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モザンビークのヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)

モザンビークのヤギ肉生産量は、1960年代から2023年までの間で大きな変動を見せてきました。特に1970年代、1980年代初頭および1990年代初頭に生産量が大幅に落ち込んだ時期がありましたが、1980年代後半には急激な増加を見せました。その後は、2000年代に一旦安定したのち、近年では再び上昇傾向が確認されています。最新データでは2023年の生産量が3,343トンで、過去数十年間で最高値を更新しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 3,343
5.59% ↑
2022年 3,166
14.5% ↑
2021年 2,765
9.29% ↑
2020年 2,530
4.94% ↑
2019年 2,411
17.61% ↑
2018年 2,050
0.89% ↑
2017年 2,032
-2.03% ↓
2016年 2,074
52.35% ↑
2015年 1,361
-34.35% ↓
2014年 2,074
2.77% ↑
2013年 2,018
6.4% ↑
2012年 1,896
12.33% ↑
2011年 1,688
2.78% ↑
2010年 1,643
0.78% ↑
2009年 1,630
-19.72% ↓
2008年 2,030
4.44% ↑
2007年 1,944 -
2006年 1,944
-7.43% ↓
2005年 2,100
1.74% ↑
2004年 2,064
1.18% ↑
2003年 2,040
2.41% ↑
2002年 1,992
0.61% ↑
2001年 1,980
0.61% ↑
2000年 1,968
1.23% ↑
1999年 1,944
0.62% ↑
1998年 1,932
0.63% ↑
1997年 1,920
0.63% ↑
1996年 1,908
2.58% ↑
1995年 1,860
1.97% ↑
1994年 1,824
-2.56% ↓
1993年 1,872
2.63% ↑
1992年 1,824
1.33% ↑
1991年 1,800
-81.25% ↓
1990年 9,600
17.65% ↑
1989年 8,160
21.43% ↑
1988年 6,720
27.27% ↑
1987年 5,280
29.41% ↑
1986年 4,080
54.55% ↑
1985年 2,640
54.93% ↑
1984年 1,704
1.43% ↑
1983年 1,680
1.45% ↑
1982年 1,656
1.47% ↑
1981年 1,632
1.49% ↑
1980年 1,608
1.52% ↑
1979年 1,584
1.54% ↑
1978年 1,560
6.56% ↑
1977年 1,464
4.27% ↑
1976年 1,404
-40% ↓
1975年 2,340
-24.12% ↓
1974年 3,084
18.98% ↑
1973年 2,592
-6.9% ↓
1972年 2,784
5.45% ↑
1971年 2,640 -
1970年 2,640
3.29% ↑
1969年 2,556
2.4% ↑
1968年 2,496
2.46% ↑
1967年 2,436
2.53% ↑
1966年 2,376
-5.71% ↓
1965年 2,520
5% ↑
1964年 2,400
1.01% ↑
1963年 2,376
1.02% ↑
1962年 2,352
1.03% ↑
1961年 2,328 -

モザンビークにおけるヤギ肉生産量の動向は、国内および地域特有の社会・経済状況や気候条件を反映したものとなっています。データを基に分析すると、生産量は1960年代には緩やかな伸びを見せ、1974年に3,084トンと当時の最高値を記録しました。しかしその後、独立戦争(1964~1975年)の影響が大きく、1975年から1976年にかけて生産量は急減し、1976年には1,404トンまで落ち込みました。この大幅な減少は、戦争の混乱が農業や畜産生産に多大な影響を与えた例といえます。同様に1991年の1,800トンという急落は、国内で発生した内戦がさらなる打撃を与えた結果です。

1985年から1990年の急速な増加は注目に値します。この間、生産量は2,640トンから9,600トンに上昇しました。この要因としては、平和維持の進展や経済政策の一部効果が考えられます。とはいえ、1990年代以降の再度の急落からは、持続可能な畜産業の構築が未だ不完全であったことが示唆されます。

最近20年間(2000年以降)を見ていくと、全体的には緩やかな回復傾向が見られますが、一定の年に減少しているのは、気候変動や局地的な自然災害の影響と考えられます。モザンビークは特にサイクロンや洪水による被害を受けやすく、これが畜産業、特にヤギを含む家畜生産に悪影響を及ぼしています。しかしながら、2020年以降の急激な増加は、小規模農家の支援プログラムや国際的な投資が実を結びつつあることを示しています。例えば、2023年には3,343トンと新たな最高値を記録し、同国のヤギ肉生産の成長が顕著になっています。

モザンビークのヤギ肉生産量を他国と比較すると、依然としてアフリカ地域の多くの大規模生産国に比べて低い水準にとどまっています。例えば、エチオピアやケニアといった隣国では、異なる畜産政策や気候条件に支えられて、より大規模なヤギ肉生産が実現しています。一方、日本のような農業人口が減少している国ではヤギ肉生産がほとんど見られず、逆に輸入依存度が高いのが現状です。このように、地域ごとの特色や課題が見えてきます。

将来の課題としては、まず、安定的な生産基盤の確立が挙げられます。気候変動の影響を緩和するためには、耐久性の高いヤギの飼育方法や気候変動に適応した飼料供給網の整備が重要です。また、農家所得を向上させるためには、ヤギ肉だけでなく副産物(例えばヤギ乳や皮革)の利用拡大や、供給チェーンの改善が必要です。さらに、地域社会での雇用創出や教育プログラムを通じて、小規模農家に持続可能な飼育技術を普及させるべきです。

国際的な観点からは、モザンビーク政府および農業団体が国際的機関との連携を深めることが重要となります。例えば、国際連合食糧農業機関(FAO)やアフリカ農業開発計画(CAADP)との協力により、資金供給や専門知識の提供を受けることで、産業の近代化を推進することが可能です。また、国内での平和維持と地域の安定化が、長期的な生産基盤の確保に欠かせません。

地政学的リスクや気候変動の影響を乗り越えるためには、地域間での協力構築や防災体制の強化も必要です。ただ生産量を伸ばすだけでなく、予測可能で持続可能な生産を実現する体制が求められるでしょう。

モザンビークはヤギ肉生産において、まだ発展途上の段階にありますが、近年の成長は同国の可能性を示しています。今後はより戦略的な政策と国際的な協力を基に、生産量をさらに拡大し、国内の食糧安全保障と農村経済発展に寄与することが期待されます。