
43	チェコ	ヨーロッパ	50
44	スロバキア	ヨーロッパ	30
45	ニュージーランド	オセアニア	19
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2022年のラズベリー生産量ランキングは、ラズベリー産業の国際的な分布と特性を浮き彫りにしています。1位のロシア連邦は212,300トンを生産し、世界市場の中でも圧倒的な存在感を示しています。ロシアの広大な農地と比較的冷涼な気候がこの作物の成長に適しており、地理的・気候的要因が生産量を支える要因と考えられます。2位と3位に位置するメキシコとセルビアも、それぞれ173,742トンと116,093トンを記録し、世界全体の生産量において重要な役割を果たしています。メキシコは比較的温暖な気候を活かしながら輸出志向の農業を展開し、セルビアは伝統的な果物栽培の技術と資源を活用して効率的な生産を実現しています。

一方、ヨーロッパ諸国が上位に多くランクインしている点も見逃せません。ポーランド、スペイン、モロッコなどが上位に名を連ねており、地中海性気候や肥沃な土壌が良質なラズベリーの生産を支えています。特にポーランドは、収穫後の加工産業も盛んであり、ヨーロッパ内外で広く輸出を行っています。アメリカ合衆国も76,480トンを記録し、北米市場を支配的にリードする存在です。カリフォルニアを中心に栽培が行われており、その生産力は安定的です。

次に課題に目を向けると、ウクライナやモロッコなど、一部の国々では地政学的リスクが生産に影響を与える可能性が指摘されています。ウクライナは33,570トンを生産していますが、紛争や労働力不足が農業全体における生産性を抑制するリスクを抱えています。同様に、モロッコでは気候変動が降水量に影響を与え、収穫期における不確実性を増大させています。こうしたリスクを軽減するためには、スマート農業技術の導入や、灌漑システムの改善が重要となるでしょう。

また、全体的な視点で見ると、ラズベリー生産が比較的小規模な国も多く存在しており、ベルギーやイタリア、カナダなどでは生産量が1万トン以下となっています。これらの国々に共通する課題は、土地や気候環境、農業に投入可能な資源の制限であり、国内需要を満たすことも難しい状況です。これを受けて、各国は戦略的な輸入や地域間の協力体制を強化する必要があります。

さらに言えば、新型コロナウイルス感染症の影響も、労働力の不足や輸送コストの増加という形でこの分野に波及しています。パンデミックの教訓を生かして、より持続可能でローカライズされた供給チェーンの構築が求められます。

今後の具体的な提案としては、地域ごとの気候特性や経済条件に対応した農業技術の普及と、国際的な技術協力の推進が挙げられるでしょう。例えば、耐寒性の品種や乾燥地帯での生産に適した品種の開発は、生産効率を向上させると同時に、リスクを軽減することが期待されます。また、国際的な農産物貿易の透明性を高め、安心して取引できる環境を整えることも重要です。特定の地域において紛争や土地問題、気候変動が生産に与える影響が大きい場合は、国際機関との協働による人道的支援の展開も視野に入れるべきでしょう。

結論として、2022年度のラズベリー生産量が示す現状は、主要輸出国と消費国の地理的バランス、そして各地域の独自の課題を反映しています。これらを克服しつつ産業の拡大と安定化を図るためには、国際的な連携による効率的な資源利用と、持続可能な農業の仕組みづくりが欠かせません。そしてその過程で、技術革新と政策支援の役割が一層重要になるでしょう。