国際連合食糧農業機関(FAO)による1972年度のリンゴ生産量ランキングデータによると、1位はアメリカ合衆国で生産量は約266万トン、2位のフランスが約255万トンと続きました。日本は959,100トンで世界第5位の位置にあります。他のアジア諸国と比較すると、日本の生産量は突出しており、中国とトルコがそれぞれ850,000トンと同率6位で後を追います。全体的にはヨーロッパ諸国、特にフランス、イタリア、ドイツが上位を占めていますが、中国やインドなど、将来的に農業発展が期待される国々もランクインしています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
北アメリカ | 2,666,565 |
| 2 |
|
ヨーロッパ | 2,553,000 |
| 3 |
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ヨーロッパ | 1,884,100 |
| 4 |
|
ヨーロッパ | 1,500,000 |
| 5 |
|
アジア | 959,100 |
| 6 |
|
アジア | 850,000 |
| 7 |
|
アジア | 850,000 |
| 8 |
|
ヨーロッパ | 745,200 |
| 9 |
|
ヨーロッパ | 709,349 |
| 10 |
|
ヨーロッパ | 558,500 |
| 11 |
|
南アメリカ | 512,300 |
| 12 |
|
アジア | 433,000 |
| 13 |
|
ヨーロッパ | 400,000 |
| 14 |
|
北アメリカ | 392,805 |
| 15 |
|
ヨーロッパ | 375,227 |
| 16 |
|
オセアニア | 360,167 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 340,336 |
| 18 |
|
アフリカ | 317,737 |
| 19 |
|
アジア | 261,120 |
| 20 |
|
ヨーロッパ | 260,000 |
| 21 |
|
ヨーロッパ | 247,500 |
| 22 |
|
南アメリカ | 226,897 |
| 23 |
|
アジア | 220,417 |
| 24 |
|
アジア | 200,000 |
| 25 |
|
ヨーロッパ | 184,690 |
| 26 |
|
ヨーロッパ | 156,358 |
| 27 |
|
オセアニア | 149,470 |
| 28 |
|
ヨーロッパ | 132,500 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 114,790 |
| 30 |
|
南アメリカ | 95,000 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 93,334 |
| 32 |
|
アジア | 89,600 |
| 33 |
|
南アメリカ | 74,487 |
| 34 |
|
アジア | 67,500 |
| 35 |
|
アジア | 50,000 |
| 36 |
|
ヨーロッパ | 49,562 |
| 37 |
|
アジア | 42,388 |
| 38 |
|
アジア | 34,240 |
| 39 |
|
南アメリカ | 30,698 |
| 40 |
|
アジア | 26,600 |
| 41 |
|
南アメリカ | 25,000 |
| 42 |
|
ヨーロッパ | 20,000 |
| 43 |
|
アフリカ | 18,000 |
| 44 |
|
南アメリカ | 17,500 |
| 45 |
|
アフリカ | 11,480 |
| 46 |
|
ヨーロッパ | 11,000 |
| 47 |
|
アジア | 9,956 |
| 48 |
|
ヨーロッパ | 9,100 |
| 49 |
|
アフリカ | 7,400 |
| 50 |
|
アフリカ | 7,000 |
| 51 |
|
アフリカ | 6,425 |
| 52 |
|
南アメリカ | 5,571 |
| 53 |
|
南アメリカ | 4,800 |
| 54 |
|
アジア | 2,900 |
| 55 |
|
アフリカ | 2,700 |
| 56 |
|
アジア | 2,700 |
| 57 |
|
アフリカ | 1,625 |
| 58 |
|
南アメリカ | 570 |
| 59 |
|
ヨーロッパ | 470 |
| 60 |
|
南アメリカ | 432 |
| 61 |
|
南アメリカ | 60 |
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このデータから、1972年度におけるリンゴ生産の世界的な分布と、それが示唆する地理的・経済的背景を読み取ることができます。リンゴは温帯地域を中心に栽培される果物であり、気候条件が生産の成否に大きく影響します。そのため、ランキングの上位を占めるのは北米とヨーロッパの温暖な地域です。1位のアメリカ合衆国は特にワシントン州やニューヨーク州でリンゴ栽培が盛んで、その大規模な農業インフラと効率的な生産技術がズバ抜けた生産量を支える要因となっています。
一方、フランス、イタリア、ドイツといったヨーロッパ諸国も生産上位に位置していますが、これらの国々は地理的条件に加え、長い農業の伝統と厳格な品質管理技術が貢献しています。フランスの高い生産量は、国内消費だけでなく、ワイン生産の副産物や加工食品向けの供給力にも関係しています。日本は第5位にランクインしており、山形県や青森県を中心とした地域が豊かな栽培伝統を背景に国内外での高い評価を支えています。
一方、アジアでは中国とトルコが同じく約850,000トンで世界第6位に位置しており、自然条件をうまく活用した生産の増加が伺えます。しかし1972年の時点では、この2国はその潜在力を十分に発揮するには至っていない状況でした。同じくインドは433,000トンで12位にランクインしており、広大な農地を持ちながらも、灌漑技術の発展や農業機械の普及の不足が生産力のボトルネックとなっていると考えられます。
日本国内ではリンゴ産業が国内経済だけでなく地域経済にも大きく貢献していました。しかし、課題としては気候変動が徐々に栽培適地の減少を引き起こすリスクなどがあります。特に、日本のような小規模農業が中心の国では、労働人口の減少や高齢化、農地の減少も深刻な問題です。これらを克服するため、日本国内では農業の効率化や若者の参入を促す施策が必要となるでしょう。
また、中国やインドといった国々のリンゴ生産増加は、食品の多国籍企業や消費者層の多様化が後押ししています。これらの国々での経済成長が進むにつれ、リンゴの生産・流通の効率化や国内外消費市場への多様な対応が求められます。そのためには、技術革新やグローバルな農業支援策の充実がカギとなるでしょう。
地政学的な観点では、農業の国際競争が激化する中、紛争や貿易摩擦による農産物の輸出入制限が重大なリスクとなります。リンゴの主要輸出国が突然市場から消える場合、世界的な供給不足が起こりえるため、国際的な農業協力と貿易を促進する枠組みが重要です。
結論として、リンゴ生産における日本の地位を維持・向上させるには、地域の伝統を守りつつ、気候変動や人口構造の変化に対応する農業制度改革が急務です。同時に、今後成長が見込まれるアジア諸国と協力し、農業技術の共有や輸出市場の開拓に力を注ぐことで、世界的な農業発展と食料安全保障を目指すべきです。特に国際連携の中で技術移転や投資の活性化を進めることで、持続可能なリンゴ栽培を実現することが可能です。