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朝鮮民主主義人民共和国のリンゴ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のリンゴ生産量は、1961年の90,000トンから2022年の801,533トンへと大幅に増加しています。特に1970年代から1980年代にかけて生産量が著しく増大し、それ以降は安定的な増加傾向が続いています。一方で、一部の年や時期には停滞やわずかな減少が見られる点も示唆的です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 811,060
1.19% ↑
2022年 801,533
0.37% ↑
2021年 798,587
0.37% ↑
2020年 795,642
0.45% ↑
2019年 792,079
0.48% ↑
2018年 788,306
0.23% ↑
2017年 786,512
0.43% ↑
2016年 783,182
0.83% ↑
2015年 776,710
-0.05% ↓
2014年 777,126
-0.37% ↓
2013年 780,000
-0.64% ↓
2012年 785,000
4.35% ↑
2011年 752,300
5.61% ↑
2010年 712,312
3.56% ↑
2009年 687,808
4.61% ↑
2008年 657,518
3.55% ↑
2007年 635,000
-4.51% ↓
2006年 665,000
-0.45% ↓
2005年 668,000
0.45% ↑
2004年 665,000
2.31% ↑
2003年 650,000
-1.14% ↓
2002年 657,482
-0.38% ↓
2001年 660,000
1.12% ↑
2000年 652,718
0.42% ↑
1999年 650,000
1.56% ↑
1998年 640,000
0.62% ↑
1997年 636,046
0.54% ↑
1996年 632,644
0.42% ↑
1995年 630,000
-3.08% ↓
1994年 650,000
8.33% ↑
1993年 600,000
-8.12% ↓
1992年 653,000
0.46% ↑
1991年 650,000
0.78% ↑
1990年 645,000
1.1% ↑
1989年 638,000
1.27% ↑
1988年 630,000
0.8% ↑
1987年 625,000
4.17% ↑
1986年 600,000
3.45% ↑
1985年 580,000
3.57% ↑
1984年 560,000
5.66% ↑
1983年 530,000
6% ↑
1982年 500,000
4.17% ↑
1981年 480,000
4.35% ↑
1980年 460,000
4.55% ↑
1979年 440,000
2.33% ↑
1978年 430,000
7.5% ↑
1977年 400,000
9.59% ↑
1976年 365,000
12.31% ↑
1975年 325,000
12.07% ↑
1974年 290,000
13.73% ↑
1973年 255,000
27.5% ↑
1972年 200,000
17.65% ↑
1971年 170,000
47.83% ↑
1970年 115,000
-4.17% ↓
1969年 120,000
4.35% ↑
1968年 115,000
27.78% ↑
1967年 90,000
-10% ↓
1966年 100,000 -
1965年 100,000
17.65% ↑
1964年 85,000 -
1963年 85,000
-10.53% ↓
1962年 95,000
5.56% ↑
1961年 90,000 -

北朝鮮のリンゴ生産量の推移を振り返ると、いくつかの特徴的な時期が見られます。1960年代後半から1970年代にかけて、リンゴ生産量は急激な増加を見せ、1961年の90,000トンから1977年には400,000トン、さらに1986年には600,000トンに至りました。この成長は、集団農場政策や果樹農園の拡張など、政府主導の農業改革が背景にあると考えられます。

1990年代に入ると、生産量は一時的に伸び悩み、一部の年には減少も見られます。この時期は、冷戦終結や主要貿易相手国であるソ連の崩壊により、農業資源の供給が減少したことが影響したとされています。この影響を受けた1993年や1995年には、生産量が600,000トン以下に落ち込む年もありました。しかし2000年代以降になると、再び増加基調に戻り、2022年には801,533トンへと到達しました。

この生産量の増加は、主に国内の食糧需要を賄うための努力の成果と解釈できます。ただし、北朝鮮のリンゴ生産の効率や品質については公開データが少ないため、国際的な標準と直接比較することは困難です。他の主要なリンゴ生産国と比較すると、中国は世界最大の生産国であり、数千万トン規模の生産量を誇っています。一方、日本では2022年の生産量がおおよそ70万トンに達しており、北朝鮮とほぼ同等の規模と言えます。

また、北朝鮮の地政学的背景もリンゴ生産に影響を与えています。経済制裁や気象条件の厳しさが、生産技術の更新や農業資材の確保を困難にしている可能性があります。特に、1990年代の「苦難の行軍」と呼ばれる食糧危機や、近年の国際的な制裁による資源不足は、農業全体において課題を引き起こし、リンゴ栽培も例外ではありません。

さらに、気候変動も同地域の農業活動に影響を及ぼすリスクがあります。北朝鮮では、夏季の高温や気候の変動がもたらす災害リスクに対して、農業の適応能力をどのように向上させるかが今後の課題です。他の国では、灌漑施設の整備、耐気候性の高いリンゴ品種の採用といった政策が成功を収めており、北朝鮮においてもそのような革新が必要です。

今後のリンゴ生産量のさらなる向上に向けて、いくつかの具体的な改善提案が考えられます。たとえば、隣接する中国からの指導を通じた先進農業技術の導入や、効果的な農地管理を行うための国際協力枠組みの構築が挙げられます。また、経済制裁下での持続可能な農業モデルを実現するために、省資源型の生産方法や農作物の輸送流通改革が必要です。

このデータから導き出せる結論として、北朝鮮のリンゴ生産は過去数十年を通じて顕著な増加を示しており、国としてその分野に取り組む意志を持っていることが伺えます。ただし、気候変動、資源不足、国際的な孤立といった課題が生産の安定とさらなる成長に影を落としている状況です。これらの問題を克服するためには、国際的な協力や技術導入を通じて農業の効率化を図るとともに、気候変動への適応策を講じることが求められます。このような取り組みが実現すれば、リンゴ生産量のさらなる拡大に寄与すると同時に、国内の食料安全保障向上にもつながるでしょう。