Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した2024年7月更新の最新データによれば、カメルーンの茶葉生産量は1961年に83トンから始まり、近年では横ばい傾向を示しています。特に2000年代以降、年平均5,000トンを超える生産量を維持し、2022年には5,506トンとなりました。ただし、過去の生産量推移を振り返ると、需要や経済状況、政策の影響を背景とした変動が見受けられ、課題と成長機会が同時に存在していることが浮かび上がります。
カメルーンの茶葉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 5,591 |
1.55% ↑
|
2022年 | 5,506 |
-0.28% ↓
|
2021年 | 5,522 |
0.17% ↑
|
2020年 | 5,512 |
0.52% ↑
|
2019年 | 5,484 |
-1.52% ↓
|
2018年 | 5,569 |
1.52% ↑
|
2017年 | 5,485 |
1.62% ↑
|
2016年 | 5,398 |
1.48% ↑
|
2015年 | 5,319 |
1.51% ↑
|
2014年 | 5,240 |
1.53% ↑
|
2013年 | 5,161 |
1.55% ↑
|
2012年 | 5,082 |
0.59% ↑
|
2011年 | 5,052 |
-8.68% ↓
|
2010年 | 5,533 |
-7.79% ↓
|
2009年 | 6,000 |
17.01% ↑
|
2008年 | 5,128 |
4.58% ↑
|
2007年 | 4,903 |
4.81% ↑
|
2006年 | 4,678 |
7.43% ↑
|
2005年 | 4,354 |
8.86% ↑
|
2004年 | 4,000 |
17.61% ↑
|
2003年 | 3,401 |
-14.98% ↓
|
2002年 | 4,000 |
-4.76% ↓
|
2001年 | 4,200 |
4.9% ↑
|
2000年 | 4,004 |
-12.9% ↓
|
1999年 | 4,597 |
16.56% ↑
|
1998年 | 3,944 |
-5.87% ↓
|
1997年 | 4,190 |
17.01% ↑
|
1996年 | 3,581 |
-7.54% ↓
|
1995年 | 3,873 |
8.58% ↑
|
1994年 | 3,567 |
-8.59% ↓
|
1993年 | 3,902 |
14.23% ↑
|
1992年 | 3,416 |
13.87% ↑
|
1991年 | 3,000 |
3.45% ↑
|
1990年 | 2,900 |
18.27% ↑
|
1989年 | 2,452 |
-1.92% ↓
|
1988年 | 2,500 |
-2.5% ↓
|
1987年 | 2,564 |
1.91% ↑
|
1986年 | 2,516 |
19.02% ↑
|
1985年 | 2,114 |
-7.24% ↓
|
1984年 | 2,279 |
8.32% ↑
|
1983年 | 2,104 |
16.89% ↑
|
1982年 | 1,800 |
-15.53% ↓
|
1981年 | 2,131 |
13.23% ↑
|
1980年 | 1,882 |
-10.68% ↓
|
1979年 | 2,107 |
17.06% ↑
|
1978年 | 1,800 |
4.05% ↑
|
1977年 | 1,730 |
72.48% ↑
|
1976年 | 1,003 |
-36.2% ↓
|
1975年 | 1,572 |
68.13% ↑
|
1974年 | 935 |
-36.44% ↓
|
1973年 | 1,471 |
13.5% ↑
|
1972年 | 1,296 |
16.76% ↑
|
1971年 | 1,110 |
7.98% ↑
|
1970年 | 1,028 |
5.11% ↑
|
1969年 | 978 |
-8.68% ↓
|
1968年 | 1,071 |
42.8% ↑
|
1967年 | 750 |
15.38% ↑
|
1966年 | 650 |
25.73% ↑
|
1965年 | 517 |
51.61% ↑
|
1964年 | 341 |
40.91% ↑
|
1963年 | 242 |
77.94% ↑
|
1962年 | 136 |
63.86% ↑
|
1961年 | 83 | - |
カメルーンの茶葉生産量は1960年代から急激に増加しました。この時期は栽培技術の導入や農地の拡大が要因であり、1970年代半ばには1,800トンを超えました。しかし、それ以降には経済的要因や政策の揺れにより、増産のペースが鈍化もしくは一時的に減少する時期もありました。特筆すべきは1990年代に再び強い成長を見せ、1993年には3,902トン、1999年には4,597トンと拡大を続けた点です。この間、国内外の需要の高まりや輸出促進策が支えとなりました。
2000年代後半には過去最高の6,000トン(2009年)を記録しました。この背後には、世界的な茶葉の消費量増加への対応や、新市場の開拓、気候条件の改善などが挙げられます。しかし、その後のデータを見ると、生産量は一時的に減少傾向にありながらも、再び5,000トン前後で安定するに至っています。直近の2022年では5,506トンと、生産量に大きな劇的変化はなく推移しています。
これらの動向の裏には、気候変動、労働力確保の問題、ならびに茶業のインフラ不足が一因となっている可能性があります。カメルーンの国土は茶の栽培に適した気候を有しているものの、農地管理の不備や洪水・干ばつなどの自然災害が農家や生産事業者の負担となっていることが考えられます。また、カメルーン国内の農業分野全体において重要な課題として、資本の不足や農業技術の更新遅れが農業収益の伸びを妨げています。
一方で、アフリカ全体における茶葉生産量の拡大競争が増す中、競争優位性の確保がカメルーンにとっての大きな挑戦といえるでしょう。特に、ケニアやマラウイのような他の主要生産国が高品質な茶葉を安定的に輸出している現状と比べると、カメルーンの茶葉製品が世界市場に占める地位向上はまだ限定的です。国際的に広がっている健康志向の消費増、特に緑茶や有機茶葉の需要拡大は今後のチャンスと言えます。カメルーンには地域色豊かなブランド価値を構築するなど、差別化戦略が期待されています。
課題解決のためには複合的な取り組みが求められます。たとえば、地域農業従事者には持続可能な農法教育を行い、生産効率の向上と気候変動への適応能力を高めるべきです。また、国内インフラの強化、特に輸送や保管設備の改善は緊急課題のひとつです。輸出製品の品質向上と共に地理表示認証(GI)などを取得することで、他国との差別化が図れる可能性もあります。さらに、国内外での市場拡大戦略を計画し、欧州やアジアといった成長市場への販路を強化する方向性が重要です。
地政学的に見ると、カメルーンは地域衝突や政治的不安定さの影響を受けるリスクがあり、これは農業全体の操業に影響を及ぼします。このため、茶葉産業が地域社会における雇用創出を支えながら、平和的な地域経済の安定にもつながるよう政策立案を進めるべきです。また、気候変動対策を積極的に取り込む農業政策や国際支援協力も欠かせないでしょう。
結論として、カメルーンの茶葉産業は、過去から現在に至るまで大小さまざまな変動を乗り越えながら、一定の生産水準を維持しています。しかしながら、競争力強化と外的リスクへの備えは依然として未解決のまま残されています。今後、国内外の協力を通じて茶葉産業を発展させるとともに、持続可能な方式での生産量のさらなる増加を目指すことが求められます。