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モザンビークの牛乳生産量推移(1961年~2022年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、モザンビークの牛乳生産量は1961年の51,435トンを起点に比較的安定した増加傾向をたどり、1974年には75,646トンに到達しました。その後、1991年以降は内戦や経済混乱の影響で生産量が著しく減少し、1992年には17,676トンと過去最低となりました。2000年代以降は一定の回復傾向が見られるものの、依然として内戦以前の水準には達していません。最新の2022年には23,714トンを記録しており、わずかながら増加傾向に転じています。

年度 生産量(トン) 増減率
2022年 23,714
8.47% ↑
2021年 21,863
5.26% ↑
2020年 20,770
0.98% ↑
2019年 20,570
-2.63% ↓
2018年 21,126
6.63% ↑
2017年 19,812
-11.03% ↓
2016年 22,268
7.99% ↑
2015年 20,620
-18.36% ↓
2014年 25,257
6.61% ↑
2013年 23,692
2.23% ↑
2012年 23,175
-1.14% ↓
2011年 23,442
4.3% ↑
2010年 22,474
1.63% ↑
2009年 22,115
-9.53% ↓
2008年 24,445
13.32% ↑
2007年 21,571
-0.31% ↓
2006年 21,638
-4.1% ↓
2005年 22,564
1.6% ↑
2004年 22,209
1.7% ↑
2003年 21,838
-10.77% ↓
2002年 24,475
15.94% ↑
2001年 21,109
-13.38% ↓
2000年 24,370
16.33% ↑
1999年 20,949
-0.06% ↓
1998年 20,961
0.42% ↑
1997年 20,873
-0.06% ↓
1996年 20,885
0.91% ↑
1995年 20,697
-0.06% ↓
1994年 20,709
-0.87% ↓
1993年 20,891
18.19% ↑
1992年 17,676
-14.2% ↓
1991年 20,601
-71.28% ↓
1990年 71,735
0.91% ↑
1989年 71,090
0.85% ↑
1988年 70,490
0.61% ↑
1987年 70,060
0.93% ↑
1986年 69,415
0.87% ↑
1985年 68,815
0.85% ↑
1984年 68,238
2.9% ↑
1983年 66,312
-4.5% ↓
1982年 69,435
-4.24% ↓
1981年 72,513
1.41% ↑
1980年 71,505
1.49% ↑
1979年 70,452
0.79% ↑
1978年 69,903
1.4% ↑
1977年 68,940
1.97% ↑
1976年 67,610
-8.98% ↓
1975年 74,280
-1.81% ↓
1974年 75,646
1.72% ↑
1973年 74,370
6.29% ↑
1972年 69,968
-4.55% ↓
1971年 73,301
5.15% ↑
1970年 69,714
3.06% ↑
1969年 67,643
3.19% ↑
1968年 65,554
3.99% ↑
1967年 63,040
0.51% ↑
1966年 62,719
3.09% ↑
1965年 60,840
4.32% ↑
1964年 58,320
4.85% ↑
1963年 55,620
0.49% ↑
1962年 55,350
7.61% ↑
1961年 51,435 -

モザンビークの牛乳生産量の推移は、同国の経済的・社会的背景を映す指標として興味深い特徴を示しています。1961年から1970年代前半までは、インフラ整備と酪農業の発展により着実な増加が見られ、農業従事者や農村地域の技術向上が生産拡大を支えていました。しかし、1977年から1992年にかけての内戦は、モザンビークの農業セクター全般に甚大な被害をもたらしました。特に牛乳生産量は1991年に20,601トン、1992年にはわずか17,676トンへと急落し、生産基盤の崩壊が顕著でした。戦後も国内の酪農業の復興は遅れ、1990年代以降に限られた回復が見られるものの、生産量は依然として1960~70年代のピーク時を大きく下回る水準に留まっています。

酪農はモザンビークの農業全体の一部を占める産業ですが、国内消費における牛乳の需要を満たすことは容易ではなく、輸入に依存する状況が続いています。この背景には国内のインフラ整備不足、飼料供給の不安定、牛の健康管理技術の遅れなどの複合的な課題があります。また、気候変動の影響により干ばつや降雨パターンの変動が牛乳生産に深刻な影響を与えていることも注目すべき点です。干ばつが頻発することで家畜の飼育環境が悪化し、乳量の確保が難しくなるケースがしばしば報告されています。

2020年代に入ってからは、政府や国際機関による資金援助や技術協力の支援が進み、酪農の持続可能性を高める取り組みも見られます。例えば、土地の効率的利用や近代的な酪農設備の導入、地域に根差した飼料供給チェーンの構築などが一部の地域で進行しています。これにより、2022年には23,714トンまで生産量が回復し、小幅ながらも持続的な改善の兆候が現れています。

しかし、モザンビークが持続可能な牛乳生産の基盤を構築するためには、さらなる対策が不可欠です。たとえば、気候変動への適応を視野に入れた酪農技術の導入や、家畜の健康管理を支援する獣医サービスの拡充が求められます。また、牛乳を含む農業関連産業を国内外市場へ統合するための輸送インフラの整備も重要です。同様に、農業従事者への教育プログラムや適切な資金提供が、小規模農家の生産性向上に繋がるものと考えられます。これらの取り組みが進むことで、モザンビークは牛乳だけでなく、農業全般での生産力向上を達成し、食料安全保障の強化につながる可能性があります。

また、地政学的背景も見逃せません。近隣諸国の経済動向や貿易政策の変化が特に輸入乳製品市場に影響を与えるため、モザンビーク国内の生産量増加を支えるには地域間協力の強化が一つの解決策となり得ます。さらに、国際協力を通じて設備投資や気候変動対策の支援を得ることも、持続可能な農業への重要な一歩です。

これらの課題を着実に克服すれば、モザンビークの牛乳生産量はさらに増加し、国内需要の安定的な供給だけでなく、長期的には輸出の拡大も視野に入れることが可能となるでしょう。モザンビークの酪農業の復興と発展は、同国の農村開発と経済成長の基盤となると期待されています。