Skip to main content

ペルーの茶葉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が最新のデータを発表した2024年時点において、ペルーの茶葉生産量は長期的に変動を示しています。データによると、1960年代には1,200〜2,000トン前後で推移していた生産量は、1990年代に引き続き増加し、特に1996年にはピークの10,431トンに達しました。しかし、この後生産量は減少と増加を繰り返し、2018年には過去最低となる1,085トンを記録しました。2020年代に入ってから徐々に回復し、2022年には1,799トンに達しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,944
8.05% ↑
2022年 1,799
1.02% ↑
2021年 1,781
8.27% ↑
2020年 1,645
2.82% ↑
2019年 1,600
47.5% ↑
2018年 1,085
-50.17% ↓
2017年 2,177
-34.18% ↓
2016年 3,307
-12.62% ↓
2015年 3,785
-2.3% ↓
2014年 3,874
-10.31% ↓
2013年 4,319
25.78% ↑
2012年 3,434
8.74% ↑
2011年 3,158
-1.74% ↓
2010年 3,214
1.42% ↑
2009年 3,169
-20.95% ↓
2008年 4,009
11.45% ↑
2007年 3,597
-25.37% ↓
2006年 4,820
13.79% ↑
2005年 4,236
173.64% ↑
2004年 1,548
-72.52% ↓
2003年 5,634
-11.26% ↓
2002年 6,349
-1.99% ↓
2001年 6,478
3.5% ↑
2000年 6,259
-10.12% ↓
1999年 6,964
-5.85% ↓
1998年 7,397
-29.09% ↓
1997年 10,431
10.93% ↑
1996年 9,403
70.65% ↑
1995年 5,510
-22.99% ↓
1994年 7,155
310.5% ↑
1993年 1,743
25.04% ↑
1992年 1,394
-15.41% ↓
1991年 1,648 -
1990年 1,648
-4.85% ↓
1989年 1,732
-5.2% ↓
1988年 1,827
-3.64% ↓
1987年 1,896
-0.94% ↓
1986年 1,914
13.05% ↑
1985年 1,693
5.16% ↑
1984年 1,610
-3.94% ↓
1983年 1,676
-4.66% ↓
1982年 1,758
-13.44% ↓
1981年 2,031
-3.84% ↓
1980年 2,112
-18.83% ↓
1979年 2,602
10.86% ↑
1978年 2,347
-21.14% ↓
1977年 2,976
-6.39% ↓
1976年 3,179
6.39% ↑
1975年 2,988
6.07% ↑
1974年 2,817
14.33% ↑
1973年 2,464
-4.53% ↓
1972年 2,581
7.18% ↑
1971年 2,408
33.19% ↑
1970年 1,808
-16.87% ↓
1969年 2,175
16% ↑
1968年 1,875
10.62% ↑
1967年 1,695
-0.29% ↓
1966年 1,700
24.54% ↑
1965年 1,365
5.81% ↑
1964年 1,290
5.74% ↑
1963年 1,220
0.66% ↑
1962年 1,212
-2.18% ↓
1961年 1,239 -

ペルーは長い間、農業を主要産業のひとつとしてきた国であり、その茶葉生産の推移は国の農業政策や経済、さらには国際市場の影響を強く反映しています。1960年代から1990年代までの間、茶葉生産量は一貫して増加傾向を見せました。この時期の成長は、国内農業の拡大や機械化、農地面積の増加などが背景にあると考えられます。特に1996年に記録された10,431トンという数値は、ペルー茶葉業界史上最大の生産量であり、顕著な成功を示しました。

しかし、2000年以降、生産量は下落傾向を示し、2018年には1,085トンという歴史的最低水準にまで落ち込みました。このような減少の原因としては、複数の要因が挙げられます。まず、経済的要因として、国際市場での茶葉価格の下落や、アジア諸国(特に中国やインド)の競争力が、ペルーの茶葉輸出市場を圧迫した点が挙げられます。また、自然災害や気候変動の影響も深刻であり、ペルーが頻繁に見舞われるエルニーニョ現象や局地的な洪水・干ばつが、農地や農作物の生産性に大きなダメージを与えてきました。さらに国内的な課題として挙げられるのは、農業技術の普及の遅れや農業インフラの整備不足、農業従事者の高齢化などです。

2018年以降、生産量は増加傾向を取り戻し、2022年には1,799トンに回復しました。この回復の背景には、政府による農業支援政策の強化や、国際市場での需要生産の調整が考えられます。たとえば、茶葉栽培の現代化や、生態系を活用した持続可能な農業技術への移行が進められていることが挙げられます。しかし、生産量は未だ高い変動性を持ち、1990年代レベルには到底届いていない状況です。

ペルーの茶葉生産における今後の課題と対策について具体的に検討すると、まず地政学的リスクの緩和が重要です。アジア諸国との競争に対応するため、品質改善を進めるとともに、市場の多角化を図ることが必要です。たとえば、オーガニック製品や高級茶市場への特化が、他国との差別化を図る方法として有効です。また、気候変動に対応するための農業政策の改革も急務です。特に灌漑システムの整備や気候抵抗性のある品種の開発が求められています。さらに地域間協力の枠組みを推進し、周辺諸国と共同で市場や技術を共有することも、競争力を高める一助となるでしょう。

結論として、ペルーの茶葉生産量は長期的な視点で見ると大幅な変動を経験してきたものの、現在は新たな回復の兆しを見せています。ただし、今後も予想される気候変動や国際競争への対応策を講じなければ、再度の低迷が懸念されます。ペルー国内外の政策立案者間で協調を進め、持続可能な農業と競争力の強化を目指すことが、安定的な茶葉生産の基盤構築に繋がるでしょう。