国際連合食糧農業機関(Food and Agriculture Organization)が発表した最新データによると、ペルーのネギ生産量は1974年の2,630トンから大きく増加し、特に1990年代後半以降急激な成長を遂げました。最高値は2010年の30,031トンで、ここ数年は20,000トン前後で推移しています。ただし、2022年には17,620トンと減少を見せ、2023年も回復傾向が見られるものの19,512トンという結果でした。この長期にわたる生産量の変動には、経済状況の変化、気候影響、輸出需要の変化が関連しています。
ペルーのネギ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 19,512 |
10.74% ↑
|
2022年 | 17,620 |
-10.28% ↓
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2021年 | 19,639 |
-3.31% ↓
|
2020年 | 20,310 |
-14.83% ↓
|
2019年 | 23,846 |
8.03% ↑
|
2018年 | 22,074 |
6.07% ↑
|
2017年 | 20,812 |
-6.06% ↓
|
2016年 | 22,155 |
-4.49% ↓
|
2015年 | 23,197 |
17.44% ↑
|
2014年 | 19,752 |
9.07% ↑
|
2013年 | 18,110 |
-4.53% ↓
|
2012年 | 18,968 |
-25.66% ↓
|
2011年 | 25,515 |
-15.04% ↓
|
2010年 | 30,031 |
11.78% ↑
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2009年 | 26,866 |
58.04% ↑
|
2008年 | 17,000 |
6.64% ↑
|
2007年 | 15,941 |
47.36% ↑
|
2006年 | 10,818 |
-10.56% ↓
|
2005年 | 12,095 |
-3.8% ↓
|
2004年 | 12,573 |
2.93% ↑
|
2003年 | 12,215 |
11.76% ↑
|
2002年 | 10,930 |
-32.32% ↓
|
2001年 | 16,149 |
4.13% ↑
|
2000年 | 15,508 |
-14.92% ↓
|
1999年 | 18,227 |
17.27% ↑
|
1998年 | 15,543 |
47.72% ↑
|
1997年 | 10,522 |
106.03% ↑
|
1996年 | 5,107 |
11.9% ↑
|
1995年 | 4,564 |
8.33% ↑
|
1994年 | 4,213 |
0.79% ↑
|
1993年 | 4,180 |
45.29% ↑
|
1992年 | 2,877 |
-30.97% ↓
|
1991年 | 4,168 |
11% ↑
|
1990年 | 3,755 |
-42.45% ↓
|
1989年 | 6,525 |
-0.76% ↓
|
1988年 | 6,575 |
2.05% ↑
|
1987年 | 6,443 |
-0.4% ↓
|
1986年 | 6,469 |
10.35% ↑
|
1985年 | 5,862 |
20.22% ↑
|
1984年 | 4,876 |
17.75% ↑
|
1983年 | 4,141 |
12.13% ↑
|
1982年 | 3,693 |
-10.54% ↓
|
1981年 | 4,128 |
22.71% ↑
|
1980年 | 3,364 |
1.79% ↑
|
1979年 | 3,305 |
-4.86% ↓
|
1978年 | 3,474 |
-14.45% ↓
|
1977年 | 4,061 |
17.27% ↑
|
1976年 | 3,463 |
-1.14% ↓
|
1975年 | 3,503 |
33.19% ↑
|
1974年 | 2,630 | - |
ペルーのネギ生産量は、過去数十年間にわたり増減を繰り返しながらも、長期的には増加傾向が見られます。1974年から1980年代中盤にかけて、生産量はゆるやかに成長し、1年間3,000トンから6,000トン規模で推移しました。その後、1990年代に一時的な生産減少が見られましたが、1997年から2000年代にかけて急激な生産拡大が起こりました。この成長の背景には、ペルーがネギの主要な輸出国としての地位を確立するための農業政策や、外部市場におけるネギ需要の高まりが影響していると考えられます。
特に2009年から2010年にかけての30,031トンという記録的な生産量は、世界的な食品輸出市場におけるペルーの優位性を裏付けるものです。しかし、それ以降は不規則な生産量の変動が目立つようになり、2020年以降は20,000トン前後の水準で安定しつつも、2022年には17,620トンにまで減少しました。この下降傾向には、気候変動に伴う農地条件の悪化や、パンデミックによる労働力不足、輸送コストの上昇が影響していると考えられます。
ペルーは地理的に多様な気候を持つことで知られており、特にアンデス山脈の周辺地域は農業に適した土地を提供しています。一方で、エルニーニョ現象などの気候変動による異常気象や水資源不足は、しばしば農作物生産へ悪影響を及ぼしています。さらに、ペルーのネギの輸出先であるアメリカやヨーロッパ市場における競争も激化しており、それが生産量の計画や市場戦略に影響を与えていることが見受けられます。
このような現状を踏まえ、ペルーがネギ生産を持続可能に成長させるためにはいくつかの具体的な対策が必要です。まず、気候リスクへの対応として、灌漑システムの改善や耐気候性のある品種の開発が重要です。また、農業労働者の労働環境を整備し、パンデミックのような予測不可能な障害に対する柔軟な対応を計画する必要があります。さらに、輸出市場への依存度を軽減し、国内市場での消費を促進する取り組みも有効な戦略といえるでしょう。
将来的には、国際的な農業貿易協定の枠組みを活用し、他国との協力関係を増強することも鍵となります。特に、主要輸出先であるアメリカやヨーロッパとの関係強化の他、新たな市場開拓を目指す施策が検討されるべきです。また、他国との比較において、例えば中国やインドなどネギ生産で存在感を高めている国に対抗するためには、生産コストの削減や品質の向上を図る努力が必要です。
最終的に、ペルーのネギ生産は単なる農業分野の問題に留まらず、気候政策や国際貿易、地域発展との複合的な取り組みが求められます。これらを継続的に行うことで、ペルーは高品質なネギ供給国としての地位を揺るぎないものにし、持続可能な農業成長のモデルケースを提供できるでしょう。