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ペルーのトマト生産量推移(1961-2022)

1950年代末に始まったペルーのトマト生産は、最初の数十年で不安定な増減を示していましたが、1990年代に大幅な成長を遂げました。その後、2000年代以降も全体的な増加基調が続きましたが、2015年以降は生産量にやや停滞が見られる傾向にあります。最新データである2022年の生産量は211,339トンと、一部の過去のピークに比較して低めの数値となっています。この50年以上にわたる生産量変動には、産業構造、気候条件、政策の影響が複雑に絡んでいます。

年度 生産量(トン)
2022年 211,339
2021年 243,791
2020年 204,052
2019年 201,838
2018年 252,794
2017年 220,618
2016年 232,898
2015年 236,287
2014年 265,948
2013年 253,543
2012年 229,356
2011年 186,002
2010年 224,897
2009年 221,594
2008年 210,685
2007年 173,257
2006年 169,715
2005年 159,206
2004年 183,516
2003年 149,387
2002年 130,631
2001年 188,971
2000年 250,500
1999年 166,458
1998年 179,070
1997年 226,013
1996年 214,983
1995年 170,674
1994年 217,739
1993年 125,595
1992年 93,787
1991年 87,275
1990年 88,487
1989年 78,183
1988年 80,710
1987年 91,900
1986年 82,818
1985年 69,929
1984年 65,245
1983年 67,713
1982年 96,374
1981年 65,413
1980年 67,271
1979年 62,442
1978年 63,188
1977年 75,525
1976年 69,514
1975年 70,511
1974年 69,990
1973年 65,177
1972年 69,835
1971年 60,793
1970年 61,884
1969年 56,981
1968年 61,161
1967年 64,802
1966年 66,478
1965年 50,972
1964年 40,983
1963年 24,380
1962年 22,680
1961年 32,000

ペルーのトマト生産は、Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)のデータから、長期的な視点でその発展と課題をたどることができます。1950年代末から1970年代半ばまでの生産量は、主に30,000~75,000トンの範囲で推移し、その変動は農業インフラの調整や市場規模の未成熟さを反映していたと考えられます。しかし、1980年代に入ると技術革新や農業政策の影響を受け、生産量が80,000~90,000トン台に安定して移行しました。

1990年代には大きな転換を迎え、特に1993年以降は生産量が急増しました。1993年の125,595トンから1994年の217,739トンへの飛躍、さらに1997年の226,013トンに到達したことは、農業分野への投資、灌漑設備の拡充、輸出促進政策の成果が現れた結果と見られます。この大幅な増加が続いた要因の一つには、ペルー経済の自由化と、それに伴う農産物輸出における競争力強化が挙げられるでしょう。しかしながら、1998年には179,070トンへと減少しており、これはエルニーニョ現象による気候変動の影響が大きい原因と言えます。

2000年代以降は、250,000トンを越える年も多く見られるようになり、十分な生産基盤が整ったことが伺えます。ただし、2015年頃からは不安定さが再び表れ、特に2019年には201,838トンまで落ち込むという停滞が確認されました。この減少パターンの背景には、ペルーにおける農業従事者の高齢化、グローバル市場での競争激化、気候変動による生育条件の悪化が含まれていると考えられます。例えば、2020年から2022年にかけては新型コロナウイルス感染症のパンデミックが労働力や輸送手段の制限を招き、生産及び出荷能力が影響を受けた可能性があります。

ペルーのトマト産業が抱える課題と将来の方向性について考えると、大きく分けて3つのポイントが挙げられます。まず、第一に気候変動対策が急務です。灌漑システムの高度化や耐気候性の高いトマト品種の導入を推進することにより、突然の気象異常にも耐えうる生産体制を構築する必要があります。次に、農業従事者への支援を拡充することも重要です。若い世代の農業参入を支援する戦略として、教育プログラムや補助金の提供が想定されます。最後に、国内外での市場拡大が不可欠であり、高品質な製品を保証する認証制度の導入や輸出関連インフラの強化が求められます。

特に、日本やドイツといった需要の高い市場では有機農産物への関心が高まっており、ペルー産トマトがこうしたトレンドに適応することができれば、収益性がさらに向上する可能性があります。さらに、地域間協力の枠組みを利用し、中国やインドといった新興市場との取引を強化することも一つの方策です。

このように、ペルーのトマト産業は歴史的に多くの変動を経験しましたが、現在は新しい課題に直面しています。これを克服するためには、国際機関との連携を深め、持続可能な農業の実現に向けた多角的なアプローチが必要です。気候変動や世界的な貿易構造の変化に柔軟に対応しつつ、国内外での安定した需要を確保するという戦略が今後の鍵となるでしょう。