1982年のFAO(国際連合食糧農業機関)のデータによると、リンゴの生産量ランキングで最も多くリンゴを生産した国はアメリカ合衆国(3,684,060トン)で、続いてドイツ(3,417,125トン)とイタリア(2,602,700トン)がランクインしました。日本は11位に位置し、生産量は924,500トンでした。この時期、リンゴ生産の上位をヨーロッパ諸国と北アメリカ、東アジアが占めており、全体的に温帯地域にリンゴの生産が集中している特徴が見られます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
北アメリカ | 3,684,060 |
| 2 |
|
ヨーロッパ | 3,417,125 |
| 3 |
|
ヨーロッパ | 2,602,700 |
| 4 |
|
アジア | 2,430,000 |
| 5 |
|
ヨーロッパ | 2,125,690 |
| 6 |
|
ヨーロッパ | 1,977,000 |
| 7 |
|
アジア | 1,600,000 |
| 8 |
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ヨーロッパ | 1,278,919 |
| 9 |
|
アジア | 930,181 |
| 10 |
|
アジア | 926,980 |
| 11 |
|
アジア | 924,500 |
| 12 |
|
ヨーロッパ | 891,700 |
| 13 |
|
南アメリカ | 804,000 |
| 14 |
|
ヨーロッパ | 744,835 |
| 15 |
|
ヨーロッパ | 542,000 |
| 16 |
|
アジア | 527,149 |
| 17 |
|
アジア | 500,000 |
| 18 |
|
北アメリカ | 477,626 |
| 19 |
|
アフリカ | 460,987 |
| 20 |
|
ヨーロッパ | 440,000 |
| 21 |
|
ヨーロッパ | 428,819 |
| 22 |
|
ヨーロッパ | 425,780 |
| 23 |
|
ヨーロッパ | 363,100 |
| 24 |
|
南アメリカ | 345,000 |
| 25 |
|
南アメリカ | 327,706 |
| 26 |
|
オセアニア | 294,476 |
| 27 |
|
ヨーロッパ | 264,747 |
| 28 |
|
オセアニア | 225,898 |
| 29 |
|
南アメリカ | 190,993 |
| 30 |
|
アジア | 139,353 |
| 31 |
|
アジア | 130,000 |
| 32 |
|
ヨーロッパ | 129,523 |
| 33 |
|
アジア | 128,616 |
| 34 |
|
アジア | 117,900 |
| 35 |
|
アジア | 110,000 |
| 36 |
|
ヨーロッパ | 104,800 |
| 37 |
|
アフリカ | 100,000 |
| 38 |
|
南アメリカ | 93,116 |
| 39 |
|
ヨーロッパ | 59,462 |
| 40 |
|
ヨーロッパ | 43,673 |
| 41 |
|
南アメリカ | 38,160 |
| 42 |
|
南アメリカ | 34,644 |
| 43 |
|
アフリカ | 24,476 |
| 44 |
|
アフリカ | 23,000 |
| 45 |
|
ヨーロッパ | 23,000 |
| 46 |
|
アジア | 21,400 |
| 47 |
|
アフリカ | 19,000 |
| 48 |
|
ヨーロッパ | 16,000 |
| 49 |
|
南アメリカ | 11,164 |
| 50 |
|
アジア | 11,044 |
| 51 |
|
ヨーロッパ | 9,000 |
| 52 |
|
アジア | 8,636 |
| 53 |
|
アフリカ | 7,044 |
| 54 |
|
南アメリカ | 6,000 |
| 55 |
|
アフリカ | 5,350 |
| 56 |
|
アフリカ | 5,000 |
| 57 |
|
アジア | 3,345 |
| 58 |
|
南アメリカ | 620 |
| 59 |
|
南アメリカ | 548 |
| 60 |
|
ヨーロッパ | 370 |
| 61 |
|
南アメリカ | 300 |
| 62 |
|
アジア | 203 |
| 63 |
|
アジア | 132 |
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リンゴは温帯地域を中心に古くから農業生産が盛んな果実であり、世界各地で重要な農産物として位置づけられています。1982年のデータによれば、アメリカ合衆国が最も多い生産量を誇り、その生産量は3,684,060トンに達しました。ドイツ、イタリア、中国、ポーランドがこれに続き、全体としてヨーロッパと北アメリカがリンゴ生産の中心地であったことを示しています。日本は11位に位置し、アジアの中では中国、インドに次ぐ3番目の生産量を記録しました。
このデータが示すリンゴ生産の傾向として、まず温帯気候の適性が挙げられます。リンゴの適正な栽培環境がこうした地域に存在するため、北緯30度から50度付近に位置する国々が生産の中心となっています。特にヨーロッパのドイツやイタリア、中国、アメリカ合衆国のような農業技術や生産基盤が整備された国々が、各地域での主要な生産拠点となっています。
一方で、この分布は地政学的な要因とも関係しています。例えば、当時の東欧諸国(ポーランドやハンガリーなど)における高い生産量は、比較的安定した農業政策と土地利用の広さが寄与していました。しかし、冷戦下での政治的不安定さや貿易制限が国際市場での流通に影響を与え、国内消費への依存が高かったことが考えられます。一方、中国は生産量では4位ですが、国の人口の規模を考えると国内需要が重要な要素であり、国際市場への輸出はまだ限られていました。
日本はこの時期11位という位置にありますが、日本国内でのリンゴ生産は長野県や青森県など冷涼な地域に集中しており、質の高い果実を国内市場向けに供給する形態が主流でした。輸出競争力の向上を図るには、流通技術の向上や輸送コストの削減が課題です。また、品種改良の競争は激化しており、日本特有のリンゴブランドを確立することが求められるでしょう。
今後の課題としては、気候変動や地域的な災害リスクが生産に与える影響が挙げられます。気温上昇や異常気象はリンゴの収量や品質に直接的な影響を及ぼします。特に、ヨーロッパや北アメリカでは近年気候変動への対応が急務として挙げられているため、農業生産の効率化や新たな耐病品種の開発が重要になります。一方、日本を含むアジア諸国では、人口増加に伴う国内需要の増加への対応に加え、輸出市場の拡大による農業収益の向上が検討されるべき課題です。
地政学的な観点からは、リンゴ生産を基点とした貿易の動向や地域間の協力も注目すべき課題です。例えば、ヨーロッパ諸国はEU内で相互に農産物を供給し合う体制が整っていますが、アジアではそのような協力の枠組みが部分的にしか確立されていないため、域内連携の強化が求められます。また、紛争や災害の影響を最小化し、安定的な生産供給を維持するための国際的な取り組みも必要です。
総じて、リンゴ生産は農業技術、地理的条件、政策的環境の複合的な要因によって決定される分野です。今後は気候変動対策や品種改良、地域ごとの協力体制の強化を通じて、持続可能な生産体制が求められるでしょう。それに伴い、各国政府や国際機関が連携し合い、新しい農業政策を実施することが重要です。