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ペルーのナシ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の2024年7月に更新されたデータによると、ペルーのナシの生産量は、1961年の5,200トンから年々変動を繰り返しながら、2023年には4,765トンに達しています。1960年代から1990年代にかけては比較的安定した増加傾向が見られましたが、1998年以降、生産量は大きく減少し低迷期に入っています。直近の2023年ではわずかに回復が見られますが、長期的には減少傾向にあります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 4,765
5.2% ↑
2022年 4,530
8.16% ↑
2021年 4,188
5.85% ↑
2020年 3,956
-3.24% ↓
2019年 4,089
-9.96% ↓
2018年 4,541
6.43% ↑
2017年 4,267
8.61% ↑
2016年 3,929
-10.52% ↓
2015年 4,391
-6.05% ↓
2014年 4,674
7.62% ↑
2013年 4,343
-3.26% ↓
2012年 4,490
3.28% ↑
2011年 4,347
-9.83% ↓
2010年 4,821
-11.23% ↓
2009年 5,431
-5.47% ↓
2008年 5,745
-18.76% ↓
2007年 7,072
-3.99% ↓
2006年 7,366
-2.95% ↓
2005年 7,590
1.48% ↑
2004年 7,479
-1.42% ↓
2003年 7,587
2.75% ↑
2002年 7,384
-3.73% ↓
2001年 7,670
2.97% ↑
2000年 7,449
28.99% ↑
1999年 5,775
94.18% ↑
1998年 2,974
-66.53% ↓
1997年 8,886
0.38% ↑
1996年 8,852
7.51% ↑
1995年 8,234
13.4% ↑
1994年 7,261
6.31% ↑
1993年 6,830
7.63% ↑
1992年 6,346
-4.7% ↓
1991年 6,659
-0.95% ↓
1990年 6,723
-14.23% ↓
1989年 7,838
7.62% ↑
1988年 7,283
-5.35% ↓
1987年 7,695
-1.8% ↓
1986年 7,836
6.08% ↑
1985年 7,387
0.05% ↑
1984年 7,383
7.47% ↑
1983年 6,870
-11.82% ↓
1982年 7,791
8.18% ↑
1981年 7,202
-0.03% ↓
1980年 7,204
-5.07% ↓
1979年 7,589
2.96% ↑
1978年 7,371
6.26% ↑
1977年 6,937
-6.5% ↓
1976年 7,419
1.71% ↑
1975年 7,294
3.62% ↑
1974年 7,039
7.27% ↑
1973年 6,562
-3.09% ↓
1972年 6,771
0.94% ↑
1971年 6,708
2.73% ↑
1970年 6,530
31.92% ↑
1969年 4,950
22.95% ↑
1968年 4,026
-34.59% ↓
1967年 6,155
2.79% ↑
1966年 5,988
3.24% ↑
1965年 5,800 -
1964年 5,800
3.57% ↑
1963年 5,600
3.7% ↑
1962年 5,400
3.85% ↑
1961年 5,200 -

ペルーのナシ生産量は、1961年から1970年代にかけて徐々に増加し、安定した成長を示していました。この時期において、生産量は1961年の5,200トンから1974年には7,039トンまで増加し、市場の供給量を着実に確保していました。しかしながら、特異な年次変動が見受けられる1968年(4,026トン)や1998年(2,974トン)のような例外的な低水準は、気象条件や農業政策の変動が生産量に与える影響を示しています。特に1998年のエルニーニョ現象は、世界的な気象異常のもとでペルーのナシ生産にも深刻な影響を及ぼしたと考えられます。

1990年代後半から2000年代初頭にかけては一時的な回復が見られ、8,000トン台に達する年もありました。しかしその後は、生産量が徐々に減少していることが確認できます。2020年以降も4,000トン前後の生産量にとどまり、減少傾向は継続しています。この背景には、農地の減少、輸出市場の競争激化、気候変動の悪化といった要因が絡み合っていると考えられます。また、他国との比較からも、ペルーのナシ生産が競争の激しい国際市場において苦戦を強いられている状況がうかがえます。ナシの主要生産国である中国や韓国では、技術革新や政府支援政策によって生産性向上を図っていますが、ペルーではこうした取り組みが限定的であった可能性があります。

特に近年注目されるのは、気候変動と水資源の管理の問題です。ペルーはアマゾン、アンデス、砂漠地域という多様な地形を有する一方で、乾燥地域が多く、農業用水の確保は重要な課題となっています。また、新型コロナウイルス(COVID-19)による物流や労働力への影響も、2020年以降の減少傾向に影響を与えている可能性があります。

未来への課題として、ペルーのナシ生産は持続可能な方法での生産量安定が必要です。例えば、農業技術の導入によって収穫効率を向上させること、気候変動に適応した種の改良を加速すること、そして地域協力の枠組みを通じて農業研究と技術導入を進めることが挙げられます。また、国内市場の拡大に加えて、輸出市場における競争力強化を目指した品質の向上やブランド化も重要です。さらに、気候変動の影響を抑えるために、水管理システムの効率化や環境保護を視野に入れた政策の実施が不可欠です。

結論として、ペルーのナシ生産は過去と比較して困難な状況に直面しているものの、回復の兆しも見えています。これを将来的な成長へとつなげるためには、政府、農業従事者、国際機関の連携による包括的な対策が求められます。そのためには、地域課題の解決だけでなく、国際的な支援や知識の共有を取り入れる柔軟な戦略が鍵となるでしょう。