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モザンビークの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

モザンビークにおける牛乳生産量は、1961年から1980年代まで一定の増加傾向を示しましたが、1990年代に著しく減少しました。その後は緩やかに回復し、2021年には一時的に3,300トンに達しましたが、2022年以降再び減少しています。この長期にわたる推移は、国内外の経済動向や社会的な変化、地政学的要因に大きく影響を受けています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,560
5.05% ↑
2022年 2,437
-26.15% ↓
2021年 3,300
15.79% ↑
2020年 2,850
0.71% ↑
2019年 2,830
1.43% ↑
2018年 2,790
5.68% ↑
2017年 2,640
19.46% ↑
2016年 2,210
-3.7% ↓
2015年 2,295
-1.92% ↓
2014年 2,340
12.23% ↑
2013年 2,085
4.77% ↑
2012年 1,990
-11.95% ↓
2011年 2,260
5.61% ↑
2010年 2,140
18.89% ↑
2009年 1,800
20% ↑
2008年 1,500 -
2007年 1,500
7.14% ↑
2006年 1,400 -
2005年 1,400
7.69% ↑
2004年 1,300
18.18% ↑
2003年 1,100
10% ↑
2002年 1,000
25% ↑
2001年 800
-11.11% ↓
2000年 900 -
1999年 900
-10% ↓
1998年 1,000 -
1997年 1,000
-9.09% ↓
1996年 1,100
10% ↑
1995年 1,000
-9.09% ↓
1994年 1,100
-8.33% ↓
1993年 1,200
9.09% ↑
1992年 1,100
10% ↑
1991年 1,000
-98.42% ↓
1990年 63,410
0.81% ↑
1989年 62,900
0.82% ↑
1988年 62,390
0.55% ↑
1987年 62,050
0.83% ↑
1986年 61,540
0.84% ↑
1985年 61,030
0.73% ↑
1984年 60,588
3.13% ↑
1983年 58,752
-5.19% ↓
1982年 61,965
-4.93% ↓
1981年 65,178
1.43% ↑
1980年 64,260
1.45% ↑
1979年 63,342
0.73% ↑
1978年 62,883
1.48% ↑
1977年 61,965
1.82% ↑
1976年 60,860
-6.77% ↓
1975年 65,280
1.37% ↑
1974年 64,396
3.5% ↑
1973年 62,220
7.36% ↑
1972年 57,953
-5.65% ↓
1971年 61,421
6.2% ↑
1970年 57,834
2.97% ↑
1969年 56,168
3.35% ↑
1968年 54,349
4.31% ↑
1967年 52,105
0.1% ↑
1966年 52,054
3.1% ↑
1965年 50,490
4.76% ↑
1964年 48,195
5% ↑
1963年 45,900 -
1962年 45,900
5.26% ↑
1961年 43,605 -

国連食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、モザンビークの牛乳生産量は1961年には43,605トンという規模で始まり、その後1980年代まで増加を続けました。この期間は、農業における技術改善や経済発展による生産拡大が背景にあります。しかし、1991年以降、牛乳生産量は急激に減少し、1,000トン台を記録する年が続きました。この著しい低下は、1980年代後半から1992年まで続いたモザンビーク内戦が主な原因とされています。この紛争は国内の農業基盤やインフラを大きく損ない、乳牛の飼育環境も破壊されました。

その後、2000年代以降は生産量が緩やかに回復し始めましたが、依然として低水準のままです。それにもかかわらず、2021年には生産量が3,300トンに達し、回復の兆しを見せました。要因として、小規模酪農家への支援政策や地域コミュニティによる畜産振興が挙げられます。しかし、2022年に再び2,437トンに減少するなど、安定した成長には至っておらず、この変動の背景には気候変動や新型コロナウイルスのパンデミックによる農業経済への影響が関係していると考えられます。

このような経緯を踏まえると、モザンビークの酪農業が直面する課題は複雑で多岐にわたります。一例として、気候変動が草地の育成や水資源に与える影響が挙げられます。特に干ばつや洪水といった極端な気象現象は牛の健康を悪化させ、生産を困難にします。また、内戦によるインフラの破壊は未だ完全に解消されておらず、輸送網や冷蔵設備の不足が牛乳の流通を妨げています。さらに、都市部を中心とする乳製品需要の拡大に対して、供給が追い付かない状況が生じています。

これを解決する具体的な対策として、まず持続可能な農業技術を地域の小規模農家に提供することが重要です。例えば、牛の餌となる牧草の改良品種の導入や、畜産に適した井戸堀り支援などが挙げられます。また、乳業関連のインフラ構築を支援するため、政府主導の大規模投資プログラムが必要です。さらに、国際的な支援の枠組みとして、地域内での農業協力ネットワークを設立し、モザンビークにおける技術移転を推進することも効果的です。

地政学的リスクについても考慮する必要があります。特に紛争や政治的な不安定さが再び農業生産を脅かす可能性があります。これに対応するためには、平和構築と農村部の安定化を図ることが欠かせません。また、新たなパンデミックや自然災害にも迅速に対応できる政策フレームワークの整備が求められます。

結論として、モザンビークの牛乳生産量は、地域の発展や食料安全保障にとって重要な指標であり、その動向には多くの課題が浮かび上がっています。直面する問題を解決するためには、国内外の関係者が協力して農業基盤の再構築を進め、持続可能な酪農環境を整備することが必要です。このような努力によって、モザンビークの酪農業は将来的に成長を遂げ、国内外の乳製品需要に応える持続可能なモデルを打ち立てられる可能性があります。