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アゼルバイジャンのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の2024年7月発表データによると、アゼルバイジャンのキュウリ類の生産量は、1990年代前半の低迷から大幅に増加し、2000年代中盤以降は安定成長を続けています。しかし2023年には直近数年の中で最も低い値である219,777トンを記録しており、生産の一時的な落ち込みが確認されています。このデータは、農業政策や技術革新の効果、地政学的な影響を示す貴重な指標です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 219,777
-10.87% ↓
2022年 246,572
0.3% ↑
2021年 245,847
8.34% ↑
2020年 226,929
-8.82% ↓
2019年 248,891
11.22% ↑
2018年 223,790
1.31% ↑
2017年 220,903
1.4% ↑
2016年 217,843
-5.59% ↓
2015年 230,747
8.16% ↑
2014年 213,345
-2.28% ↓
2013年 218,326
3.88% ↑
2012年 210,172
-0.9% ↓
2011年 212,089
-2.28% ↓
2010年 217,027
3.52% ↑
2009年 209,641
0.98% ↑
2008年 207,598
6.51% ↑
2007年 194,912
4.64% ↑
2006年 186,276
7.52% ↑
2005年 173,254
6.16% ↑
2004年 163,206
4.23% ↑
2003年 156,584
13.78% ↑
2002年 137,622
3.16% ↑
2001年 133,409
27.34% ↑
2000年 104,770
55.9% ↑
1999年 67,204
25.97% ↑
1998年 53,349
8.8% ↑
1997年 49,036
-13.98% ↓
1996年 57,003
55242.72% ↑
1995年 103
-69.16% ↓
1994年 334
-21.78% ↓
1993年 427
47.24% ↑
1992年 290 -

アゼルバイジャンのキュウリ類生産量は1990年代に非常に低い状態でしたが、1996年以降急激に増加し、その後継続して成長を遂げています。例えば1995年にはわずか103トンという極端に低い数値でしたが、1996年には57,003トンまで急増しました。この劇的な増加は、内政の安定化や市場経済の導入、それに伴う農業の構造改革が進んだ影響が大きいと考えられます。

2000年以降、アゼルバイジャンはキュウリ類の生産量を徐々に増やし、2008年には200,000トンを超えました。その後2015年に230,747トンを記録し、2019年には248,891トンという過去最高の数値を達成しました。一方で2020年以降、全体的に四半世紀の成長に陰りが見え始め、特に2023年には前年比で約26,795トン減少しています。この変動は、新型コロナウイルスの影響、気候条件の変化、市場需要の変動など複合的な要因によるものと考えられます。

地域的な背景を考えると、アゼルバイジャンはカスピ海地域において豊かな農業資源を持つ国ですが、近年は地政学的な要因が農業に影響を与えています。特に、ナゴルノ・カラバフ問題をめぐる衝突や関連する国境地域の不安定化が、農業生産への妨げとなった可能性があります。戦争やその余波による労働力不足、物流の停滞などは、生産量の低下を助長する要因となり得ます。

また、国際市場への輸出がアゼルバイジャンの農業生産にとって重要な要素となっていますが、近隣諸国や欧州市場での競争が激化しており、農産物の品質向上やマーケティング戦略の強化が求められています。日本を含む多くの国では、機械化や生産技術の高度化、持続可能な農法の導入が進んでいます。一方で、アゼルバイジャンではこれらの施策をさらに強化する必要があるでしょう。

具体的な提言として、まず気候変動に対応する耐性の高い品種の開発や導入を進めることが挙げられます。また、農業におけるICT(情報通信技術)を活用し、生産効率を高めることも重要です。例えば、気象データの活用による灌漑(かんがい)計画の最適化や、流通ネットワークの効率化が可能です。さらに、地元および国際的な市場への販路を拡大するための連携が必要です。地域協力を強化することで、競争力を高めることができるでしょう。

最後に注目すべき点として、アゼルバイジャンの農業政策は国の食糧安全保障や輸出の増加に大きく貢献する可能性を秘めています。その実現には、政府と農家、技術提供者が密に連携し、持続可能な生産体制を確立することが欠かせません。今回のデータを踏まえ、国内政策の充実や国際協力の推進が今後の鍵となるでしょう。

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