国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、モザンビークの豚飼育数は、1961年の14万頭から2022年の231万9,450頭へと、長期的に大きく増加しています。特に1990年代以降、急激な成長が見られますが、一部の年度では大きな減少も記録されています。近年、2021年から2022年にかけて約27%の増加が確認され、約230万頭に達するなど、顕著な回復が見られます。
モザンビークの豚飼育数推移(1961-2022)
年度 | 飼育数(頭) |
---|---|
2022年 | 2,319,450 |
2021年 | 1,827,681 |
2020年 | 1,635,011 |
2019年 | 1,734,373 |
2018年 | 1,676,415 |
2017年 | 1,158,476 |
2016年 | 1,691,881 |
2015年 | 1,588,325 |
2014年 | 1,872,000 |
2013年 | 1,410,000 |
2012年 | 1,727,000 |
2011年 | 1,500,000 |
2010年 | 1,340,712 |
2009年 | 1,340,712 |
2008年 | 1,534,000 |
2007年 | 1,343,000 |
2006年 | 1,183,000 |
2005年 | 1,633,000 |
2004年 | 1,492,535 |
2003年 | 1,353,000 |
2002年 | 1,601,000 |
2001年 | 1,650,000 |
2000年 | 2,397,493 |
1999年 | 1,680,000 |
1998年 | 1,650,000 |
1997年 | 1,640,000 |
1996年 | 1,620,000 |
1995年 | 1,600,000 |
1994年 | 1,450,000 |
1993年 | 1,300,000 |
1992年 | 1,150,000 |
1991年 | 1,000,000 |
1990年 | 870,000 |
1989年 | 805,000 |
1988年 | 750,000 |
1987年 | 690,000 |
1986年 | 650,000 |
1985年 | 600,000 |
1984年 | 570,000 |
1983年 | 535,000 |
1982年 | 482,000 |
1981年 | 445,000 |
1980年 | 420,000 |
1979年 | 355,000 |
1978年 | 320,000 |
1977年 | 287,000 |
1976年 | 250,000 |
1975年 | 205,000 |
1974年 | 183,000 |
1973年 | 178,578 |
1972年 | 164,375 |
1971年 | 150,000 |
1970年 | 128,870 |
1969年 | 124,190 |
1968年 | 146,713 |
1967年 | 127,926 |
1966年 | 128,000 |
1965年 | 178,012 |
1964年 | 170,000 |
1963年 | 160,000 |
1962年 | 150,000 |
1961年 | 140,000 |
モザンビークの豚飼育数は、1960年代から2022年までの間に大きく変動しながらも全体的には増加傾向にあります。1960年代は主に小規模農業による生産が中心であり、年間約14万から18万頭の範囲での推移が見られました。しかし1970年代に入ると内戦が影響を及ぼし、一部の年では生産量が減少しましたが、1970年代の終盤から1990年代初頭まで継続的な増加が記録されています。その後、1991年には初めて100万頭を超え、1990年代を通じて豚飼育数は急激に増加しました。
2000年には約240万頭に達する歴史的なピークが見られましたが、その後の2000年代初頭では急減が確認されています。これは、気候変動による干ばつ、疫病の発生、あるいは経済的な不安定性など複合的な要因が原因と考えられます。特に2006年の約118万頭という減少は、国内外に大きな影響を与えた可能性がある点です。一方で2012年から2022年にかけては、ふたたび増加傾向が続いており、2022年には約231万9,450頭となり、過去最高の記録に迫る数値を達成しました。
モザンビークの豚飼育数推移を考える上で重要な点は、豚肉の国内消費の増大と輸出産業としての可能性です。他国と比較すると、日本や欧州諸国(例えばドイツやフランス)における豚飼育数は、はるかに多い一方で、こうした先進国では生産効率と品質の高度化が進んでいます。一方、モザンビークでは依然として小規模農家が多く、生産の安定性や収益向上が課題となっています。
また、2022年の大きな増加が示すように、豚飼育産業がモザンビーク経済において回復と成長の可能性を秘めたセクターであることは明白です。しかし、過去の疫病や自然災害の影響を考慮すると、持続可能な生産体制を確立することが不可欠です。例えば、中小規模農家向けの技術支援プログラムや、疫病対策の強化が挙げられます。新型コロナウイルスや国際的な物流混乱の影響が一部で指摘されているため、国内の生産から消費までのバリューチェーンを見直す機会であるとも言えます。
地政学的にも、モザンビークはアフリカ南部の輸出拠点としての位置づけを強化する可能性を持っています。同地域での豚肉需要の高まりを受け、国際的な資源としての豚飼育産業の競争力を向上させる政策が求められます。
結論として、モザンビークの養豚業は長期的な成長可能性を抱えつつ、いくつかの明確な課題にも直面しています。具体的な対策として、(1)農業インフラの整備、(2)豚肉製品の加工業振興、(3)疫病予防のための家畜衛生体制の強化が挙げられます。また、隣国との地域間協力を基盤に、アフリカ全体の食料安全保障の向上に貢献する取り組みも、未来の安定的な豚飼育量の維持に寄与すると考えられます。