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モザンビークの茶葉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が最新のデータを基に発表した情報によると、モザンビークの茶葉生産量は1960年代から長期的な推移を経ています。1970年代から1980年代初頭にかけて一旦成長を遂げた後、1980年代半ばには大幅な低下を示しました。その後、2000年代に回復基調に入り、2015年にはピークの32,000トンを記録しました。しかし、2020年以降に急激な減少が見られ、2022年には5,119トンまで下がりました。この推移は、国内外の情勢や地政学的リスク、また自然環境の影響を受けたことが考慮されます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 6,801
32.86% ↑
2022年 5,119
5.55% ↑
2021年 4,850
-0.53% ↓
2020年 4,876
-84.76% ↓
2019年 32,000
3.23% ↑
2018年 31,000
-3.13% ↓
2017年 32,000 -
2016年 32,000 -
2015年 32,000
10.96% ↑
2014年 28,840
13.42% ↑
2013年 25,428
15.58% ↑
2012年 22,000
-18.52% ↓
2011年 27,000
-6.88% ↓
2010年 28,995
-3.35% ↓
2009年 30,000
77.87% ↑
2008年 16,866
3.75% ↑
2007年 16,256 -
2006年 16,256
1.6% ↑
2005年 16,000
5.77% ↑
2004年 15,127
19.2% ↑
2003年 12,690
0.88% ↑
2002年 12,579
39.32% ↑
2001年 9,029
-13.73% ↓
2000年 10,466
30.83% ↑
1999年 8,000
14.29% ↑
1998年 7,000 -
1997年 7,000 -
1996年 7,000
75% ↑
1995年 4,000
-55.56% ↓
1994年 9,000
28.57% ↑
1993年 7,000
75% ↑
1992年 4,000
-19.04% ↓
1991年 4,941
23.53% ↑
1990年 4,000
60% ↑
1989年 2,500
66.67% ↑
1988年 1,500
-50% ↓
1987年 3,000
-40% ↓
1986年 5,000
-28.57% ↓
1985年 7,000
-36.36% ↓
1984年 11,000
-26.67% ↓
1983年 15,000
-28.57% ↓
1982年 21,000
-5.36% ↓
1981年 22,190
13.79% ↑
1980年 19,500
3.17% ↑
1979年 18,900
4.6% ↑
1978年 18,069
6.29% ↑
1977年 17,000
22.97% ↑
1976年 13,825
5.19% ↑
1975年 13,143
-25.49% ↓
1974年 17,639
-6.15% ↓
1973年 18,795
0.63% ↑
1972年 18,678
12.95% ↑
1971年 16,536
-2.57% ↓
1970年 16,972
5.72% ↑
1969年 16,054
12.66% ↑
1968年 14,250
-1.17% ↓
1967年 14,419
3.12% ↑
1966年 13,983
30.12% ↑
1965年 10,746
19.33% ↑
1964年 9,005
4.71% ↑
1963年 8,600
6.17% ↑
1962年 8,100 -
1961年 8,100 -

モザンビークの茶葉生産量は、1960年代からのデータで観察すると、一貫した成長と著しい変動を経てきました。特に1966年から1972年にかけて急激な拡大が見られ、生産量が8,100トン(1961年)から18,678トン(1972年)と約2倍以上に成長しました。この時期は農業設備の拡張や茶葉の市場需要の上昇が要因と考えられます。しかし、1975年以降のデータでは、安定した生産拡大から一転、内戦や経済停滞が影響して茶葉生産が低迷する傾向が強まり、1988年には1,500トンまで激減しました。

その後の1990年代から2000年代初頭にかけては、低い水準の中で徐々に回復基調を示しています。2000年には10,466トン、2005年には16,000トンと、規模の回復が進みます。この転換は、国内政治の安定化や茶葉生産における投資の増加などが背景にあると考えられます。そしてピークとなる2015年、2016年には32,000トンを達成しました。この水準は、モザンビークが茶葉の世界市場において一定の地位を占める成長性を示していました。中国やインドのような茶葉生産大国と比べると規模は小さいものの、アフリカ地域における主要な供給国として注目されていた時期です。

しかしながら2020年以降は急激に生産量が減少しました。この3年間で32,000トン(2019年)から5,119トン(2022年)にまで落ち込んでいます。この大きな下落の要因は、2020年からの新型コロナウイルスのパンデミックの影響が大きいと推測されます。パンデミックにより労働力不足や輸出物流の停滞が生じ、生産と市場流通が大きく制限を受けました。また、自然災害の増加や気候変動の影響も、農業生産への深刻なダメージを与えた可能性があります。

モザンビークの茶葉産業において、いくつかの課題が浮き彫りとなります。まず、自然災害や気候変動に対する耐性を高めるためには、生産技術の改善や災害予測システムの導入が重要です。また、輸出品としての茶葉の競争力を維持するため、国内の物流インフラの改善や労働環境の安定化も求められます。さらに、輸出先の多様化や高付加価値商品への移行も、将来的なリスクへの対応として有効と考えられます。

地政学的な観点では、茶葉という市場における付加価値が資源争奪の対象になる可能性や、地域での内紛が生産に悪影響を及ぼすリスクを軽減するための国際協力が重要です。例えば、アフリカ諸国との地域協力枠組みを強化することで、生産設備の共有や輸出時の物流効率化を図るべきでしょう。

以上を踏まえ、モザンビークの茶葉産業が持続的に成長するためには、国際機関および政府による統合的な支援が不可欠です。具体的には、気候変動への適応戦略を含む持続可能な農業政策、農業労働力の強化、持続可能な国際市場ネットワークの構築が求められます。このような取り組みを通じて、モザンビークは茶葉生産を国内成長の一翼を担う産業とし、世界市場での地位を再び確立することが可能です。