国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、アルメニアにおけるキュウリ類の生産量は2023年時点で69,351トンとなっています。この統計は1992年から始まり、過去30年以上にわたる生産量の推移を示しています。過去数十年にわたるデータでは、1990年代の不安定な時期、2000年代の著しい成長、そして最近の回復傾向を確認できます。
アルメニアのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 69,351 |
22.67% ↑
|
2022年 | 56,536 |
-3.71% ↓
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2021年 | 58,713 |
35.81% ↑
|
2020年 | 43,231 |
-2.06% ↓
|
2019年 | 44,141 |
-12.76% ↓
|
2018年 | 50,599 |
-31.93% ↓
|
2017年 | 74,336 |
-12.41% ↓
|
2016年 | 84,869 |
-6.88% ↓
|
2015年 | 91,136 |
5.31% ↑
|
2014年 | 86,544 |
21.68% ↑
|
2013年 | 71,124 |
-4.49% ↓
|
2012年 | 74,470 |
1.07% ↑
|
2011年 | 73,678 |
16.43% ↑
|
2010年 | 63,282 |
-21.82% ↓
|
2009年 | 80,944 |
-1.07% ↓
|
2008年 | 81,819 |
13.47% ↑
|
2007年 | 72,109 |
-0.72% ↓
|
2006年 | 72,629 |
12.77% ↑
|
2005年 | 64,407 |
6.9% ↑
|
2004年 | 60,250 |
64.7% ↑
|
2003年 | 36,582 |
0.01% ↑
|
2002年 | 36,580 |
3.25% ↑
|
2001年 | 35,430 |
21.39% ↑
|
2000年 | 29,186 |
-27.16% ↓
|
1999年 | 40,070 |
0.18% ↑
|
1998年 | 40,000 |
14.29% ↑
|
1997年 | 35,000 |
-27.08% ↓
|
1996年 | 48,000 |
37.14% ↑
|
1995年 | 35,000 |
16.67% ↑
|
1994年 | 30,000 |
-16.67% ↓
|
1993年 | 36,000 |
-16.28% ↓
|
1992年 | 43,000 | - |
アルメニアのキュウリ類生産量のデータによれば、1992年に43,000トンだった生産量は、1990年代の数年間で大きく変動を見せました。この時期には、旧ソ連崩壊後の経済的、地政学的混乱が影響しており、特に1994年には30,000トンという底を記録しています。その後、1996年には48,000トンという大幅な回復が見られましたが、全体として1990年代後半は安定性を欠く状況が続きました。
2000年代に入ると、アルメニアの農業政策や市場環境の改善が進み、生産量は一気に増加傾向を示しました。具体的には、2004年には60,250トン、2008年には81,819トンへと成長。2006年から2008年の間は安定して70,000トンを超える生産量が続き、これは国内のインフラ整備や農業技術の向上が背景にあると考えられます。
2010年代に入ると、キュウリ生産量にはさらなる波が見られます。2014年には86,544トン、2015年には91,136トンとピークを迎えましたが、この期間以降、再び生産量に減少傾向が見られるようになります。特に2018年以降、50,000トン台を割るなど、持続的な減少が顕著になります。この減少は、土壌の劣化や気候変動、農業労働力の不足など複数の要因が考えられます。加えて、2020年には新型コロナウイルスの影響もあり、世界的なサプライチェーンの混乱や輸送遅延が生産活動に影響を及ぼした可能性があります。
2021年以降になると、共通農業政策の見直しや輸出市場の拡大により、キュウリ生産量の部分的な回復が確認されています。2023年には69,351トンと、2020年の43,231トンから大幅な増加を遂げており、この回復には国内需要の拡大と地域内の農業支援施策が寄与した可能性が高いといえます。
現在、アルメニアのキュウリ生産が直面している主な課題は、気候変動による乾燥化の進行や、伝統的な小規模農業の非効率性です。また、周辺国との地政学的な緊張も、農業政策や貿易の面で影響を与えています。一方で、気候に適応した農業技術の導入や、農業労働市場への若年層の参加を促進する政策などが進められれば、この地域での生産量安定化とさらなる向上が期待されます。
今後、アルメニアは地域間協力の枠組みを積極的に活用し、農業技術の共有や地域市場の強化を図るべきです。また、国際的な気候変動支援プログラムを受け入れ、より持続可能な農業モデルを構築していくことが重要となります。このような取り組みは、キュウリ類の生産量を安定させるだけでなく、地域経済全体の強化にもつながるでしょう。